医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

大腸ファイバー検査は大腸ガンによる死亡を減らせる

2025年02月23日 | 
プレジデント 2023/10/13号では「健康診断のウラ側」ということを特集していました。

ここで東大医学部卒の医師3人が、誤ったことをたくさん扇動していましたので、一つ一つ根拠を示しながら反論したいと思います。

養老孟司という解剖学者ですが、東京教育大学卒の池田清彦という生物学者との対談でそそのかされたということもありますが、
「僕は医者にかかって薬を毎日飲んでいます。たぶん意味がないけど、飲まないと医者の期限が悪くなるから仕方がない。医者に気を使っているわけじゃないですよ。池田君が指摘したように、システムの問題で、薬を出さないと医者は食べていけません。僕がずっと病院に行きたくないと言っていたのは、一度医者にかかるとそのシステムに否応なく巻き込まれるからでした。」
と言っています。

彼は以前から抗がん剤に対して否定的で、「ガンになっても受けない」と公言していましたが、このほど小細胞肺ガンステージIIであることが判明し、抗がん剤治療+放射線治療を受けていると、以下の本に書かれています。

養老先生、ガンになる

プレジデント 2023/10/13号にはその他に東大卒の和田秀樹という精神科医は「コレステロール数値のコントロールは早死にを招く」(24ページ)などと言っているし、同じく東大卒の大脇幸志郎という医者は「大腸ガン検診を受けても99%以上の人には意味なし」(32ページ)などと言っています。これも誤りです。

大腸ファイバー検査は、強制的に下痢を起こさせて大腸内をきれいにしないといけないので被験者の負担があり、日本では検診としては行われていないのですが、欧米で大腸ガン検診である大腸ファイバー検査の有用性は以下の論文で確立されています。
これは88,902人を22年間経過観察した素晴らしい論文です。

Long-Term Colorectal-Cancer Incidence and Mortality after Lower Endoscopy
N Engl J Med 2013;369:1095-1105


Nurses’ Health Study and the Health Professionals Follow-up Studyに登録されていた88,902人が1988年から2008年まで大腸ファイバー検査を行った人と行ってない人に分類されて、2010年まで大腸ガン、2012年まで大腸ガンによる死亡が調査されました。その結果、1,815人の大腸ガンと474人の大腸ガンによる死亡が確認されました。

結果は、大腸全体の大腸ファイバー検査は、検査を行わないより大腸ガンによる死亡は0.32倍(95% CI, 0.24 to 0.45)に減少しました。

大腸ファイバー検査を施行して切除可能なポリープが見つかると切除してしまいますので、検査した後も15年後までは有意に0.26 倍(95% CI, 0.12–0.59)大腸ガンの発生は減少しています。



東大三羽カラス、カラスは鳥類の中でとても知能が高いらしいですが、彼らこそが「現代人がいかに考えないままに、己の周囲に壁を作っているか」と書かれてあった「バカの壁」なのではないでしょうか。

私はこれまで数千人以上の患者を数十年間以上続けて診てきましたが、東大三羽カラスの皆さんは「机上の空論」論者、数千人以上の患者を数十年間以上続けて診たことがないのだと思います。数千人以上の患者を数十年間以上続けて診ていると、血圧やコレステロールの薬をしっかり内服する500人ぐらいの患者と、内服を拒否して血圧やコレステロール値が高い500人ぐらいの患者では、血圧やコレステロール値が高い患者には脳梗塞や動脈硬化性疾患が多いなぁということが自分1人の経験でも感じられます。

車を運転していて交通事故に遭う確率は「車 交通事故 確率」で検索してみるとバラツキはありますが大体100分の1だそうです。大脇幸志郎という医者が「大腸ガン検診を受けても99%以上の人には意味なし」と言うのは、「シートベルトをしても99%以上の運転者には意味なし」と言うのと同じ、まさに「バカの壁」です。

このようなことを週刊誌に載せるということは(真実性)、たとえ悪気がなくても、国民の健康に不利益をもたらす(公益性)(公共性)ので、注視すべきことだと思います。それにしても、「プレジデント」は昔は「1分で伝わる話し方」や「一生ものの勉強法」など、ためになる記事が多かったのですが、今や「週刊ポスト」並みに没落してしまいましたね。


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