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『俳誌五七五』11号(2023年5月20日発行、編集発行人高橋修宏)

2023-05-22 18:55:30 | 俳句
『俳誌575』11号
拝受拝読して心が重くなったので
ブログに書いて鎮めようと思う。

『俳誌五七五』は、年2回発行で
2022年から3回(9号~11号)にわたって
今泉康弘の「蒼ざめた龍を見よー木村リュウジ試論」が展開されている。

木村は、
神経症を患い普段から希死念慮に悩まされていたらしい。
俳句という表現形式を手に入れ、「海原新人賞」まで得て
何が死に駆り立てたのかは、
この今泉さんにも分からなかったようだ。
ブログやツイッター、「海原」誌
そして彼の父親に取材しても
わからなかったようだ。
このような死は
そんなものかもしれない。

若者の死は余計に胸をかきむしられる。

試論では、
自死の夜のことは、
宮崎斗士氏の追悼文(『海原』2022年1月号)より引用されている。

“10月20日(木)の夜遅く、彼はこっそりと自宅を出て自転車に乗ったらしい。目的地は近くの公園。一本のロープを携えて・・・”

この「一本のロープ」しか、
木村リュウジの最期を知らないということが
なんとも悲しい。

享年27歳。
10月21日が命日だと父親の恭則さんはおっしゃったそう。
今年は、3回忌にあたる。

狂うまで夏の燕を担保とす  木村リュウジ
くびれつつ昼の螢を四捨五入  〃
(2021年6月ツイッターから引用されている句群より2句抽出)

話は、少し逸れて申し訳ないが
彼が最後にどういう環境の仕事に就いていたのかは
木村リュウジが書いていたブログ(2019年2月)から引用してあるので
少し書いておこうとおもう。
恥ずかしながら私は、こういう酷い会社があるのを初めて知った。

“ 求人情報の上では、
・午前7時から10時まで
(略)
「人手不足だから」「開店前の清掃が終わらないから」という理由で、私を含め社員全員が一時間くらい早い午前6時から仕事をしていました。
そして、その一時間分の給料は払われていませんでした。
私を含め、良くないことだったのですが、全員が「みんなやっているから」という感じで、この給料未払いについて意見しませんでした。
また、時給も891円と埼玉県の最低賃金でした。“


(5月21日県立装飾古墳館に行く途中で撮ったのですが
この麦は何に使うのかな?食用には見えなかった~)

一分単位で付けてくれるところもあれば、
15分単位のところもあるのは知っているけれど~

朝が苦手な私は
早朝や深夜は、時給が高いものだと思っていたが

日本の企業は、もっと若い労働者をだいじにしてほしい。
やたら内部留保せず、
上層部だけ私腹肥やしていないで
賃金上げてください
正社員にしてください
少子化対策はこういうところから始まるのでは?

そういうことは別にして

木村リュウジとは
プネウマ句会でホンのいっとき
座を共にしただけだが
その時に拙句
三界の母にカンナの爆発を
特選にしてくれて
うれしかったことだけはよく覚えている。

彼が「俳句を書きはじめて三年になりました」と
題するブログの記述も書き留めておきたい。

”多行によって俳句を「横に寝かせる」ことで、
句のなかの言葉どうしは等価値になる可能性が増え、
季語に比重がかかる可能性が減ります。
そして、それぞれの行間で言葉どうしはぶつかり合い、
一行では見えなかった美しさが見えます。
そして、そこから「俳」という概念が見えてきます。
(略)
いまの自分が俳句によって表現したいものが、
1行表記であれ3行表記であれ、現実ではなく
言葉の世界にあるということを改めて強く感じました。”

   『俳誌五七五』10号(2022年10月発行)より





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4 コメント

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Unknown (0yazi)
2023-05-23 20:03:21
こんばんは。
この記事は昨晩読んで衝撃的と言いますか、いろんな思いが去来したんですが、それを書くと支離滅裂のバカ丸出しになると思い一晩おきました。

朝が苦手な私は
早朝や深夜は、時給が高いものだと思っていたが

あらためて今夜読み返し感じたのは上記の行でありました。

朝が苦手な私は、の後に「早朝の仕事に就いたことは無く」のような言葉が省かれていると思ったのであります。

自分の驚きは、このような表現にも俳句の手法というか、察して感じろ、的なものを織り込むのか、でありました。

いまの自分が俳句によって表現したいものが、
1行表記であれ3行表記であれ、現実ではなく
言葉の世界にあるということを改めて強く感じました。

の行には、俳句の中に自分の姿は無かった、と受け取ったのですが、勝手な想い、失礼しました。
返信する
Unknown (ifuri36)
2023-05-23 20:34:09
忘れられない俳人ですね。
プネウマ句会では昭和古語?を駆使されて八十歳ぐらいの先達かと
思ってました。自死を想うと胸が痛くなります。
返信する
Unknown (知青)
2023-05-23 21:21:23
>ifuri36 さんへ
そうですね~
木村リュウジさんと交流のあった方々は
皆さんそれぞれの形で胸を痛められたことと思います。
この今泉さんも
この試論を書いたことによって
いろんな思いを一応収められたのだと思います。
返信する
Unknown (知青)
2023-05-23 21:41:40
>0yazi さんへ
暢気なこと言ってすみません💦
フツーに、朝は8時半までに行けばよい
という職場でした。
残業も経験ないです・・・。
今の時代は、あの雇用機会均等法以来でしょうか
労働者にとても厳しい世の中になったな
と思います。

木村さんのその言葉は
そうですね、
現実を書くような俳句の中には、
書きたい自分の姿は無かった

俳句で表現したいものは
日常的な現実の世界(実?)にはなく
言葉で作られた世界(虚?)にある、
というふうに受け取りました。
返信する

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