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小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

ヤバい小説です!『こちらあみ子』by今村夏子

2020年12月12日 | 小説レビュー

~あみ子は、少し風変わりな女の子。
優しい父、一緒に登下校をしてくれ兄、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいる母、憧れの同級生のり君。
純粋なあみ子の行動が、周囲の人々を否応なしに変えていく過程を少女の無垢な視線で鮮やかに描き、独自の世界を示した、第26回太宰治賞、第24回三島由紀夫賞受賞の異才のデビュー作。書き下ろし短編「チズさん」を収録。「BOOK」データベースより
 
この小説は「ヤバい」です。もちろん良い意味ですよ。
ゾワゾワする小説です『あひる』by今村夏子を読んで、今村ワールドの魅力に憑りつかれた私は、満を持して、そのデビュー作『こちらあみ子』借りてきて読み始めました。
 
読み進めるうちに、段々と読むのが悲しく辛くなってきて・・・
「この小説はアカンのちゃうか?」と、持ちこたえられなくなる寸前で、突然ですよ、ホンマに突然に悲しみの力点が押し上げる作用点がグッと動き出し、何とも言えないフワっとした気持ちが持ち上がり、読み進める原動力が湧いてくるような感じでした
 
上手く言えませんが、解説の町田康氏も穂村弘氏も絶賛しているように、この小説はとてつもなく「ヤバい」と言える作品です。
 
『コンビニ人間』の時にも書きましたが、「何が普通で何が常識外れなのか、そもそも常識って何なのか?」ということを問いかけてくるような、ある意味、常識の外の世界からこちら側を見て書かれているような作品です。
 
嫌いな人は嫌いな世界観かも知れませんが、とりあえず一度は手に取って、今村夏子作品を読んでほしいと思います。
 
★★★☆3.5です。