以前、心房細動に対する血液さらさら療法薬 プラザキサの薬価が決まれば再考したいと書きました。薬価が決まりましたので考察したいと思います。
これまで、血液さらさら療法に使用されているワーファリンは効果の強さを定期的に血液検査で測定する必要があり、その結果によって内服量を調節しないといけないというように煩雑でした。
ちなみに、プラザキサには薬効を確認する血液検査の項目はありません。出血している場合はAPTTがめやすになる可能性があるそうです。
プラザキサでは血液検査の必要がなくなったのですが、通常は1錠(75mg)を朝2錠、夕2錠内服することになります。75mg錠が132円ですので、1日528円と計算できます。1か月で15,840円で3割負担の場合だと自己負担額は1か月4,752円です。
ワーファリンは使用量によって異なりますが、1mgで約10円ですので、1日薬価は10~50円、自己負担額(3割)は1か月90~450円です。これに血液検査代が若干かかります。
ワーファリンはビタミンKの作用を阻害することによって効果があるのですが、ビタミンKは骨の形成に重要な役割を持っており、ワーファリンを内服しているとビタミンKの効果が減弱するので、理論上、骨形成が抑えられ骨密度が減り骨折が増えると考えられています。
研究の代表的なものは
Risk of Osteoporotic Fracture in Elderly Patients Taking Warfarin
Results From the National Registry of Atrial Fibrillation 2
Arch Intern Med. 2006;166:241.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)
68歳以上の心房細動で入院した7,587名が退院後、ワーファリンを使用しない群1,905名と使用する群4,652名に分けられ、骨粗鬆症性が原因と思われる骨折の発症が500日間調査されました(平均年齢79歳)。上の図が示すように、男性で骨粗鬆症性が原因と思われる骨折は500日間でワーファリン内服群が約5%、非内服群が3%で有意に多いが(1.63倍)、女性では差がありませんでした(1.05倍)。
女性だけでの研究の代表的なものは
Warfarin use and risk for osteoporosis in elderly women.
Arch Intern Med. 1998;128:829.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)
65歳以上の女性でワーファリンを内服している149名と内服していない6,052名が、骨粗鬆症性が原因と思われる骨折の発症が3.5年間調査され、年齢、体重、女性ホルモン量で補正されました。結果は骨密度も骨折の割合も両群で差が認められませんでした。
それと、忘れてならないのは、
Dabigatran versus warfarin in patients with atrial fibrillation
N Engl J Med 2009;361:1139.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)で報告されたように
2年半で0.54%の心筋梗塞の発症がプラザキサの内服で0.74%に上昇したことです。
以上より、68歳以上の男性では、500日の骨折のリスクを5%から3%に低下させ、血液検査の必要性を無くするのに、自己負担額が1か月約4,300円増え、心筋梗塞の発症が0.54%から0.74%に増えてもよいと考える患者には、プラザキサは有用と思われます。
年金生活の方には、1か月4,300円増というのはかなりきついので、いくらベーリンガーインゲルハイム社からうまいこと宣伝されたとしても、医者が勝手にワーファリンをプラザキサに変えてはいけません。
もちろん、自己負担額1か月4,300円増えてもいいから、血液検査を無くしたいとか、納豆などを食べたいという患者にも有用です。
プラザキサは早く効き目がでますが、逆に飲み忘れた場合に早く効き目がなくなります。あと、吸湿性が高いのでシートから出して一包化できないです。
費用の問題を患者に説明しないで、医者が勝手にワーファリンをプラザキサに変えてしまうのは「薬の押し売り」になります。
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これまで、血液さらさら療法に使用されているワーファリンは効果の強さを定期的に血液検査で測定する必要があり、その結果によって内服量を調節しないといけないというように煩雑でした。
ちなみに、プラザキサには薬効を確認する血液検査の項目はありません。出血している場合はAPTTがめやすになる可能性があるそうです。
プラザキサでは血液検査の必要がなくなったのですが、通常は1錠(75mg)を朝2錠、夕2錠内服することになります。75mg錠が132円ですので、1日528円と計算できます。1か月で15,840円で3割負担の場合だと自己負担額は1か月4,752円です。
ワーファリンは使用量によって異なりますが、1mgで約10円ですので、1日薬価は10~50円、自己負担額(3割)は1か月90~450円です。これに血液検査代が若干かかります。
ワーファリンはビタミンKの作用を阻害することによって効果があるのですが、ビタミンKは骨の形成に重要な役割を持っており、ワーファリンを内服しているとビタミンKの効果が減弱するので、理論上、骨形成が抑えられ骨密度が減り骨折が増えると考えられています。
研究の代表的なものは
Risk of Osteoporotic Fracture in Elderly Patients Taking Warfarin
Results From the National Registry of Atrial Fibrillation 2
Arch Intern Med. 2006;166:241.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)
68歳以上の心房細動で入院した7,587名が退院後、ワーファリンを使用しない群1,905名と使用する群4,652名に分けられ、骨粗鬆症性が原因と思われる骨折の発症が500日間調査されました(平均年齢79歳)。上の図が示すように、男性で骨粗鬆症性が原因と思われる骨折は500日間でワーファリン内服群が約5%、非内服群が3%で有意に多いが(1.63倍)、女性では差がありませんでした(1.05倍)。
女性だけでの研究の代表的なものは
Warfarin use and risk for osteoporosis in elderly women.
Arch Intern Med. 1998;128:829.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)
65歳以上の女性でワーファリンを内服している149名と内服していない6,052名が、骨粗鬆症性が原因と思われる骨折の発症が3.5年間調査され、年齢、体重、女性ホルモン量で補正されました。結果は骨密度も骨折の割合も両群で差が認められませんでした。
それと、忘れてならないのは、
Dabigatran versus warfarin in patients with atrial fibrillation
N Engl J Med 2009;361:1139.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)で報告されたように
2年半で0.54%の心筋梗塞の発症がプラザキサの内服で0.74%に上昇したことです。
以上より、68歳以上の男性では、500日の骨折のリスクを5%から3%に低下させ、血液検査の必要性を無くするのに、自己負担額が1か月約4,300円増え、心筋梗塞の発症が0.54%から0.74%に増えてもよいと考える患者には、プラザキサは有用と思われます。
年金生活の方には、1か月4,300円増というのはかなりきついので、いくらベーリンガーインゲルハイム社からうまいこと宣伝されたとしても、医者が勝手にワーファリンをプラザキサに変えてはいけません。
もちろん、自己負担額1か月4,300円増えてもいいから、血液検査を無くしたいとか、納豆などを食べたいという患者にも有用です。
プラザキサは早く効き目がでますが、逆に飲み忘れた場合に早く効き目がなくなります。あと、吸湿性が高いのでシートから出して一包化できないです。
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