〜ベストセラー『水曜の朝、午前三時』著者が十年ぶりに放った長編恋愛小説、待望の文庫化。
「私」は編集者。あるとき手記募集で応募してきた女性に関心を持ち面接をする。
その女性、毛利伊都子は女優であり、彼女の波乱の人生に興味を持ち、ほどなく交際を始める。
伊都子には息子がいたが夫の影はなく、同じく娘を持つ私は共感を覚え、密かな情事を深める。
だが伊都子の家に出入りするうち私は監視されていることに気づいてしまう。
彼女の息子の父親であるかつての恋人が指名手配されていたのであった。
苦くて甘い大人の恋愛を描かせたら他の追随を許さない著者の、真骨頂ともいえる長編。「BOOK」データベースより
蓮見圭一氏の作品は初読です。とてもセンスの良い文章を書かれます。セリフも情景描写も良い感じですし、BGMも心地いいです。
そして時折、文中に挿入される文学作品の引用やセリフの引用等も巧みで、前半はとても引き込まれました。
序盤で、いくつかの伏線があり、「この二人はエエ感じやけど、どうなっていくんやろ?クライマックスで、何かドーンと爆発するかな?」と期待しながら読みました。
しかし100頁ほど読んだあたりで、「左翼」、「公安」が出てきて、一気にミステリー度合いが増してくるんですが、クライマックスへと続く期待感と物語への求心力は逆に降下しました(-_-;)。
確かにアラフォーの恋愛だけで物語を引っ張るには、キャラクターに余程の魅力がなければ続けられませんし、ある程度のサイドストーリーも必要でしょう。
それにしては、キーマン・三田のキャラ作りに若干の物足りなさを感じますし、脇役達のキャラも、もう少し突き抜けていれば抜群だったと思います。
そして、伊都子の気持ちが180度変わってしまう過程や心の変化についても触れられないまま、主人公と同様に「何で・・・?」という気持ちで読了となります。
最後の1行の仕掛けも何となく不発で、前半の期待値が高かっただけに残念な小説でした。
それでも、「なるほど」と唸るような文章は随所に見られますし、読んで損はない作品です。
蓮見氏の代表作『水曜の朝、午前三時』が、中々の評判なので、これを読んでから、蓮見氏の評価をしてみたいと思います。
今作については・・・、
★★★3つです。
「私」は編集者。あるとき手記募集で応募してきた女性に関心を持ち面接をする。
その女性、毛利伊都子は女優であり、彼女の波乱の人生に興味を持ち、ほどなく交際を始める。
伊都子には息子がいたが夫の影はなく、同じく娘を持つ私は共感を覚え、密かな情事を深める。
だが伊都子の家に出入りするうち私は監視されていることに気づいてしまう。
彼女の息子の父親であるかつての恋人が指名手配されていたのであった。
苦くて甘い大人の恋愛を描かせたら他の追随を許さない著者の、真骨頂ともいえる長編。「BOOK」データベースより
蓮見圭一氏の作品は初読です。とてもセンスの良い文章を書かれます。セリフも情景描写も良い感じですし、BGMも心地いいです。
そして時折、文中に挿入される文学作品の引用やセリフの引用等も巧みで、前半はとても引き込まれました。
序盤で、いくつかの伏線があり、「この二人はエエ感じやけど、どうなっていくんやろ?クライマックスで、何かドーンと爆発するかな?」と期待しながら読みました。
しかし100頁ほど読んだあたりで、「左翼」、「公安」が出てきて、一気にミステリー度合いが増してくるんですが、クライマックスへと続く期待感と物語への求心力は逆に降下しました(-_-;)。
確かにアラフォーの恋愛だけで物語を引っ張るには、キャラクターに余程の魅力がなければ続けられませんし、ある程度のサイドストーリーも必要でしょう。
それにしては、キーマン・三田のキャラ作りに若干の物足りなさを感じますし、脇役達のキャラも、もう少し突き抜けていれば抜群だったと思います。
そして、伊都子の気持ちが180度変わってしまう過程や心の変化についても触れられないまま、主人公と同様に「何で・・・?」という気持ちで読了となります。
最後の1行の仕掛けも何となく不発で、前半の期待値が高かっただけに残念な小説でした。
それでも、「なるほど」と唸るような文章は随所に見られますし、読んで損はない作品です。
蓮見氏の代表作『水曜の朝、午前三時』が、中々の評判なので、これを読んでから、蓮見氏の評価をしてみたいと思います。
今作については・・・、
★★★3つです。