「心ゆたかな暮らしを」  ~Shu’s Page

小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

透明感と心地よさ『パイロットフィッシュ』by大崎善生

2016年07月29日 | 小説レビュー
~人は、一度巡りあった人と二度と別れることはできない。
“別れ”に涙を流したことのあるすべての人に捧げる、愛しくせつない、至高の青春小説。「BOOK」データベースより


映画化される『聖の青春』が読みたくて、BOOK・OFFで大崎善生のコーナーを探していたら、この作品にスゴく惹かれて手に取りました。

何の先入観もなく、先日読んだ『ダブルファンタジー』で溜まってしまった心の澱を浄化するために読み始めたんですが、すぐに「これを選んで良かったぁ〜(*´∀`)」と思えました。

読んでいて、とても心地よく、文章がスゥーっと心に染み込んでいきます。

登場人物の透明感と、サラリともフワリともいえるセリフ、そして作者の描く美しい情景。どれをとっても心地よく、大好きな作品になりました。

後半で「ハッ!」とさせられるシーンもあり、ストーリー的にも読みごたえが有ります。

読み終えたあとに、もう一度読み返しました。こういうことは、僕にとって、かなり稀なことなんですが、再読すると、さらに心に滲みわたります(T^T)

ハッとなったシーンでは、再び鳥肌が立ち、読後には「この本は、ずっと側に置いておきたい」とさえ思いました。

文中に何度も出てくる「記憶」という単語。とても印象的な一説があるので、取り上げますね。

『これまで出会ってきた多くの人たちから影響を受け続け、そしてそんな人たちと過ごした時間の記憶の集合体のようになって今の僕がある。それが、人と人とが出会うということなんじゃないかな?一度出会った人間は二度と別れることはできない。』

うまく説明できませんが、皆さんも少なからず共感してもらえるのでは?

ページ数も比較的少ないので、癒されたいときには手に取りたい小説です。

★★★★4つです。