少々品の無い話しからスタートするが、
かりんとうと言う菓子は、実に犬の“あれ”にそっくりだ。
魅力的な黒く輝くものが、小麦粉を揚げた親指状のものに、
たっぷりとついている。
確かに見た目は、犬の“あれ”を連想させられる。
しかし、私はこの菓子を一旦目にすると、
眠っていた食欲がフン起し、思わず頬張りたくなる。
そして一度口にすると、
「もう1本、もう1本、もう1本…」
と止め処なく食べてしまう。
いかん! いかん!
「こんなに糖分を取っていいのか…」
と心で自制心が働くが、手は意志とは逆に動く。
悪魔の菓子、かりんとうだ。
私は、このかりんとうに目が無い。
甘いものが欲しい時、疲れた時、
このかりんとうを食べる。
固くもなく、柔らかくもない触感。
「カリン」と口の中で音が響く。
その瞬間、黒砂糖の「トウ」分が広がる。
それで“カリン・トウ”という訳でもあるまいが、
とにかくうまい菓子であることに間違いがない。
心の中に甘い黒砂糖の味が、太鼓のように響き渡る。
名菓である。