医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

精神・人格異常(その15) 栗原勇一郎の場合

2019年02月12日 | 神経
私の趣味の1つに読書があります。
だいたい1週間に1冊のペースで年間50冊ほどを読みます。興味の湧いたテーマがあるとそのテーマに関する書籍を集中的に10冊以上読むこともあります。

現在、集中的に読んでいる本は「人格や性格の異常」に関しての本です。このことに関して、最近私は30冊ほど読みましたので、お勧めの本をご紹介しながら記事を書いているシリーズの15回目です。今ではこれに関する本は45冊ほど読みました。

今回は、皆さんご存じの自分の娘を虐待死させた疑いで逮捕された栗原勇一郎の場合です。

実の娘を、しかも小学校4年生という自分の判断も十分出来る子供を殺すことなど、普通の神経では到底考えられません。

2016年11月に発売されたこの本の287ページにこんな記載がありました。
つながる脳科学 「心のしくみ」に迫る脳研究の最前線 (ブルーバックス)

オスマウスでは「分界条床核菱形部」という広義の扁桃体に属する脳部位が、赤ちゃんマウスに対する攻撃性に関係することも分かってきました。「オスの子殺し」については、野生動物の生態や行動学の話を聞いたことのある方もいるかもしれません。

動物でオスのリーダーが代わった時に、新しいリーダーのオスは前の血を受け継ぐ子供を皆殺しにして、自らの遺伝子を効率よく残すことをします。しかしオスには「内側視策前野」の働きで子殺しをせず、むしろ子供を守り育てる「父性の目覚め」が起きます。

では、子育て子殺しのどちらにするか、決断する脳部位はどこにあるかというと、子育てするオスマウスでは脳の「内側視策前野」の後方中央部で、あるタンパク質が増加していました。このタンパク質は子殺しを促進する「分界条床核菱形部」の働きを抑制します。

栗原勇一郎容疑者の脳の「内側視策前野」であるタンパク質が不足し、「分界条床核菱形部」の働きを抑制することができなかったのです。

そうすると皆さん、ちょっと困ったことに気がつきませんか?栗原勇一郎容疑者は脳の働きが異常だったのであって、刑務所に行ったり死刑になったりするより、病院に行くべきではないかと。

私は、理由がどうであれ、結果としての犯罪に償いをしていただきたいと思います。人の命を奪ったのであれば、自分の命で償うべきです。

私は刑法39条の「心神喪失者の行為は罰しない」という考え方には反対です。なぜなら、脳科学が今後ますます進歩し刑法39条の考え方のベクトルがどんどん進むと、栗原勇一郎のような場合は脳の異常という病気だということで「罪に問えない」ことになってしまうからです。


刑法39条

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コメント (1)
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