続・知青の丘

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

遠山陽子氏の論考「豊玉発句集―土方歳三の俳句」に魅せられて

2021-07-30 00:06:14 | 俳句
東京多摩地区現代俳句協会「多摩のあけぼの」会報No.139の
巻頭エッセイに遠山陽子さんが
「豊玉発句集―土方歳三の俳句」という文を
寄せられていて、大変興味深く拝読した。
かいつまんで、印象に残ったところのみ列挙していこうと思う。

土方歳三は1835(天保6)年武州多摩郡石田村(日野市石田)の生まれ。
歳三は自他認める俳人だったらしく、
その唯一残した句集が『豊玉発句集』で、
1863(文久3)年2月8日の新選組上洛に先立つ正月に
一冊にまとめたという。

遠山氏は、歳三の俳句について

“司馬遼太郎は『燃えよ剣』のなかで、沖田総司の口を借り、
「ひどいものだ。月並みだ」と言わせているが、このころの俳句は皆月並みだったのである。“

と語っているが、
「このころの俳句は皆月並みだった」と
サラリと言い切っているのはなんとも可笑しい。

巻頭の一句は

さしむかふ心は清き水かかみ

上洛前の張りつめたなかで
純粋な志を謳っているようだ。

ここで思い出すのが
歳三とは真逆の立場で、
福岡藩(1858年脱藩)の攘夷派志士として討幕論を広め活動した、
平野国臣(1828―1864)の和歌。

この胸の燃ゆる思いにくらぶれば煙はうすし桜島山

大学時代に誰からか教えてもらった歌だったが
恋の歌ではないことを後で知った。

村田新八らの手引きにより薩摩藩で共に活動しようとするも、
島津久光や大久保利通の反対にあい失敗、
無念のうちに退去させられた時の和歌だろう。

国臣は、1864(元治元)年禁門の変の騒擾に紛れて、
未決のまま斬首されたという。

ネットでは色々情報を検索できるが、
1860(安政7)年3月3日の桜田門外の変を
国臣は<所から名もおもしろし桜田の火花にまじる春の淡雪>
と詠んでいる。
一方、歳三は<ふりながらきゆる雪あり上巳こそ>と詠み、
(上巳の読みは、じょうし、じょうみ。3月3日のこと。雛祭りのこと。)
こんなところで、発句と和歌の表現の違いも眺められる。

(この写真は記事とは無関係で
鯛スープを取りラップかけていてできた水滴)

話は、遠山氏の論考のほうに戻る。

1868(明治元)年12月29日、
新政府軍の攻撃が始まる束の間、
函館の俳人孤山堂無外主催の句会における歳三の句、

わが齢氷る辺土に年送る

1867(明治2)年5月11日、
新政府軍猛攻撃にて、35歳の壮絶な最期を遂げる。

市村鉄之助が郷里の後援者小島鹿之助にもたらした時の
辞世の和歌は

よしや身は蝦夷が島根に朽るとも魂は東の君や守らむ

歳三の最期の句かどうか断定できないが一応そのようにされている句に
<早き瀬に力足らぬや下り鮎>があるそうだ。

いかなる立場のものであろうと、
若き志士たちの熱い純粋な思いには感涙しきりである。

コメント

俳句短歌誌「We」 第12号目次

2021-07-21 18:21:50 | 俳句

We 第 12 号 目 次
俳句招待作家<偏愛的> ・・・・・・藤田踏青  2
巻頭エッセイ『20週俳句入門』に釣られて・・つくい 3
俳句特別作品「騙り部たち」 ・・・・竹岡一郎 6
俳句特別作品「足のまめ」 ・・・・・小田桐妙女8
俳句・川柳作品 ・・・・・・・・・・・・・   9
竹本 仰 阪野基道 松永みよこ 宮中康雄 森さかえ 
森 誠   石田真稀子 内野多恵子 江良 修 男波弘志
柏原喜久恵  高鸞石 斎藤秀雄  島松 岳 下城正臣 
瀬角龍平 いなだ豆乃助 しまもと莱浮 加藤知子
前号俳句ふたり合評 ・・・・・・・・・・・19
  いなだ豆乃助 江良 修 小田桐妙女 男波弘志 
  亀山鯖男 加藤知子 高鸞石 斎藤秀雄 下城正臣 
  しまもと莱浮 竹岡一郎  西村楊子 阪野基道  森 誠 
竹本仰の前号俳句鑑賞 ・・・・・・・・・・・・・26
前号俳句亀山鯖男選 ・・・・・・・・・・・・32
ひとくちエッセイ ・・・・・・・・・ 男波弘志33
古・難・珍季語集(6)・・ 小田桐妙女 瀬角龍平 
             竹本仰 加藤知子 34
短詩グラマトロジー第六回:濫喩 ・・・斎藤秀雄36
この一句(自句自解篇) ・・・江良修 斎藤秀雄38
共鳴句探訪 ・・・・・・・・・・・・・加藤知子39
「北方兵團」を読む ・・・・・・・・・竹岡一郎40
原爆読本の紹介 ・・・・・・・・・・・江良修48
『たかざれき』書評 ・・・・・・・・・柳本々々49
『たかざれき』書評 ・・・・・・・・・高 鸞石50
短歌作品 ・・・・・・・・・・・・・・・  52
永田義彦 西村 曜  服部 崇  阪野基道 芳樹景子 
柳本々々 安西大樹 加藤朱美 加藤知子 北辻󠄀千展  
斎藤秀雄 弟子丸直美 てらもとゆう 富田桜子 
前号短歌評 ・・・・服部崇 北辻千展 安西大樹59
前号短歌選評 ・・・・・・・・・・ 西田和平62
短歌英訳の試み ・・・・・・・・・ 芳樹景子64
ありがとぼいす・・・・・・・・・・・・・ 65
原稿募集・略規 ・・・・・・・・・・・・ 67
編集後記 ・・・・・・・・・・・・・・・ 68
表紙絵・千原蘇堂 / 装幀・西田和平
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
昨日、入稿してきました。
超結社誌である
短歌俳句誌「We」は
今号から
俳句短歌誌「We」と誌名変更し
印刷所が(株)林田印刷に変わります。
ISBNは、俳句短歌We社で取得しています。

*購読会員以外の方で
『We』12号及びバックナンバーを
ご注文なさりたい方は


にご連絡ください。
一部1100円(送料込)です。
コメント (2)

現代俳句協会HPにこんなのがあるようです!

2021-07-20 23:11:30 | 俳句
GHOC講師名簿票のページがアップされたようです。
 

私などは
恐れ多くて
講師や講演など
遠慮しております。

ところで、これは鬼百合

これは
心を鬼にして
断捨離中のあまり使用していないミシン

新婚の頃買って13万くらいしたと思うけれど
セールスマンの口車にのっちゃったのかな。

強いて言えば
ブラウス一着とカーテンの長さ調節、
息子たちの幼稚園の袋物を
縫ったくらいなのではないかあ~
あまり覚えていないけど

来週の月曜日に埋め立てゴミで出します。
ごめんね、ミシンさん
使いこなせなくて・・・・


コメント (2)

装飾古墳館・菊文研講座第2回「いにしえの蓮の装飾」に行ってきました!

2021-07-18 23:18:26 | 古墳・菊文研
高句麗壁画古墳の蓮華文


詳しい話は端折りますが
「蓮華文の系譜をたどる」ということで
インド→中国→高句麗・百済→日本
と伝播してきた蓮華文が日本の寺の屋根瓦に
種々に意匠化され展開されてきた変遷を資料とともに
三木(さんき)ますみ氏が説明されました。

我が、古代山城の鞠智城跡から出土したのは
単弁蓮華文瓦(7C後半)。

蓮華文瓦の(主に軒丸瓦と軒平瓦の瓦当)
花弁には単弁と複弁があり、
時代とともに複弁化して装飾的なものに、
その後は、その周りに唐草文が配されたりして全体の一部に。

柱頭(めしべ)とおしべ(もう受精が済んだ状態)

きょうの蓮の一枚はこれ。
朝開いて日中はつぼむらしい。
そして一気に全開にはならなくて
香りがとてもいいということだったが
まだその恩恵は受けていない。
(朝早いのは苦手え~)

県立装飾古墳館は、

国道3号線から車で10分弱?の
古墳地帯に建てられています。
帰りはその中を車で通過します。




そろそろ、
葉タバコの収穫を終了させて
遅い田植えかな~


コメント (6)

熊本県現代俳句協会 会報 「現代俳句くまもと」 第17号 

2021-07-13 11:30:42 | 熊本県現代俳句協会
熊本県現代俳句協会 会報 2021年度 第2号
 現代俳句くまもと 第17号 

「まわるまわる時代は回る」   
熊本県現代俳句協会会長   加藤 知子

まわるまわる 時代は回る ~~~ 
生まれ変わってめぐり合うよ
 ときどき口ずさむ、中島みゆきの名曲「時代」の一節です。これを聴くといつも、作詞作曲できたらいいなあと思いますが、最短詩型の俳句の表現活動もまた、困難な人生において殊更に、活力を与えてくれるように思います。
 中村汀女は、先の大戦下、「三月十日東京空襲、B29幻の如く美し」という前書きをつけて、「火事明りまた輝きて一機過ぐ」と詠み、「炎天や早や焦土とも思はなく」とも詠みました。 
 台所俳句と揶揄気味に評される汀女俳句ではありますが、こういう句を書いていたことを最近知り、驚きました。過酷な事実の描写にも、詩人の眼は誠実に反応し、心情の純粋な吐露に向かわせました。汀女のこの句に対して不謹慎と非難されることもあるようですが、本当に悲しみの極限にあるときとは、このような真空状態なものといえましょう。2016年の熊本地震のときも、「もう笑うしかない」という人の声を聞きました。
 このようなことは、芭蕉の「喪に居る者は悲しみをあるじとし、酒を飲むものは楽しみをあるじとす」という言葉に通底することだと思えます。すなわち、負の世界に十分に浸ることに拠って、正の世界へ転じる、ということ。
俳句にもこういうことができる力のあることを教示してくれる先達に、感謝したい気持ちになります。

第2回紙上句会を始めます!

投句締切: 7月 31日
投句先: 吉 良  香 織 宛
 郵送またはメールにて受け付けます。
参加費:会員・準会員は無料
会員外の方は、投句とともに84円切手5枚
を同封してください
◎5句まで投句可能です。(1句でも受付可)

皆さま、積極的にご参加ください。

熊本県現代俳句協会創立30周年記念
合同句集から
一 句 評  (到着順)
梅の漬け方コロナ禍の過ごし方   真弓ぼたん
平行に二つが置かれた日常である。コロナ禍は非日常だと思っていたが、人類の、いや地球の歴史からみれば日常なのだと気づかされる。今年の梅に語りかけながら、何ごとにも逆らわずに生きるだけ。それが難しい。        (評者:西村楊子)

素麺を啜る音のみ誕生日    伊藤 健二
「糶り人」と題され、作者の生身から絞り出されたような十五句の中の一句。肉体労働を終え、静かに一人祝う誕生日。冷水の中の素麺が美しく、哀しい。喉の辺りがキュッと締め付けられるような、生の切なさ。           (評者:西口裕美子)

夜行列車きれいに蛇の穴渡る  加藤 知子
夜のトンネル?を「蛇の穴」と見立てたのか。夜行列車の窓から洩れる明かりが、徐々に消えて行く様は、正に大人の童話。人の命が終わる時も、このようなものかも知れない。ある日突然、人はきれいに向こう岸に渡って行く。  (評者:林よしこ)

かなかなや己の髪を嗅ぐ少女  青島 玄武
この中七下五は現実感が濃いが、不潔な感じがしないのは「少女」の行為だからであろう。
晩夏の頃の髪は汗の香りか、プール帰りの洗い髪か。季語が場面に広がりを与えている。作者の細やかな観察眼と的確な表現技術を感じる。
(評者:吉良香織)


梨を剥くこの山のこの風に住み 荒尾かのこ
もちろんこの句は自分を詠んでいる。が、読者もまるでそこの住人のような錯覚を覚える。「この山のこの風」と畳みかける言葉に、これまで決して楽なことばかりではなかったろうと、推察される。今あるのは、そういうことも含めての現在である。作者は穏やかで豊かな余生を楽しんでいる。         
(評者:真弓ぼたん)

新樹光形見の一本も混る    寺尾 敏子
 合同句集のあとがきのように昭和迄の感情は古典の域にあるようで私の感覚もアナログ世界で廻っている。紙上でずっと憧れてきた先輩の句は、常に颯爽として軽やかで前方に光を見せてくれる〈生き生きと死ぬつもりです実むらさき〉もそんな一句。 
(評者:丘菜月)

盲いたわれらのいのちもつれる秋の水 西口裕美子
 文明病で盲目になった人類は、今、新型コロナとかいう化物にふりまわされ、絶滅の危機にさらされているようだ。秋の水よ、せめて人類の未来の姿をその清冽な水面に写してみせてはくれまいか。
(評者:榮田しのぶ)

猟犬が魂を消す四丁目      徳山 直子
 ペットとして歩く犬。猟犬として人間のそばにいることになったのだが、時代の変遷とともに獲物を追うこともなく、新興住宅街をリードをつけられて歩く。かつて山野だった地も四丁目という新しい町名を与えられて。  
(評者:中山宙虫)


第27回全国俳句コンクール(全国俳誌協会主催)
参加作品抄
春の空大きく描く設計図      林よしこ
振り仮名のゑはうは恵方はるのそら 西村楊子
宿の灯の消えたる街や寒椿     徳山直子
藪椿の藪のそだちや陽の匂い    加藤知子


句集紹介
西口裕美子句集『群青い耳』
(文學の森、2021年5月)
よろず一斉に耳尖らせよ梅ひらく
鳴き終えてこおろぎ群(あ)青(おい)い谷探す
気化という選択もある秋の昼

新会員紹介
荒尾市在住の林紀子さんが、7月から現代俳句協会に入会されました。昨年度の熊本県民文芸賞川柳部門一席を受賞されており、川柳歴13年、俳句歴は6年ということです。
にんげんの奥へおくへと冬の霧   
わらべ唄月の匂ひになる母と

『 現代俳句 』 列 島 春 秋  掲載句 2021年  
二月 臥龍梅とんで異郷の鬼となる  木庭杏子
三月 野焼きして阿蘇に集まるあまのじゃく 田上公代
四月 若き日は知らんぷりした桜の国 加藤知子
五月 二天忌や背後から来る己の声  榮田しのぶ
六月 青天の天に挿したる余り苗   徳山直子
七月 崩落の岸に桑の実供物とす   志賀孝子

 お 知 ら せ 
◯ 現代俳句協会の年会費未納の方は、お振込みをお願いします。
◯ 準会員更新の方は、年会費千円をお願いします。
◯ 第58回 現代俳句全国大会
令和3年 10月30日の予定。
投句用紙は、6月と7月の『現代俳句』の巻末に挿入されました。
同封の投句用紙を使われても大丈夫です。

当協会 創立30周年記念 合同句集の
一 句 評 募 集 
好きな句とか共鳴句とかあれば、
引き続き一句評(100字以内)を募集中。
事務局までご送付ください(メール可)。
次号の会報に掲載したいと考えています。

色々とご不明な点は事務局まで
お気軽にお問合せください。

*吉良さんの住所とメールアドレスは個人情報のため
このブログでは削除しています。
また内容はテキストのみです。
*会員の皆様には昨日あたりお手元に届いていると思います。


7月4日の古墳館からの帰り道
鷺!?ですか~
トラクター(?)を怖がりませんね。

コメント (3)