医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

一次関数の関係があると限らない生命科学の2つのパラメーター

2011年10月08日 | 循環器
前回、強化治療で悪玉コレステロールを80mg/dlまで低下させても、効果は通常治療群と同じで、そこまでする必要はないという論文を紹介いたしました。

実は、この論文の共同著者は東京大学 山崎力医師で、悪玉コレステロールは低ければ低いほどよいと製薬会社の研究会で講演を繰り広げる一派の一人です。4年前の医者向けの教科書「循環器疾患、最新の治療」の中で、「2004年に発表された”Optimal LDL is 50 to 70 mg/dL”というタイトルの論文では、これまでのスタチンによる一次予防試験、二次予防試験の結果より、計算上、一次予防ではLDLコレステロール値を57 md/dLまで、二次予防では30 mg/dLまで下げることによって冠動脈疾患発症率が0%になることを示している。この論文では、狩猟民族(50~75 mg/dL)、健康な新生児(30~70 mg/dL)、ヒト以外の霊長類(40~80 mg/dL)のLDLコレステロールレベルはおおむね50~70 md/dLを保つとともに冠動脈硬化病変がないことが、この推定が正しいことの根拠のひとつであると主張している」と記載しています。

悪玉コレステロール30 mg/dL!バカなことを言ってはいけません。

しかし「この記載が間違っていても、それは論文の著者のせいで、私はそれを紹介しただけ」という書き方をしていますが、「コレステロールはどこまで下げるか」という章で記載しているのですから、彼がそれを支持しているということは彼自身認めなければなりません。

さて、前回ご紹介した論文で、この記載は間違いであることが明らかになりました。彼はこの研究で「悪玉コレステロールは低ければ低いほどよい」という結果が出ることを予測していたと思いますが、残念ながらそういう結果は出ませんでした。彼は考えを改めて、製薬会社の研究会での主張を変えなければいけません。

つまり、上の図のように、点線の直線で表されるのではなく、実線の関係であるということで、生命科学では2つのパラメーターは必ずしも一次関数の関係があると限らないということです。生命科学で2つのパラメーターが直線的に正比例すると仮定してしまうこと自体、馬鹿げたことなのです。

この事実は次回の記事の根拠としたいものです。次回をお楽しみに。

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コメント (1)
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