医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

肺ガンの検診に有用な検査

2006年03月08日 | 
先日、PET(ペット、陽電子放射断層撮影)によるがん検診では85%のがんが見落とされていたことが新聞記事になっていました。
PET検診、がんの85%見落とし…がんセンター調査
それではどのようなPETの使い方をすればよいかという論文をご紹介いたします。

Early lung-cancer detection with spiral CT and positron emission tomography in heavy smokers: 2-year results
Lancet. 2003;362:593.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

対象は年間20箱以上のタバコを喫煙する50歳以上の1,035人で、5年間調査されました。

毎年低線量CTを実施し、5mm以上の病変を認める場合には精密造影CTを実施し、5mm未満の場合はそのまま経過観察としたところ、2年目までに298人(29%)に肺病変(この時点では肺ガンとは確定していない)が発見され、そのうち95人の病変が5mm以上で精密造影CTが実施されました。その結果22人が肺ガンと診断されました。

一方、PETは精密造影CTで7mm以上の病変がある42人に実施され、18人の肺ガンを診断しましたが、2人の肺ガンを見逃していました。

つまり、PETはあらかじめCTなどで疑わしい対象を絞り込んだあとで実施した方が有用であるという事です。しかしそれでも1割の肺ガンを見逃していた事になります。やはり不特定多数を対象にしてPET検査を温泉ツアーなどとセットにした旅行企画というのは無理があるのではないでしょうか。


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