夫や妻が重病にかかったり死亡する事が、本人の健康にどれほど影響を与えているかを調査したユニークな論文が発表されましたのでご紹介します。
Mortality after the hospitalization of a spouse.
New England Journal of Medicine. 2006;354:719.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)
全米で1993年に夫婦のどちらかが重病で入院もしくは死亡した65歳以上の518,240組が対象とされ、その後9年間調査されました。
9年間の調査期間で、少なくとも1回以上入院した夫すなわち男性の割合は74%で、妻すなわち女性の割合は67%でした。9年間の調査期間で死亡したのは夫が49%、妻が30%でした。
妻が大腸癌、脳卒中、精神病、痴呆(法改正により認知症と呼ばれています)で入院した後の夫の死亡率はそれぞれ6.4%、6.9%、7.5%、8.6%でした。逆に夫が大腸癌、脳卒中、精神病、痴呆で入院した後の妻の死亡率はそれぞれ3.0%、3.7%、5.7%、5.0%でした。
配偶者が重病にかかったり死亡したりしていないケースと比較したところ、夫の場合、妻が大腸癌で入院や死亡しても死亡率が増加しなかったのに対して、脳卒中、心不全、骨折、精神病、認知症で入院や死亡した場合の死亡率はそれぞれ1.06倍、1.12倍、1.15倍、1.19倍、1.22倍に有意に増加しました。
妻の場合、夫が脳卒中、心不全、骨折、精神病、認知症で入院や死亡した場合の死亡率はそれぞれ1.06倍、1.12倍、1.15倍、1.19倍、1.22倍に有意に増加しました。妻の場合もほぼ同様の増加率でした。
全ての病気を総合して統計処理をすると、妻が重病で入院あるいは死亡した場合の夫の死亡率は22%上昇し、夫が重病で入院あるいは死亡した場合の妻の死亡率は16%上昇しました。
大腸癌では配偶者の死亡率が上昇せず、脳卒中、心不全、骨折、精神病、認知症で上昇するというのは死亡の時期が予想できないからでしょうか。この論文は配偶者に先立たれた場合の残された人の精神的ケアという点で示唆深い結果を示しています。
それはともかく、女性の方が配偶者の死亡には強いようです。
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9年間の調査期間で、少なくとも1回以上入院した夫すなわち男性の割合は74%で、妻すなわち女性の割合は67%でした。9年間の調査期間で死亡したのは夫が49%、妻が30%でした。
妻が大腸癌、脳卒中、精神病、痴呆(法改正により認知症と呼ばれています)で入院した後の夫の死亡率はそれぞれ6.4%、6.9%、7.5%、8.6%でした。逆に夫が大腸癌、脳卒中、精神病、痴呆で入院した後の妻の死亡率はそれぞれ3.0%、3.7%、5.7%、5.0%でした。
配偶者が重病にかかったり死亡したりしていないケースと比較したところ、夫の場合、妻が大腸癌で入院や死亡しても死亡率が増加しなかったのに対して、脳卒中、心不全、骨折、精神病、認知症で入院や死亡した場合の死亡率はそれぞれ1.06倍、1.12倍、1.15倍、1.19倍、1.22倍に有意に増加しました。
妻の場合、夫が脳卒中、心不全、骨折、精神病、認知症で入院や死亡した場合の死亡率はそれぞれ1.06倍、1.12倍、1.15倍、1.19倍、1.22倍に有意に増加しました。妻の場合もほぼ同様の増加率でした。
全ての病気を総合して統計処理をすると、妻が重病で入院あるいは死亡した場合の夫の死亡率は22%上昇し、夫が重病で入院あるいは死亡した場合の妻の死亡率は16%上昇しました。
大腸癌では配偶者の死亡率が上昇せず、脳卒中、心不全、骨折、精神病、認知症で上昇するというのは死亡の時期が予想できないからでしょうか。この論文は配偶者に先立たれた場合の残された人の精神的ケアという点で示唆深い結果を示しています。
それはともかく、女性の方が配偶者の死亡には強いようです。
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