ご 挨 拶(第14回九州現代俳句大会in熊本投句作品集より)
第14回九州現代俳句大会
( 熊本県現代俳句協会 ) 会長 加藤 知子
この度、皆様のご協力ご支援のもと、第14回九州現代俳句大会を熊本の地で開催できました。四年ぶりの対面開催を、皆様と共に喜び分かち合い、お祝いしたいと存じます。
コロナ禍でありましても、高齢化と言われましても、俳句の力というものは衰えることがありませんでした。今大会の皆様の句群は、非常にレベルが高く、九州の現代俳句は健在であると嬉しく思いました。
今大会は、県内外から四名の招待選者、九州各県から現代俳句協会会員三五名の選者を迎えての選句でした。大会の賞は、今までと趣向を変え、選者特選賞を新しく設けました。そして、今後の句作の参考とするため、選評を頂きました。
大会大賞一句、優秀賞七句、選者特選賞三九句となりましたが、佳句であっても賞をのがした句も散見されました。残念に思われておられる方もいらっしゃるかとは存じますが、次回開催地の大分大会に向けて、更なる研鑽と投句をお願い致します。また、独自性の強い句なども期待したいと存じます。
久しぶりの句友との拝顔の喜びに浴し、旧交を温められて、益々ご健吟に励まれますことをお祈りいたします。
第14回 九州現代俳句大会 入賞作品
大会大賞
52 ⑬
いっぽんの葦が流れを変えている 林 紀子 熊本
優秀賞
490 ⑪ ただ静かな真昼のように在る林檎 安部知菜美 鹿児島
71 ⑨ スキップして青野を少し哀します 入口 靖子 長崎
142 ⑨ 両手両足洗ってもあらっても八月 岩坪 英子 福岡
199 ⑨ 尺蠖が測る方舟までの距離 榮田しのぶ 熊本
6 ⑧ 髪洗う鏡の沖の波がしら 秋山 青松 鹿児島
133 ⑧ 田一枚あそばせてある桜かな 松永 俊昭 熊本
640 ⑧ 約束は梨の形をして座る 山下 久代 鹿児島
賞外佳作(選者特選賞と重なった句は除く)
2 ⑦ 壊れそうなこの星で田を返す 秋山 青松 鹿児島
7 ⑦ さくら狩妻がだんだん透けてゆく 永田タヱ子 宮崎
21 ⑥ 空箱に孤独を入れる十三夜 河野 則子 大分
24 ⑥ 西瓜切る音の途中の訃報かな 河野 則子 大分
112 ⑥ 目ん玉も口もゆるめぬ捨て案山子 有村 王志 大分
202 ⑥ 人類は絶滅危惧種青山河 榮田しのぶ 熊本
213 ⑥ パリ―祭少女誇らしげな鎖骨 安徳由美子 福岡
227 ⑥ 狐火のあつまる原子炉の上に 入口 弘德 長崎
259 ⑥ 生も死も証書一枚かきつばた 藤原 李苑 宮崎
330 ⑥ すぐに来る明日とあさつて貝割菜 杉田 伸子 宮崎
407 ⑥ 夏服の胸のあたりに導火線 足立 攝 大分
569 ⑥ 透明な個室と思う春の闇 堀口良子 鹿児島
608 ⑥ 憲法記念日自動ドア故障中 江良 修 長崎
*第14回九州現代俳句大会は昨日10月21日(土)に
楽しく賑やかに無事終了致しました。