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感服!『鬼の足音』by道尾秀介

2016年07月07日 | 小説レビュー
~刑務所で作られた椅子に奇妙な文章が彫られていた。家族を惨殺した猟奇殺人犯が残した不可解な単語は哀しい事件の真相を示しており…(「〓(ケモノ)」)。同級生のひどい攻撃に怯えて毎日を送る僕は、ある女の人と出会う。彼女が持つ、何でも中に入れられる不思議なキャンバス。僕はその中に恐怖心を取って欲しいと頼むが…(「悪意の顔」)。心の「鬼」に捕らわれた男女が迎える予想外の終局とは。驚愕必至の衝撃作。(「BOOK」データベースより)

素晴らしい!(^人^)

「これは短編集ですよね?」って問い掛けたくなるほど、6つの物語の内容が濃い!

ミステリーというよりも、ホラー、サスペンス小説です。

解説を京極夏彦氏が書いておられるのですが、まさに絶賛です。

同じジャンルの作家さんから絶賛されることほど嬉しいことはないでしょうね。

とにかく僕も、道尾秀介氏の作品を読むたびに絶賛していますが、この人は本当に天才です!

トリック抜き?で、これほど読ませる文章が書ける人は少ないと思いますよ。

作中の「鬼」は、人の心の中に巣食う悪意の塊で、人間の誰しもが内包しているものだと思います。

それが、理性という殻を破って表面に這い出てきたとき、人は人でなくなり、鬼と化すのでしょう。

そういう物語が短いページ数の中にギッシリと詰まった見事な短編集です。

ホラーやサスペンスが嫌いな方でなければ、是非ご一読下さい。

★★★☆3.5です。