医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

認知症治療薬 メマリー の問題点

2024年07月03日 | 神経
私の愛読書「聖書」の「詩編」の第一章にはこのように書かれています。
これはなんとカトリックとプロテスタントの「共同訳」で、31年ぶりにゼロから翻訳された最新版です。

聖書 聖書協会共同訳 旧約聖書続編付き 引照・注付き 中型 SIO43DC
ここの820ページです

幸いな者
悪しき者のはかりごとに歩まず
罪人の道に立たず
嘲る者の座に着かない人

悪しき者は違う
風が吹き払うもみ殻のよう
悪しき者は裁きに
罪人は正しき者の集いに耐えられない


前回、認知症に対するメマリーと呼ばれる薬を評価した臨床研究で使用されたSIB-Jと呼ばれる指標で、メマリーを内服すると6ヶ月間で4点低下しなかったというのが、本当に有用といえるのかということをお伝えしました。

Efficacy and safety of memantine in patients with moderate-to-severe Alzheimer's disease: results of a pooled analysis of two randomized, double-blind, placebo-controlled trials in Japan
Expert Opin Pharmacother 2014 May;15(7):913-25.


無料でダウンロードできますので、皆さんもダウンロードしてみて下さい。

上の図がこの論文の図です。

これを見ると、前回お伝えしたSIB-Jと呼ばれる指標で主に差があるのは「言語」の2点だけです。赤色を「赤色」と言えたら2点らしいですが、それでは1点ってどういう状態?と思いませんか。
その他の能力は、多くても0.5点しか差がついていません。

循環器分野での臨床研究で、エンドポイントを「入院」とするのは担当者の判断でどうにでもなってしまうので、勧められていないのですが、赤色を「赤色」と言える時の1点って、評価担当者の判断でどうにでもできてしまうし、その「言語」分野の評価でのみ、ある程度の差があるというのも、私は怪しく感じてしまいます。

以前は「ワセダクロニクル」と呼ばれ、今は「Tansa」と名称を変更した探査報道機関に、実はこんな報道がありました。

香川大教授、認知症薬の製薬6社から年間1900万円超の副収入(7)

第一三共の認知症薬を「ごまかし」評価、香川大教授が論文で(8)

これでは、6ヶ月間で4点低下しなかったというのが、本当に有用といえるのか?という疑念をもたれてしまいますね。

私は、これらの理由でこの薬を患者に処方していません。

この薬も大丈夫かなぁと思います。
lecanemab、FDAがアルツハイマー病治療薬として迅速承認/エーザイ・バイオジェン|医師向け医療ニュースはケアネット (carenet.com)


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