医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

動脈硬化学会、コレステロール判断基準変更へ

2007年02月04日 | 生活習慣病
日本動脈硬化学会は、心筋梗塞など動脈硬化性疾患の予防や治療の指標から従来の「総コレステロール」をはずし、代わりに「悪玉コレステロール」といわれるLDLコレステロールなどを判断基準とする新しい診療ガイドラインを策定した。ガイドラインに拘束力はないが、多くの医療現場は対応が迫られそうだ。3日、福岡市で開かれた同学会理事会で承認された。

狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの病気を招く「高脂血症」の診断基準には、一般的に総コレステロールが使われている。同学会が02年に策定したガイドラインでも、血液1デシリットルあたり220ミリグラム以上を「高コレステロール血症」とし、心筋梗塞などを防ぐには220ミリグラム未満に抑えるよう求めてきた。

しかし、「高コレステロール」の中でも、「善玉」のHDLコレステロールが多い場合にはLDLコレステロールは通常より低く、動脈硬化につながりにくい。日本人はこうしたケースが多く、総コレステロールを基準にすると、必要量以上の投薬が行われるなどの問題が分かってきた。このため、5年ぶりの改定では「誤解の元」となる総コレステロールを基準から外し、高コレステロール血症は「LDLコレステロール140ミリグラム以上」とした。

これまでも、総コレステロール値は心筋梗塞を発症する危険性とは無関係、総コレステロール値が高めの方が長生きするなど、従来の基準に疑問を唱える意見があった。一方で、便利な指標として総コレステロール値を基準に診療する医師は少なくなく、生活習慣病予防では重要な指標となってきた。

策定の中心となった同学会動脈硬化診療・疫学委員長の寺本民生・帝京大教授(代謝学)は「日本人のデータに基づき、科学的見地から見直しを行った。総コレステロールを基準としてきた他の学会にも呼びかけ、基準の統一を図っていきたい」と話している。
(毎日新聞より引用)

「総コレステロールを基準にすると、必要量以上の投薬が行われるなどの問題が分かってきた」
製薬会社はこんな事をかなり以前から知っていました。必要量以上の投薬が行われた方が製薬会社にとって利益になるため、あえて表沙汰にしてこなかっただけです。

図は高血圧症、糖尿病、喫煙がない55歳未満の男性が今後6年間に心筋梗塞や狭心症を発症するリスクを示したものです。数字は1,000人あたりの発症人数を表しています。日本人のデータです。

ご覧のように、悪玉のコレステロールであるLDLコレステロールが200mg/dlであっても、善玉のコレステロールであるHDLコレステロールが70mg/dlあれば、リスクは1,000分の9であり、悪玉のコレステロールが120mg/dlしかなくても善玉のコレステロールが30mg/dlしかなければリスクは1,000分の9と同じです。

つまり、心筋梗塞や狭心症発症のリスクを評価するのには、総コレステロールなどという悪玉も善玉も一緒になった指標では意味がなく、善玉と悪玉を分けて考える必要があるのです。



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コメント (2)
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