初めて、谺雄二の顔を見た!
詩集『鬼の顔』の作者。
80歳を超えている。少し耳の聞こえが悪いらしい。
彼の手記『わすれられた命の詩~ハンセン病を生きて』(ポプラ社、1997)は昨年読んではいたが、
わざわざ熊本まで来てくれて、
「父母の愛を十分に受けてきたから、私は死なない、生きていける。」と言ってくれた。
以下は、この日の谺の言葉を私がメモしたものに基づく。
“裁判には勝ったけど、歳をとっていって、家に帰れない。飼い殺しの目にあっている。
人間として扱われないのなら、鬼になろう、鬼を貫き通そうと思った。”
谺雄二作
部屋の柱にかけられた鏡に今朝ふと眼をやって
そこに写し出された私の顔に気づく
ずいぶん久しぶりの顔だったが
10歳代で髪が全部抜け落ちた頭に
老いていっそう窪み深めた眼 の一つは義眼
つぶれた鼻そして歪んだ唇から垂れる涎
ハンセン病後遺症を刻んだ相変わらずの私の顔だが
目のあたりにするとやはりギョッとする
だがしかしこの顔は
時に滴る汗には父から受け継いだ匂いがし
一つだけの瞳には同病の母の最期が焼きついている
両親の慈愛と悲哀とが交々こもるこの顔
(以下省略)
当日配布資料~『アンソロジ―人と人をつなぐ 詩人会議の50年』(2012)より
散歩コースでこの時期にはいつも見る定家かづら
谺雄二さんは、黒い眼鏡をかけられていました。
そんなに近くでは拝顔できなかったのですが、
ユーモアあふれ、おおらかで優しい感じの人でした。
千年先まで届く詩を書いてくれと姜さんに頼まれて
谺雄二が書いたという「いのちの証」から抜粋(当日配布資料)
日の丸の汚点(しみ)とされたいのち
殺し殺されの旗印その日の丸は
汚点とせしものにも何ら憚らずはためき
無らい県運動を救らいと鼓舞した
いかなる過ちもすべて棄て流し
現にまた生贄を以って立つ国
だからこそ抗さねばならない
やっと生き残ったのだから
撲滅に遭ったすべての死を蘇らせ
この国からそれぞれのいのちの証を
絶対かちとらずにはおかぬ
(以下省略)
“自分たちの生きた証もなく、死んだ理由もはっきりしないと言って、死んだ病友がやってきている。
谺が生きているうちにと原稿依頼も増えた。
生きていて楽しくない。生き残りではなく死に残りだ。
鬼の独立国を造って、死んだ者達と命の証を立てようか。
詩人谺雄二としてもう一度鬼になりたい。”
知らないでいることにも罪はあると思う。
子育ても終わり、遅まきながら、やっと学びの態勢です。
つながって握りしめたる龍の玉 知青
お隣のバラ!
詩集『鬼の顔』の作者。
80歳を超えている。少し耳の聞こえが悪いらしい。
彼の手記『わすれられた命の詩~ハンセン病を生きて』(ポプラ社、1997)は昨年読んではいたが、
わざわざ熊本まで来てくれて、
「父母の愛を十分に受けてきたから、私は死なない、生きていける。」と言ってくれた。
以下は、この日の谺の言葉を私がメモしたものに基づく。
“裁判には勝ったけど、歳をとっていって、家に帰れない。飼い殺しの目にあっている。
人間として扱われないのなら、鬼になろう、鬼を貫き通そうと思った。”
谺雄二作
部屋の柱にかけられた鏡に今朝ふと眼をやって
そこに写し出された私の顔に気づく
ずいぶん久しぶりの顔だったが
10歳代で髪が全部抜け落ちた頭に
老いていっそう窪み深めた眼 の一つは義眼
つぶれた鼻そして歪んだ唇から垂れる涎
ハンセン病後遺症を刻んだ相変わらずの私の顔だが
目のあたりにするとやはりギョッとする
だがしかしこの顔は
時に滴る汗には父から受け継いだ匂いがし
一つだけの瞳には同病の母の最期が焼きついている
両親の慈愛と悲哀とが交々こもるこの顔
(以下省略)
当日配布資料~『アンソロジ―人と人をつなぐ 詩人会議の50年』(2012)より
散歩コースでこの時期にはいつも見る定家かづら
谺雄二さんは、黒い眼鏡をかけられていました。
そんなに近くでは拝顔できなかったのですが、
ユーモアあふれ、おおらかで優しい感じの人でした。
千年先まで届く詩を書いてくれと姜さんに頼まれて
谺雄二が書いたという「いのちの証」から抜粋(当日配布資料)
日の丸の汚点(しみ)とされたいのち
殺し殺されの旗印その日の丸は
汚点とせしものにも何ら憚らずはためき
無らい県運動を救らいと鼓舞した
いかなる過ちもすべて棄て流し
現にまた生贄を以って立つ国
だからこそ抗さねばならない
やっと生き残ったのだから
撲滅に遭ったすべての死を蘇らせ
この国からそれぞれのいのちの証を
絶対かちとらずにはおかぬ
(以下省略)
“自分たちの生きた証もなく、死んだ理由もはっきりしないと言って、死んだ病友がやってきている。
谺が生きているうちにと原稿依頼も増えた。
生きていて楽しくない。生き残りではなく死に残りだ。
鬼の独立国を造って、死んだ者達と命の証を立てようか。
詩人谺雄二としてもう一度鬼になりたい。”
知らないでいることにも罪はあると思う。
子育ても終わり、遅まきながら、やっと学びの態勢です。
つながって握りしめたる龍の玉 知青
お隣のバラ!