熊本県現代俳句協会 会報 2022年度 第2号
現代俳句くまもと 第21号
<巻頭エッセイ>
数の論理 西村 楊子
地方にいると、〈現代〉と名のつくものに触れる機会が少ない。俳句に限らず川柳や美術や音楽もそうだ。地方ではまず数の論理に圧倒される。もちろん数がすべてではないことは承知しているが。
わたしは句歴十数年の若輩者ではあるが齢はそこそこなので、もう学ぶというより楽しむということを第一にしている。そこで、超結社の仲間が集うZOOM句会やメール句会、夏雲システムによる句会に誘われるまま参加して、作句に追われる苦しい楽しい日を送っている。おおむね十人寄ればわたし一人が現代俳句人となる。俳句人口の数の論理からみればもっともなことだ。
今年になってから某出版社主催のZOOM句会に月に4回ほど参加している。講師、担当が違うZOOM句会が月に8回も開催されているのだ。半年参加してみて思ったことは、超結社句会では遠慮がちな句を出してしまいがちだということ。これはわたしの反省点でもある。数の論理だから仕方がないことは分かっているのだが、8回のうち一つくらいは現代俳句の講師が大鉈を振るう句会があればなあとおもう。句会で意見を求められても、「その句、五十年前にあったかも」などとは決して言えない。今を詠んでもいいじゃないか。俳句の大家にはもうならないのだから。
ZOOM出て窓のMOONを呼び入れる 楊子
<私の一句自句自解>
月影の微笑がつぶす紙コップ
中山 宙虫
人生はずっとコンプレックスを抱えたまま。いくつになっても、てっぺんに立てない自分。ちょっとした打ち上げ会などで、会話の中心にいたはずなのに話を別の人間に持って行かれてしまうことが良くあった。そいつが自分に向かい、勝ち誇った笑いを見せる。こちらのコンプレックスが見せる笑顔なのだろうが。他人にわからない卑屈な自分だった。
★現代俳句くまもと吟行句会のお知らせ★
日時:10月29日13時から16時頃まで
場所:リデル、ライト両女史記念館内
テント設営あり(雨の場合は記念館2階)
参加投句数:3~5句
参加費:会員は無料、会員外は500円
吟行場所は、
・リデル、ライト両女史記念同館及び敷地内
・桜山神社(神風連資料館など)
・立田自然公園・(泰勝寺跡・細川家三代墓など)
入場料2百円
・小峰墓地(鼻欠け地蔵、加屋霽堅の墓など)
・熊本大学内等
◎吟行したい人は、それぞれに行って、昼食も済ませて、同記念館にお集まりください。
◎吟行できない方は、事前投句で受け付けます。
◎参加予定者と事前投句は、事務局までご連絡ください。
★『現代俳句』列島春秋2022年掲載句(転載)★
1月 産前と産後の姉妹屠蘇少し 荒尾かのこ
2月 いっさいが抽象となる野焼かな 真弓ぼたん
3月 気取りなく生きる通条花の風の中 柏原喜久恵
4月 ひとひらの落花に浮かむ阿蘇五岳 青島 玄武
5月 パンドラの箱に隠れし麦穂波 丘 菜月
6月 江戸の香の栄枯語らず肥後菖蒲 右田 捷明
7月 夏草や阿蘇の赤牛長まつげ 汀 圭子
8月 夏雲へ土偶乳房を尖らせて 林 紀子
9月 阿蘇谷や案山子一体抱えゆく 田川ひろ子
10月 百年の雑談を吾と秋の亀 吉良香織
<令和四年熊日俳句大会 選者:岸本尚毅>
(秀逸)
手で囲う螢火どっと島暮れし 生田一代(準会員)
<お知らせ>
〇第59回現代俳句全国大会イン北九州が11月12日午後1時より開催されます。会場は、JR九州ステーションホテル小倉です。是非ご参加下さい。
会長と事務局長は参加予定です。
熊本県現代俳句協会 会報 第21号
2022(令和4)年10月1日 発行
発行人 会 長 加藤 知子
編集人 事務局長 西田 和平
メール:kumamoto_gendaihaiku@yahoo.co.jp
*本日、北郵便局から発送しました。
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庭に植えたブロッコリーにも
インゲンマメにも大根の双葉にも
カメムシとショウリョウバッタが
一日中きています。
カメムシに芯から吸われてしまったら大変と
時間の許すかぎり
箸でつまんではつぶしていますが
あの独特の臭いが全くしないのはなぜ?
きょうは10匹はあの世往き~
ここ3日続けていますが
根負けしそう~