皆さん、こんばんは。非常に多忙で更新が遅れており申し訳ございません。
さて、今日は私の外来に、「最近、昼間のじっとしている時でも時々胸に痛みのある」患者が受診したので、胸部レントゲン写真と運動負荷心電図に異常がないことを確認した後、心臓の血管の収縮を予防する薬と、心臓の血管を広げる薬と、血液をさらさらにする薬と、胃酸分泌を強力に抑える薬を投与せざるをえませんでした。先日、以下のような報道があったからです。
発作死「投薬怠る」 病院側に1億円超賠償命令
北海道函館市の国立病院機構函館病院に胸の痛みを訴えて入院し、退院後に心臓発作を起こして死亡した男性=当時(49)=の遺族3人(札幌市)が病院側に約1億3600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁は3月13日、約1億2千万円の支払いを命じた。判決理由で本間健裕(ほんま・けんゆう)裁判長は「検査結果から、退院後に狭心症の発作を起こす可能性が高いといえた。予防のための投薬をするべきだったのに怠った」と述べた。判決によると、男性は、2008年3月26日に心臓検査のため函館病院に入院した。カテーテル検査などを受けたが、確定的な診断は出ず、退院翌日の4月2日に発作を起こし、多臓器不全などで4日に死亡した。函館病院の伊藤一輔(いとう・かずすけ)院長は「主張が認められず遺憾。判決内容を検討し、今後の方針を決める」とのコメントを出した。
(共同通信より引用)
こんな不当な裁判、おそらく病院側は控訴すると思います。
少し専門的な話になるのですが、「カテーテル検査などを受けたが、確定的な診断は出ず」ということは、カテーテル検査で心臓の血管の収縮を誘発する薬で誘発試験を行って診断基準に照らし合わせても、心臓の血管が収縮して狭心症や心筋梗塞を起こす病気だとは断定できなかったということです。それにもかかわらず、病気が断定できない場合に予防的に薬を投与せず、それで患者が死亡して医者に賠償責任が生じているわけです。
こういう判決が出ている以上、私は患者の診断ができない段階から、考えられる全ての致死的疾患に対して薬を予防投与しなければならないのです。そういう時代に突入したのです。
本日私の外来を受診したこの患者は、確定してもいない病名を「確定病名」とされて、薬を処方されざるを得なかったのです。
皆さんもお気づきのように、この裁判および報道の問題点は、
(1) 医学の素人である裁判官が判断している
(2) 判決だけでなく原告と被告の主張も同時に報道するべきである
(3) ある「一定の確率で有害事象が起こること」と「治療を怠ること」は別問題である
(4) そもそも、病気の「疑い」だけで、薬を健康保険で処方することは認められていない
ということです。特に(3)は裁判官の決定的な判断ミスです。
この判決はまるで、交通事故で人が死亡したので、そういう車を作っているトヨタ自動車が訴えられ、敗訴したようなものです。そういう場合、トヨタ自動車は車を作るのを止めるでしょう。つまり、医者は患者を診るのを止めるのです。
「ある一定の確率で有害事象が起こること」と「治療を誤ること」は別問題です。
患者の皆さま、これからは各医療機関で処方される薬の量が徐々に増えていきますので、どうかご了承ください。苦情がある場合は、この「本間健裕」裁判官までお願いいたします。
本日NHKで、「患者受け入れ問題、命守るために」なんてやっていましたが、一番の解決策は、こういう不当な裁判をなくすことです。
↓なるほど~と思われた方、こちらもぽちっと、応援よろしくお願いいたします!
今は何位かな?「ブログランキング」
さて、今日は私の外来に、「最近、昼間のじっとしている時でも時々胸に痛みのある」患者が受診したので、胸部レントゲン写真と運動負荷心電図に異常がないことを確認した後、心臓の血管の収縮を予防する薬と、心臓の血管を広げる薬と、血液をさらさらにする薬と、胃酸分泌を強力に抑える薬を投与せざるをえませんでした。先日、以下のような報道があったからです。
発作死「投薬怠る」 病院側に1億円超賠償命令
北海道函館市の国立病院機構函館病院に胸の痛みを訴えて入院し、退院後に心臓発作を起こして死亡した男性=当時(49)=の遺族3人(札幌市)が病院側に約1億3600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁は3月13日、約1億2千万円の支払いを命じた。判決理由で本間健裕(ほんま・けんゆう)裁判長は「検査結果から、退院後に狭心症の発作を起こす可能性が高いといえた。予防のための投薬をするべきだったのに怠った」と述べた。判決によると、男性は、2008年3月26日に心臓検査のため函館病院に入院した。カテーテル検査などを受けたが、確定的な診断は出ず、退院翌日の4月2日に発作を起こし、多臓器不全などで4日に死亡した。函館病院の伊藤一輔(いとう・かずすけ)院長は「主張が認められず遺憾。判決内容を検討し、今後の方針を決める」とのコメントを出した。
(共同通信より引用)
こんな不当な裁判、おそらく病院側は控訴すると思います。
少し専門的な話になるのですが、「カテーテル検査などを受けたが、確定的な診断は出ず」ということは、カテーテル検査で心臓の血管の収縮を誘発する薬で誘発試験を行って診断基準に照らし合わせても、心臓の血管が収縮して狭心症や心筋梗塞を起こす病気だとは断定できなかったということです。それにもかかわらず、病気が断定できない場合に予防的に薬を投与せず、それで患者が死亡して医者に賠償責任が生じているわけです。
こういう判決が出ている以上、私は患者の診断ができない段階から、考えられる全ての致死的疾患に対して薬を予防投与しなければならないのです。そういう時代に突入したのです。
本日私の外来を受診したこの患者は、確定してもいない病名を「確定病名」とされて、薬を処方されざるを得なかったのです。
皆さんもお気づきのように、この裁判および報道の問題点は、
(1) 医学の素人である裁判官が判断している
(2) 判決だけでなく原告と被告の主張も同時に報道するべきである
(3) ある「一定の確率で有害事象が起こること」と「治療を怠ること」は別問題である
(4) そもそも、病気の「疑い」だけで、薬を健康保険で処方することは認められていない
ということです。特に(3)は裁判官の決定的な判断ミスです。
この判決はまるで、交通事故で人が死亡したので、そういう車を作っているトヨタ自動車が訴えられ、敗訴したようなものです。そういう場合、トヨタ自動車は車を作るのを止めるでしょう。つまり、医者は患者を診るのを止めるのです。
「ある一定の確率で有害事象が起こること」と「治療を誤ること」は別問題です。
患者の皆さま、これからは各医療機関で処方される薬の量が徐々に増えていきますので、どうかご了承ください。苦情がある場合は、この「本間健裕」裁判官までお願いいたします。
本日NHKで、「患者受け入れ問題、命守るために」なんてやっていましたが、一番の解決策は、こういう不当な裁判をなくすことです。
↓なるほど~と思われた方、こちらもぽちっと、応援よろしくお願いいたします!
今は何位かな?「ブログランキング」