3月も早や半ばを過ぎ、何か始めていかねばならない。大げさな物言いだが、その大げさな物言いの極致がJ-POPや昭和歌謡の歌詞群である。21世紀も10年代の終りに近づいて、10代の若者たちが過去をなぞり始めた。00年代の激動を通り過ぎて、この2010年代には何か新しいものが生まれているという。ふと思ったのは、同時代の1970年代から80年代に移ってゆく頃のまるごとの空無感である。・・それにしても、現在の10代の手作りの《うた》は、1990年代のカラオケ文化の《場》の混沌を経て、どのように変容していったのだろうか。・・・《続く》
きみの気持ちはいつも 世界のすべてを変えてゆく/そのことに気がついて 始めの一歩をふみだそうよ ・・・『SOMEDAY』(詞・歌 琴音)
琴音 高一 『成長記』
琴音(ことね)さんは、新潟県の高校生16歳(4月から2年生)。中学時代は引き籠りがちだったが、歌うことと出会うことで自分の進むべき道を発見したという。昨年秋、テレビ朝日系の『音楽チャンプ』でその独自の世界観を見出され、現在3週連続のチャンプとなった。
その暗鬱な声調は痛々しさを引き摺るが、どこか吹っ切れたような力強さがキラッと光る。彼女が好んで歌う曲は、1990年代~00年代の時代の変化が大きなうねりを生み出す渦中で歌われたものばかりだ。彼女もまた、2010年代の終りという特別の時代の真ん中で何かをつかみ取ったのだろうか。