蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

チープフライト

2013年03月12日 | Weblog
チープフライト

子供からウイルス性腸炎を感染されて、まる一日寝込んでいたら腰が痛くなってきて、仕方なくぼんやりとソファに座っていた。
テレビ番組も面白そうなのがなくて、ハードディスクの中身を見たら、たまたま家族が録画していた「チープフライト」という番組があったので見始めた。

日本テレビの単発ドラマなんだけど、キャストがとても豪華(竹内結子、加藤あい、桐谷美鈴、吉瀬美智子、向井理 等々)なのにまず驚き、その割にセットがタイトル通りとてもチープなのに驚いた。なんとなく学芸会の書割りっぽい感じがした。

LCC運営会社へ転職したCAたちの活躍を描く内容。
ちょっと前に、ある航空会社のサービスポリシーみたいなのを書いた紙の内容がすごい(客を客とも思わない傲慢なものいいだった)、と話題になったが、それを地で行くように、CAたちは期待以上のサービスを絶対しないように教育される。
例えば、無料のドリンクがないことに文句を言われても謝ってはいけないとか。

まあ、顧客の期待水準をコントロールするのがサービスの基本ではあるのだろうけど。

到着が遅れたり、いろいろな事情から目的地が変更されても、一切謝ってはいけないという立場のCAというのも相当につらそうだ。
謝罪は嫌な仕事だけれど、社会通念的に「ここはお詫びをするべき」というシーンで謝ることを禁止されている状態というのは、それ以上に厳しい(いっそ頭を下げる方がはるかにラク)ということがよくわかった。

あ、だからはあの会社はあんな紙を作ったんだね。やっとわかった
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

the Team

2013年03月12日 | 本の感想
the Team(井上夢人 集英社)

霊能者を名乗る能城あや子は、テレビ番組で相談者の過去や秘密を正確に的中させて人気者になる。彼女の背後には3人のチームがいて、相談者の身辺をこっそり調査することによりその「能力」を支えていたのだが・・・という話。

雑誌に連載された8つの短編で構成された連作集だが、冒頭の「招霊」がとてもまとまりよく終わっていたので、もともとはこの「招霊」単発の短編だったのが、好評だったので書き継いだのかも・・・と思った。
しかし、読み進んでいくと、ただ同じ主人公が出てくるだけの凡庸な連作集とちがって、長編として読んでも楽しめるような筋立て(通して読むと、インチキ霊能者能城あや子の一代記のようにも読める)になっているのに感心した。
まあ、著者のようなテクニシャンなら、後付でもこの程度の芸は軽々とこなすのだろうけど。
同じ登場人物でどんどん連作を書けそうな感じなのだけど、最後さっぱりと終わらせたのもよかったと思う。

「招霊」のほか、インチキを暴こうとする雑誌記者との対決?を描いた「隠蓑」もよかった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする