医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

文部科学省 科学研究費

2009年11月07日 | 総合
                          (東洋経済より引用)


科学研究費補助金の申請の季節がやってきました。科学研究費補助金(科研費)は文部科学省から業務が移管された日本学術振興会が取り仕切る、日本の研究を推進させるための公的研究助成金です。

科研費は競争的に配分される資金で、研究の規模により金額が細分化され、先進性、独創性、将来性が競われます。例えば基盤研究(S)は5000万円以上~2億円程度まで、基盤研究(A)は2000万円以上~5000万円、基盤研究(B)は500万円以上~2000万円、基盤研究(C)は500万円以下で、当然金額が高いほど競争率は高くなります。採択率は以前は(C)で30%、(B)で15%ぐらいでしたが、最近は(C)で25%、(B)で25%ぐらいと(B)にシフトしています。

審査は日本学術振興会の委嘱を受けた科学研究費委員会の専門委員(審査委員)で、ほとんどが大学教授や研究所所長といった研究のエキスパートによりなされます。

申請用紙は十数ページからなり、研究の背景から遂行方法、目標が達成できた場合の有用性、申請者の業績など、かなり細かいことが審査されます。最初から申請用紙を完成させようとすると最低でも数十時間必要としますが、これは「ひやかし」の申請を予防するための措置とも考えられます。横線一本足りなくてもしっかりチェックされますし、求められる記載事項が毎年微妙に変わるので、前年度採択されなかった書類をそのままコピー&ペーストすることもできません。

このへんは「研究内容」が審査されるというより、「情熱」が審査されている点でもあります。

今年の変更点は
(1)、「研究目的」、「研究計画・方法」欄に「概要」を記入する必要があります。

(2)、「研究業績」で研究代表者には二重下線、研究分担者には一重下線、連携研究者には点線を施す必要があります。これは「新学術領域研究」で昨年度から採用されていた記載法です。

(3)、「研究費のエフォート」に本人が受け入れ自ら使用する経費を記入する必要があります。

です。

申請する皆さんは注意が必要です。でも、文部科学省の官僚の皆さん、アホみたいに毎年意味のない申請要項の変更をして楽しいですか?政権も変わったことだし、もうそろそろこんなこと止めませんか?

私もこの時期になると、論文執筆に費やす時間をこちらの申請作業にシフトせざるをえなくなります。

このような科学研究費ですが、世界を舞台にして日本の科学の推進に欠かせないものです。しかしながら、日本の大学の資金力はまだまだ世界、特にアメリカに太刀打ちできるものではありません。東京大学の資金力が年間130億円なのに対して、ハーバード大学の資金力はなんと年間3兆円、スタンフォード大学は1兆5000億円です。この中には私的な寄付金も含まれていますが、上の図に示されたように日本の科学研究費に匹敵する公的資金もアメリカに比べると全く比べものになりません。

さらに、東洋経済の10月13日号に書かれていますが、日本の場合研究費の配分がいかにも東京大学や京都大学に偏っています。優れた研究とは確率の問題であり、一定のレベルの研究者の数と、そこの配分される資金が多ければ多いほど、優れた研究成果を数多く生み出せるのに、日本の場合、上位大学に研究費が集まりすぎて10位以下の大学の研究費が少なすぎます。東洋経済の記事の中でも、研究強化という意味では10位以下の大学に配分した方が効率的と結論付けられています。

私も同感です。日本の場合、科学研究費の採用を審査する審査員の数はアメリカの100分の一であり、しかも東京大学、京都大学出身者が審査員の多くを占め、平等とは言っても審査結果が偏るのは避けられません。先日、基盤研究(S)で1億円を獲得した教授に、他大学の教授が「大型研究費を獲得する秘訣」を尋ねていましたが、その質問を横で聞いていて、私は「それは審査員や要職に就く者に、母校を同じくする先輩や後輩を多く持つこと」だとひそかに答えていました。

競争的資金を得て一段と強くなる「旧帝大」、その反面、ジリ貧の地方国立大学、国の試算をみる限り、淘汰のシナリオはすでに決まっているのかもしれません。

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