続・知青の丘

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熊本県現代俳句協会 会報 2024年度 第2号  現代俳句くまもと 第27号 

2024-09-26 00:05:18 | 俳句
熊本県現代俳句協会 会報 2024年度  第2号
 現代俳句くまもと 第27号 

【巻頭エッセイ】
 ただの好み     籾田 ゆうこ
  何やかんやで今年29歳となった。人見知りは赤ちゃんの頃からで、母親の友人が抱っこしてくれても「ぎゃあああ」と大声で泣き喚くため、若干笑顔を引き攣らせて母親の元に返すことが多かったらしい。幼稚園に入るも環境に馴染めず、教室の角で体育座りをして泣いていると、隣で同じように泣いている女の子が居た。それが今でも交流のあるAちゃんである。
  大人になったAちゃんは蘭の花の如し。久々に会うことになり近くのイタリアン料理のお店に入ると「これ美味しいから一緒に食べよう」とサラダやアヒージョ、パスタなど次々と注文し「あ、あたし白ワイン飲みたーい」と最後に追加でオーダー。アヒージョを薄くスライスしたバケットに載せて白ワインで流し込むのである。流暢に食べ終えた彼女はスマホで支払いを済ませ、割り勘するからいくらだったか聞くと「次おごれや~」と笑った。 
 こういったタイプの気持ちの良い人は、悪口を言ったって愛が滲み出てるので思わず笑ってしまう。陰でこっそり良いことしてる人は素敵ですよねといった言葉は現代でも通用するのだろうか。
 隣来てどつと座りぬ秋の猫
 山粧ふ産後病む友の微笑

令和六年熊日俳句大会6月3日
高野ムツオ選
秀逸 初蝶の高さ石人首持たず  生田一代
入選 対岸に先の世も見し桜かな 佐竹佐介
佳作 山彦の声のふくらむ蕨狩り 徳山直子

ねんりんピックはばたけ鳥取2024俳句交流大会
小林貴子選者特選賞      籾田ゆうこ
何もなき場所へ行かんと蜷の道 
 
第七一回長崎原爆忌平和祈念俳句大会
〈参加者一句抄〉
原爆を知らで滞在帰還船     右田捷明
生けるもの皆濡らしけり若葉雨  若松節子
驟雨かな火の匂い秘め黙祷す   徳山直子
老鶯や天に一番近き畑      荒尾かのこ
〈大会俳句選評:加藤知子~大会作品集より〉
特に『オッペンハイマー』と被爆樹のことについて学ばせていただいた。前者は、原爆の開発・製造に関わった科学者の名を冠した、今春上映の映画作品。彼は、その技術的成功に後悔はなく、広島と長崎を訪れることをしなかったという。被爆樹は、一本ではなくて、三十本も指定されている(ネット画像で全て検索可能)という。
特選で印象深かったのは、〈言いすぎて言い足りなくて原爆忌(鎌倉真由美)〉。正に今の、高齢になられている被爆者の方々の思いだろう。原爆投下が風化していく中で、後世にこの人類の愚行を語り継いでいきたいのだけれども、何を、どのように、どれだけ、語れば済むのだろうという悶々とした思い。もう一つは、〈シンボルとなりたるは憂し花は花(本多進)〉。長崎自体も「ナガサキ」と書かれてそうなのだが、この句は擬人法で被爆樹の気持ちを謳った。 戦争と核を巡る危機的状況は常に時代と共にあり、そういうことを憂うる句が多くて、喝を入れられた。

第5回「海上保安の日」俳句大会 
佳作 青き地球宇宙に浮かぶ海保の日
                貴田雄介
≪新会員≫
◎しまもと莱浮さん、独自会員へ
 あまがえる三省堂が建て替わる
 あまがえる南部訛りの現場記者
 雨鳴きで染める新興住宅地

≪会員句集紹介≫
◎加藤知子『情死一擲』
(2024年7月刊、ジャプラン)
 腿深く螺鈿蒔くようほうたる来い
 首筋に情死一擲の白百合

熊本県現代俳句協会 会報 第27号

2024年(令和6年)9月25日 発行

会長・編集発行人  加藤 知子 

事務局長      貴田雄介

 メール:kumamoto_gendaihaiku@yahoo.co.jp

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今しがた撮った守宮
この後、ムツゴロウの下に潜ってしまいました~


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