娘の出産予定日が近づいていた。私はなんとなく落ち着かずに外に出ることも出来ずに、机の上を片付けたり読みかけの雑誌をめくったりしていた。初めてのお産できっと一日中かかるのだろうと思っていたら、一時間ほどで子供が生まれたと娘からメールが届いた。私の時にはどの子も随分時間が掛かって苦しんだのを覚えているのでとても心配していた矢先の事だった。取るものもとりあえずに電車に乗って駆けつけたら、娘ははすっきりした顔をしてベッドにもたれていた。小さな赤ん坊だったので小児科に入院する事になったが、母子ともに異常はないとの事。面会時間を過ぎていたので可愛い孫の顔を見ることは出来なかったが、幸せいっぱいの夫妻の顔を見て私もほっとした。そう言えば「小さく産んで、大きく育てる」とよく言うが、子供が小さかった分お産が軽く済んだのだろう。私もそうすればよかったなんて今ごろ気がついてももう遅い。
