蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

オリバーツイスト

2006年10月14日 | 映画の感想
「ブラザーフッド」「ヒトラー最期の12日間」「ジャーヘッド」と、3つ連続で戦争ものばかり見たので、たまにはほのぼのしてみたいと、借りてきた。

ディケンズの有名な小説をほぼ原作通りに映画化した作品。

私は、小さい頃に原作を子供向けに翻案した本を(親にむりやり)読まされたことがあるが、その時は暗く陰惨な救いのない話だなあ(主人公だけは救われるのだが)と思い、良い印象は持っていなかった。

ディケンズの小説の主人公は、みずから運命を切り開いていくというよりは、周囲に翻弄されているだけ(なのだが、運よく助かる)という人が多いように思う。自伝的要素を含むことが多いとされているので、著者本人がそういう人だったのかもしれない。

この映画でも、主人公は寄る辺なき孤児なのだが、その美しい風貌のせいか、危機にたつと、彼自身は何の努力もしていないのに、さしたる縁もない人々が彼を喜んで助けに来る。そのストーリーは現代においては陳腐なのかもしれないが、美しい町並みの映像(プラハでロケハンしたらしいが、彼の地にはいまだこんな街並みが生きているのだなあ、とうらやましかった)を背景に展開される、古き良き時代、善意を信じられた時代のおとぎ話としてみれば十分にほのぼのできる映画だった。
コメント
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