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この世界観は好き『ユージニア』by恩田陸

2016年07月06日 | 小説レビュー
~「ねえ、あなたも最初に会った時に、犯人って分かるの?」こんな体験は初めてだが、俺は分かった。犯人はいま、俺の目の前にいる、この人物だ―。かつて街を悪夢で覆った、名家の大量毒殺事件。数十年を経て解き明かされてゆく、遺された者たちの思い。いったい誰がなぜ、無差別殺人を?見落とされた「真実」を証言する関係者たちは、果たして真実を語っているのか?日本推理作家協会賞受賞の傑作ミステリー。「BOOK」データベースより


『夜のピクニック』に次ぐ、恩田陸作品第2弾です。

「これは読むべし!」的なレビューがとても多く、ブックオフで購入しました。

読みはじめから、薄いモヤというか、霞がかかったような不思議な雰囲気が漂い、「ああ〜、この世界観は惹かれるわぁ(^^)b」と思いました。

世間を震撼させるような大事件が起こり、その関係者が当時を振り返りながらのインタビュー形式で物語が進行します。

湊かなえさんの作品でも、こういう技法は良く見られますね。

スゴくミステリアスな登場人物のキャラクターに、ますます引き込まれる一方で、「?(・_・)?」という疑問点がいくつか浮かび上がりますので、頭の片隅に「あれはどうなん?」と、未消化のまま進んでいきます。

結局、その疑問点は最後まで払拭されないまま、ある意味「謎は謎のままで」エンディングを迎え、やや消化不良の結末です。

伏線回収率や、「そうやったんか!」という読後感を求めるならば、この作品はオススメできません。

でも、とても美しくも儚い物語なので、「そういう終わりか方もありね」と納得してくれはる方になら、読んでいただきたい作品です。

中盤までの期待感が高かっただけに、
★★★3つです。