素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

『学ぶ』ということ

2009年08月02日 | 日記
 昨日のワークショップで、講師の佐合井さんが、最後に「本当に簡単なリズム遊びでしたが、音楽の原点はリズムだと思います。今日、体験したことで 次に音楽を聴く時、少し違った角度からも 音楽をとらえてもらえたら嬉しいです。」という話をされた。
 帰り道、二つめに勤務した中学校の 文化祭の取り組みでのことがリンクして思い出された。

 その中学の文化祭は、合唱とホリゾントをコンクール形式でおこなっていた。伝統が出来つつあったので、歌も絵も 質の高さを求めるようになっていた。
 転勤して、すぐに3年生の担任になったが、生徒のほうがよくわかっていたので、ほとんどホリゾントに関してはノータッチで、いつのまにか出来ていたという感じだった。問題は1年生の担任になった時である。歌のほうは 前任校でも経験があったので何とかできたが、ホリゾントはさっぱりわからなかった。2.7m×8mの大キャンパスに、貼り絵で、自由曲のイメージ画を制作しなければいけない。しかも美術は苦手科目。どうしていいのかわからないので、生徒が描いた下書きを持って、美術の先生にアドバイスを求めた。あまりにも幼い絵(担任は結構いけると思っていた)だったのでしばらく無言。ゆっくりと基本中の基本を言ってくれた。
 *山の色、緑じゃないです。特に遠くの山は。
 *空の色も青一色じゃないですよ、下の方と上の方じゃ違いますよ。
 *木はうちわじゃないですよ。枝や葉はもっと立体的ですよ。木は茶色、葉は緑じゃないですよ。
 とにかく、もう一回しっかり、思い込みを捨てて、いろいろな物の色を観てください。そこからですね。と苦笑した。生まれて初めて、『色』というものを意識的に見るようになった。山・空・木たしかに違う。図書室へ行って、画集を見ると、色使いにビックリ。まだ小さかった子供と一緒に、どらえもんのアニメを観ている時も背景の色ばっかり気になって、色使いに「なるほど」とうなづいたりするので、「変なお父さん」と言われたこともなつかしい。
 ホリゾントに取り組むことで、景色、絵画、写真を観る目が劇的に変わったのは事実である。

 何かを『学ぶ』ことは、今までと違ったものの見方、考え方ができるようになる。ということだと思う。単にドリルの繰り返しや知識の暗記だけに重きをおいてはいけないと思う。
コメント
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