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構成・品格ともに高水準!『銀漢の賦』by葉室麟

2020年07月09日 | 小説レビュー
 

~寛政期、西国の小藩である月ヶ瀬藩の郡方・日下部源五と、名家老と謳われ、幕閣にまで名声が届いている松浦将監。幼なじみで、同じ剣術道場に通っていた二人は、ある出来事を境に、進む道が分かれ、絶縁状態となっていた。二人の路が再び交差する時、運命が激しく動き出す。第十四回松本清張賞受賞作。「BOOK」データベースより

 

木曜時代劇「風の峠~銀漢の賦(ぎんかんのふ)~」

 

中村雅俊と柴田恭兵のダブル主演でNHKでドラマ化された良作です。

第14回松本清張賞」を受賞した作品とのことで、前評判の高い作品でした。葉室麟氏の作品は初読でしたが、一発でお気に入りの作家さんとなりました。

非の打ちどころのない小説とは、こういう作品をいうのでしょう。どんなに素晴らしい小説でもAmazonのレビューで、☆1がついてたり、☆☆2が数パーセントあったりするもんですが、この『銀漢の賦』では、☆1はゼロ!☆☆2が1つで、それも内容についてではなく誤植があったということについてでした。

批判的なレビューの少なさからも見ても、誰が読んでも「良かったよ」と言ってくれそうな作品です。

ただ単に「ストーリーが良い」、「男の友情を感じた」、「起承転結がしっかりしている」、「エンディングが爽やか」というありきたりな感想では語り尽くせないほど、内容がしっかりとしていて、要所々々で挿し込まれる漢詩が絶妙なテイストを与えてくれており、文学作品としての品位を高めると同時に、重みと深さを与えてくれています。

クライマックスからエンディングまでは、やや予定調和的な感じで上手くまとめたなと思いますが、十分に人に勧めたくなる作品でした。

時代小説の大家である藤沢周平氏と並べて称される葉室麟氏ですが、僕は葉室派になりそうですよ

続いて、これも極めて評判の高い『蜩の記』を読みたいと思います。

★★★★4つです。