「心ゆたかな暮らしを」  ~Shu’s Page

小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

インフルエンザの恐怖 2

2006年01月23日 | 雑感・日記的な
感染症が恐ろしいこと、その割りに予算が少なく、国家的な予防対策には程遠い状況であると前回に書きました。

 やはり、予算が少ないということは致命的で、海外での研究対応体制も極めて貧弱である。日本は海外に研究拠点を持っていない。その為、感染症が発生した地に研究員を派遣しても、せいぜい2週間で帰ってこなければならない状況だ。

 よって、中国、タイ、ベトナム、インドネシアでトリインフルエンザが発生するたびに、5,6人しかいない研究者が現地に飛んでいる。海外にベースがないため、日本にウイルスのサンプルを持ち帰って分析することになる。

 そして、研究者の人材育成が進んでいないことも深刻である。感染症研究は研究体制や設備が脆弱な上、研究者の総数も削減の方向にあり、研究を志す者は極めて少ない。

 人材育成とはベテラン研究者とともに研鑽を積むことにあるが、1人前になるには10年近くを要する。現在の研究者が若手を随伴する余裕も無く、日本の感染症研究は先細りになる可能性が高い。

 「人材育成」といわれて久しいが、「人命は地球より重い」が政府の見解なら、もう少し、その対応に配慮されるべきでしょう。
 あの自由競争を基本とする米国ですら、医学生物学分野、特にヒトの生命にかかわるところは経済競争論ではなく、全て国が担当し、膨大な人、資金を投入している。ちなみに米国疾病管理対策センター(CDC。主として感染症に対応。人員8600名、年間予算8300億円)と、日本の国立感染症研究所を比較すると、人で30倍、予算で170倍である。

 人材確保や予算面での措置が求められるが、特に急ぐべきは、海外における恒常的で、わが国の感染症対策に貢献しうる、日本の調査研究拠点をつくることであろう。
 アジア各国には、感染症へ対応できるノウハウや体制が薄いのである。

 そこで日本が現地に拠点を設けて、一連の初期動作を現地政府と共に行う。それによって、日本周辺国での感染症の拡大を阻止できうるとともに、研究・診断材料やデータを蓄積できる。

 これが日本の感染症研究と対応の充実に大きく寄与し、設備や体制の充実によって、若手研究者を呼び込むことにつながり、志ある優秀な人材を確保できるという好循環をもたらすはずだ。

 何か事が起こる前に1億円使うよりも、事が起きてから100億円を投じることが当たり前のような感覚が日本には根強く残っている。
 5億円あれば感染症対策に十分な海外拠点を一つつくることができ、50億円でアジアの主要各国に展開することが可能だ。

 感染症対策に一国平和はありえない!感染症のリスクが増大する中で、この取り組みこそが日本の国益を守ることに直結し、さらには感染症だけの問題にとどまらず、アジアにおける日本のプレゼンスを飛躍的に高めることに通ずるはずだ。


 と、締め括られております。 実に感慨深いレポートでしょう? このレポートは多くの日本国民に見てもらいたいですし、日本政府の関係者全員に読んでもらいたいです。

 非常に不透明だと言われている「ODA」や「円借款」を使って、「これを建ててやった」、「こんな援助をした」というよりも、実質的に効果を発揮しますし、将来的に必ずアジアの繁栄に役立つでしょう!

 今後の日本政府の感染症対策に大きな関心を持って見ていきたいと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする