素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

 前川清の♪恋唄♪を聴くと

2023年01月30日 | 日記
 車で買い物に出かけた。ラジオのスイッチを入れると前川清の特集をしていた。彼の歌の中ではあまり歌われることのない♪恋唄♪が流れた。とても懐かしく感じた。

 この歌を初めて耳にしたのは朝明けやらぬ中を家に帰る車の中だった。世間でいう「朝帰り」だが艶っぽい話ではない。私が枚方市で勤めた1970年代中頃から、高校の新設が相次いだ。地元にできた新設校を育てようと「地元集中運動」が教職員組合や同和教育研究協議会を中心に取り組みが始まっていた。

 私は自分の進路を決める時には自分の意志を大切にして来た。そのために受験では数々失敗をしてきたが悔いというものはなかった。そういう私にとって「地元集中運動」のやり方は違和感だけしかなかった。大きなうねりの中で流されないようにするのが関の山だった。

 極力、進路担当者になることは避けてきたが、40代半ばともなると学校の事情で進路担当を引き受けざるを得ないこととなった。公立高校の出願期間中は夜7時頃から各中学校の進路担当者が出願状況を持ち寄り会議を開いて調整をした。締め切り前の大詰めには徹夜状態で会議が行なわれることが多かった。

 仮眠1~2時間で出勤して授業をするという生活は今考えると異常というほかない。ブラックそのものである。そういう帰り道聞いたのが♪恋唄♪であった。「いい歌があるから」とNさんから渡されたカセットテープを何気なくかけたのだが、睡眠不足と徒労感でいっぱいの心身にものすごくしみこんできた。車を停めて何度も聴き返したほどだった。

 この曲を聴くと当時の様々な思いや記憶がよみがえってきた。歌の持つ力かな?

 恋唄 前川清


 地元集中運動は20年余り続いて消滅した。第二次ベーブ―ム世代が中学生になった頃のことだが、大きな社会実験だったと思う。渦中にいた一人として教訓はしっかり心に留めておかなければいけないと♪恋唄♪を予期せぬ形で聴きあらためて思った。
コメント
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