無戸籍の日本人(井戸まさえ 集英社文庫)
離婚後300日以内に生まれた子供は前夫の子供と推定する、という民法の規定により、(前夫との子とすることを避けるため)出生届が出せず子供の戸籍が作られないままとなっている等、様々な事情により出生届未提出=無戸籍となっている日本人が1万人以上いるという。このような人は(特別な手続きをしない限り)公的サービスが受けられず、義務教育を受けていない人が多いそうである。それでも就職時の本人確認があまり厳しくない仕事(水商売とか)に従事してなんとか暮らしているのだが、当然、生活は非常に苦しい。
本書が紹介する(著者が相談に乗った)人の経験談は、本当にドラマッチックというか凄まじい。
DV夫と実母が実はデキていたことに気づき、以前から好意を寄せてくれる男と駆け落ちし子供ができたが、夫と離婚手続ができないために出生届を出せなかった、とか、
出産費用未払いで出生証明書を産院から貰えてなかった人が、大人になってから産院を訪ねると、すでに医院は廃業していて立派な院長宅はゴミ屋敷と化しており、院長夫人はベンツを応接室にしていた、等々・・・
無戸籍の人本人の経験もさることながら、無戸籍に至ることとなった親の事情の方がより深刻なケースが多いようである。
現代社会では明らかにミスマッチな民法規定が改正されない理由は、家族や血統を重視する保守系国会議員のせいらしいが、実際に被害を被っている人が、無戸籍という表ざたにすると自分自身が不利となってしまうために声をあげにくい、という面もあるようだ。
著者は松下政経塾出身で元国会議員であるため、議員や役所に顔がきく。それでも(無戸籍者の支援)活動はスムーズに進まないことが多い。イレギュラー事例に対する役所や役人の事なかれの壁は厚く、普通の人なら簡単にあきらめてしまい、改善は進みにくい。
離婚後300日以内に生まれた子供は前夫の子供と推定する、という民法の規定により、(前夫との子とすることを避けるため)出生届が出せず子供の戸籍が作られないままとなっている等、様々な事情により出生届未提出=無戸籍となっている日本人が1万人以上いるという。このような人は(特別な手続きをしない限り)公的サービスが受けられず、義務教育を受けていない人が多いそうである。それでも就職時の本人確認があまり厳しくない仕事(水商売とか)に従事してなんとか暮らしているのだが、当然、生活は非常に苦しい。
本書が紹介する(著者が相談に乗った)人の経験談は、本当にドラマッチックというか凄まじい。
DV夫と実母が実はデキていたことに気づき、以前から好意を寄せてくれる男と駆け落ちし子供ができたが、夫と離婚手続ができないために出生届を出せなかった、とか、
出産費用未払いで出生証明書を産院から貰えてなかった人が、大人になってから産院を訪ねると、すでに医院は廃業していて立派な院長宅はゴミ屋敷と化しており、院長夫人はベンツを応接室にしていた、等々・・・
無戸籍の人本人の経験もさることながら、無戸籍に至ることとなった親の事情の方がより深刻なケースが多いようである。
現代社会では明らかにミスマッチな民法規定が改正されない理由は、家族や血統を重視する保守系国会議員のせいらしいが、実際に被害を被っている人が、無戸籍という表ざたにすると自分自身が不利となってしまうために声をあげにくい、という面もあるようだ。
著者は松下政経塾出身で元国会議員であるため、議員や役所に顔がきく。それでも(無戸籍者の支援)活動はスムーズに進まないことが多い。イレギュラー事例に対する役所や役人の事なかれの壁は厚く、普通の人なら簡単にあきらめてしまい、改善は進みにくい。