捜索者(タナ・フレンチ ハヤカワ文庫)
離婚してシカゴ警察を辞めたカルは、アイルランドの山間の村に移住する。ボロ家を改修して暮らしていたが、近所の子供トレイから、失踪したトレイの兄の行方を探すよう頼まれる。兄はどうやらダブリンの麻薬組織と関係があったようだが・・・という話。
あとがきで訳者が指摘するようにロバート・パーカーの「初秋」に似たテイストの筋立てで、トレイの成長物語としても読める。ただし、一つ単純だが面白い仕掛けがあって、けっこう驚かされる。
各種ランキングの上位を占めた評判の作品だが、本筋とあまり関係ないエピソードもたくさん挿入されていて少々冗長な感じがした。人によっては、そういう寄り道的な描写がいいのかもしれないが。
トレイの兄の失踪の謎解きが行われる部分の後に数十ページも残っていたので、「これはドンデン返しがあるに違いない(だって傑作という割には真相があっさりしすぎだし)」なんて思ったのだが、そういうことはなかった。