今回のシルバー作品の創作プロセスをざっと紹介します。
ちなみに作品名は玉響(たまゆら)です。
最近のマイブームが「透かし模様」だったことで、見た目軽やかなネックレスを考えました。
透かし模様の銀の球を作るために、おが屑粘土で3段階の大きさの球を作り、その上にシリンジ(注射器)に入った銀粘土を絞り出して模様を描きます。
画像左が、おが屑粘土の球。右2個が粘土を貼り付けたもの。
焼いた後の変形を防ぐために、緻密に粘土を置きます。
球は全部で7個制作。
これにかなりの時間を使いました。
透かし球を繋ぐパーツもシリンジで作り、組み立てをチェック。
銀粘土は焼くと20%ほど収縮するので、それを見越した大きさでデザインします。
乾燥体のパーツをそれぞれ電気炉で焼成します。
透かしのパーツは、中の粘土が燃え尽きることが前提ですので、黒煙が大量に発生します。
お天気が良く、風がある程度ある日を狙って、屋外で一気に焼きました。
焼成後のパーツは磁気研磨機で磨いた後に、ロウ付けして組み立てています。
純銀同士のロウ付けは酸化膜は殆ど出ませんが、若干黒く汚れますので、ピックリングコンパウンドをバケツに入れて酸洗いという工程を踏みます。
8割がたのパーツが出来た時点で、物理的に美しいネックレスになるかどうかを検討しますが、この段階で作り直したパーツもあります。
下の画像は完成品とは違っています。
このあたりがすごく悩むのです。
透かしパーツは7個作りましたが、作っていくうちに綺麗な模様を作るコツが判ってくるので、最後に作った一番大きなパーツが一番気に入っています。
制作工程だけを並べると、サクッと作っているように見えますが、あの手強い息子の面倒を見ながらという状態が、今までになくキツかった。
ただ、途中で引き返せないという退路を断ったコンテスト参加だったことで、正気を保てたのだと思っています。
これについても、振り返りをしてみたいと思っています。