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小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

良かったよぉ『こうふくあかの』by西加奈子

2017年12月17日 | 小説レビュー
〜結婚して十二年、三十九歳の調査会社中間管理職の俺の妻が、ある日、他の男の子を宿す話。
二〇三九年、小さなプロレス団体に所属する無敵の王者、アムンゼン・スコットの闘いの物語。この二つのストーリーが交互に描かれる。
三十九歳の俺は、しだいに腹が膨れていく妻に激しい憤りを覚える。
やがてすべてに嫌気がさした俺は、逃避先のバリ島で溺れかけ、ある光景を目にする。
帰国後、出産に立ち会った妻の腹から出てきた子の肌は、黒く輝いていた。
負けることなど考えられない王者、アムンゼン・スコットは、物語の最後、全くの新人レスラーの挑戦を受ける。「BOOK」データベースより


『こうふくみどりの』と、微かに繋がっている作品とのことですが、ストーリーが繋がっているというよりは、共通するキーワードがあるという感じです。

それは「アントニオ猪木」ですね。

『こうふくみどりの』よりも、こっちの方が好みですね。一気読みでした。

主人公が中年男性で、「人から、どのように見られているか」といことが気になって仕方ない性格というところも共感できました。

現代と約30年後の日本との物語が交互に語られるんですが、途中で繋がっていることに気付きます。

一見、ありえないようなストーリーなんですが、まるで伊坂幸太郎氏の作品を読んでいるような心地よさがあります。

最後にタネ明かしが用意してあるんですが、スッと腑に落ちる内容で納得です。

自分が主人公の立場なら、受け入れられるかどうかわかりませんが、何となく「わかるかも、その気持ち」と共感できます。

読んでいて、心がけホンワカと温かくなるような物語です。

★★★☆3.5です。