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程よい安吾ワールド『オモチャ箱 狂人遺書』by坂口安吾

2020年03月15日 | 小説レビュー
オモチャ箱 狂人遺書』by坂口安吾


~世間が顔をしかめる女たちが、安吾の前に頻出する。
安吾はそれを“自然”だとし、その文学の中に析出する。
安吾が析出した女たちは、40年の時空を超え、今、更に光を放ち、生き出し、動き出す。安吾が“予言者”であることを証明するかのように。
敬愛する牧野信一の人と文学を語る秀作「オモチャ箱」、坂口安吾晩年の力作「狂人遺書」ほか八篇を収録。「BOOK」データベースより


職場の同僚に「坂口安吾おもしろいねぇ~」という話をしていると、「これ面白いよ」と貸してくれました。
・母の上京・オモチャ箱・散る日本・水鳥亭由来・飛騨の顔・都会の中の孤島・中庸・砂丘の幻・狂人遺書・青い絨毯、という10編の短編集です。

坂口安吾は、なかなか物事を捉える視点が鋭く、一つ一つの言葉についてかみ締めて考えさせられるため、読むのに時間がかかりますが、今回は短編集なので、ほどよく消化できました。

「散る日本」や「水鳥亭由来」、「オモチャ箱」は、特に好きな作品です。そして秀吉の晩年を描いた「狂人遺書」は、「ほんまに秀吉が書き遺したんちゃう?」と思えるぐらいの力作です。
そのほかの短編も読み応えがありますし、坂口安吾の世界観を程よく理解できる作品集ですよ。

現代を生きる若者にも、是非とも読んでもらいたい作家の一人です。

★★★3つです。