授業への感想 第1回

2012年05月14日 | 心の教育

 今年度思うところ(順序として、宇宙史スケールのポジティブなことを話してから世界史スケールのネガティブなことを話すといいのではないか)があって、最初から気づきのワークを行ないました。

 先週、授業への第一回目の感想を書いて提出してもらったところ、例えば次のようなものがありました。


 メディア社会学科1年女子

 今までに受けてきた授業の中で一番印象に残っているのは、「137億年の歴史の中の80~100年を意味深く生きよう!」です。確かに宇宙誕生の歴史を見たら80~100年は短いかもしれないけど、その期間はその人にとっては大事な時間であるというのを改めて感じました。もうその内の約20年は過ぎてしまったけど、これからの60~80年をどういう風にしたら意義深く過ごせるか、考えながら生きていきたいです。
 本を読んで理解を深めていきたいです。
 そして、まだまだ小さい視野を広げて人生観を変えていきたいです。


 友人、知人の大学教師たちに聞くと、「今の大学生は、けっこう教師の喜ぶようなことをうまく書いてきますよ」という話ですから、ぬか喜びしすぎないように心がけていますが、あまり若者を信じないのもよくないと思ますし、こういう感じの感想もたくさんありますから、とりあえず素直に受け取って、喜んでおくことにしています。


 社会学科1年女子

 今回、いろいろな人の質問、感想聞けてよかったと思いました。自分でも「何故自分は生きているんだろう?」「人生で自分は何をしたいんだろう?」という疑問持って生きています。本心はどうだかわからないけど、周りにそんなこと言うと「中2病」とバカにされたり、「そんなこと考えたって仕様がない」など言われてしまい腑に落ちないことが多々あります。しかし、今回この時期を受けて自分と同じ疑問抱いている人は沢山いるんだと思いで安心しました。もう皆は高校生に思春期を終えてそれなりの答えを出したと思っていました。大学生にもなってその答えを見出せず、思春期状態で自分だけ止まっているのだと思っていたので、この授業を受けて答えを見いだせたらいいな、と思います。もちろんそれぞれの価値観が違うので、もしかしたら自分の納得できるものではないかもしれません。でもこの授業で受けたことをヒントに自分なりの答えを出してみたいと思います。


 現代の若者たちは、人生の根本的な問い、つまりビッグ・クエスチョンへの答え、ないし答えのヒント与えられないまま、生理的年齢だけ大人になっていき、大人になったふりをしたり大人になったつもりになったりするだけで、実は精神的な大人になれないままなのではないか(大人たちもその傾向がありますが)、と私は考えていて、大人は少なくとも答えのヒントだけは提供する義務があると考えています。
 私の授業は、私の出した答えをそれぞれの学生たちが答えを生み出すためのヒントとして提供することを目指しています。
 次の感想は、そういう私の意図をよく理解して、受講してくれているようです。


 自分がこの授業を受ける前に、名前から想像していた内容とは全く正反対で、社会と宗教各々の関係といったミクロなことを学ぶのではなく、コスモロジーなどといったマクロなことを扱ってることに正直驚かされた。現代の日本人は無宗教の人も多いために、宗教について学ぶのはどこか時代遅れな気がしていたが、この授業のような、人生観や世界観についての授業であれば、何かとメディアなどの扇情主義的な情報などに冒されやすい現代の日本人にとっても大きな意味を持つと思う。 
 ただ、教授の言う事を受動的に聴いているだけではメディアを通して授業を受けているのと変わらないので、あえて批判的な態度でこれからの授業受けていきたいと思う。


 さらにうれしいのは、学生たちに能動的な学びの姿勢が生まれつつあることです。授業の進行を待っていないで、先にどんどんテキストを読んでいる、読み終わった、という学生が相当数います。

 
 社会政策学科1年男子

 私の宗教観は、この授業を通して変化しつつあると思います。以前の私は、宗教というものに対して、嫌悪感を持っていて、快く思っていませんでした。しかし、この講義受けていくなかで、少しずつそういった感情が薄れてきた気がします。つい先日、先生の著書である『コスモロジーの心理学』を読了したのですが、それも目からウロコの思いでした。考え方次第でここまで違った捉え方ができるのかと、自分の視野がまた広がった気がします。そして、まだ手をつけてはいませんが、後期の教科書である『仏教とアドラー心理学』も既に購入したので、近いうちに読んでおきたいと思います。十七憲法が日本人の宗教観にどう影響してくるのか、非常に楽しみです。前期もまだ始まったばかりなので、これからの講義もきっと私の世界にパラダイムシフトをもたらしてくれると思うので、期待しておきます。


 こうした感想と一緒に、実に多様な質問も書いてきますので、授業時、授業後になるべく答えるようにしています。
 今後、そうした質問とそれへの答えもご紹介したいと思っています。

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持続可能な国づくりを考える会・学習会案内

2012年05月13日 | 原発と放射能

  持続可能な国づくりを考える会 学習会

□ 読書会 「原子力神話からの解放(高木仁三郎著)」を読む


 言うまでもなく高木氏は、きわめて早い時期からの反原発の代表的学者です(残念ながら2000年に亡くなりました)。今回取り上げる『原子力神話からの解放』は、亡くなる直前の最後の著作で、原発に関する神話・ウソの九つのポイントをデータと理論を駆使して徹底的に明らかにしており、しかもわかりやすい文章で書かれた、脱原発を目指す市民の基本テキストといっていい名著です。
 その九つのポイントを把握することで、私たちは感情的・イメージ的な反原発・脱原発を含んで超え、政府機関、メディア、きわめて多様なネット情報などに惑わされることのない、「なぜどうしても原発はダメなのか」ということについての基本的理解をしっかりと確立できると思います。
 ご一緒に、理解を深め共有していきたいと思っています。


【日時】 2012年5月19日(土)  14:00~17:00

【会場】 サングラハ教育・心理研究所 ミーティングルーム
     藤沢市藤沢89-1 メイキビル201 (JR、小田急藤沢駅徒歩5分)
     http://www.smgrh.gr.jp/page016.html

【参加費】 \500- (会場整理費 資料代)


<プログラム概要>

運営委員長の岡野守也氏による「原子力神話からの解放」の要約
参加者全員による、質問・意見と討議


【申込】 以下のフォームからお願いします。
    http://www.formzu.net/fgen.ex?ID=P5485478

※ 当日参加も受け付けますが、
     事前申し込みのご協力をお願いします。     

【定員】 30名

【お問い合わせ】 持続可能な国づくを考える会事務局
         jimukyoku@jizokukanou.jp


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2011年度授業の成果 2

2012年05月06日 | 心の教育

 きわめて遅れた報告の第2は、M大学での成果です。

 M大学(「仏教心理論」)は、2011年度、特に前期は、これまででもっとも受講者数が増えました。

 登録者数:前期200人、後期157人、受講実数:前期197人、後期127人でした(前後期別々に履修可能)。

 前期は『コスモロジーの心理学』(青土社)の内容(まだ青土社の単行本は出ていませんでしたので研究所発行のパンフレット版使用)の講義とワーク、後期は『仏教とアドラー心理学』(佼成出版社)の唯識を中心とした仏教の部分の講義を行ないました。

 年度末に回答は自由にしてアンケートを取りましたが、回答者数は111人(ほとんどが前後期とも履修)で全体の約87%とかなり高率でした。

 全体で12の質問項目のうち、授業の成果を端的に表現しているのが11番目の以下の質問への答えでしょう。

 「授業を受けたことによって、人生観・世界観に変化があったと感じていますか。    変化はなかったと感じていたら、0、あったと感じていたら、プラス・マイナス1から10までのスケールで表現してください。」

 10:13人 (12%)  9:5人 (10との累計16%、以下同様)  8:15人 (30%)  7:8人 (37%)  6:7人 (43%)  5:24人(65%)  4:8人  3:6人  2:10人  1:5人  0:6人  無回答:4人

 コスモス・セラピーと仏教を融合したコスモロジー的教育の成果としては、昨年度この大学では従来よりやや低めです。従来は10から5までの累計が75%以上のことがほとんどでしたから。

 0が6人というのは、当然といえば当然で、万人に効く万能のセラピーや教育はないということでしょう。成績と合わせて考えると、この6人および無回答、アンケートに答えなかった学生のほとんどが授業内容を理解できなかった・しなかった・したくなかったというケースだと思われます。これは、はなはだ残念ながらやむをえないことだと思います。

 ふつうの言葉に置き換えると、10は「まるで変わった」、9から6は「かなり変わった」、5は「ある程度変わった」ということでしょうから、コスモロジー教育が人生観・世界観をプラスに変化させ、人生の質(Quality of Life, QOL)を向上させる上で大きな効果があることは、今回もまた実証されたと言っていいでしょう(もちろん第三者によるより厳密な検証が望まれますが)。

 ポイント10の学生の中でももっとも顕著な変化を報告してくれた学生(2年女子)の場合、最初の質問項目、「今、人生の充実度はどのくらいですか? 1から10までのスケールで表現してください。」に対して、受講前の1から受講後の10へと表現しています。

 これは、
 質問項目2の「自分のことを好きだと思っていますか? (以下同)」に対する、受講前「きらい10」から受講後「好き8」への変化、
 項目3の「自分に自信がありますか? (以下同)」に対する、受講前「なし10」から受講後「あり8」、
 項目8の「人生には、意味があると思いますか? あるとしたら、どんな意味だと思っていますか? その考えについての確信度を1から10までのスケールで表現してください。」に対する、受講前「なし」から受講後「つながりを知る10」、
 項目9の「人生でこれだけは実現しようと思っている目標はありますか? あるとしたら、何ですか? 実現への決心はどのくらいですか? 1から10までのスケールで表現してください。」に対する、受講前「なし」から受講後「明るく生きる10」、
 項目10の「人間は死んだらどうなると思っていますか? その考えについての確信度を1から10までのスケールで表現してください。」に対する、受講前「分からなかった」から受講後「また先につながっていく10」
などと、すべて対応していて、非常にうなづけます。

 つまり、授業をうけたことによって全体として人生の質が飛躍的に向上した、と評価していいでしょう。

 ポイント10の学生の中でも項目1に関する変化のもっとも少ない学生(2年女子)は、4から6ですが、「その他、授業に対して感じたことがあれば、自由に書いてください。」の項目に対して、「元気にこれからの人生を送っていきたいと思います。」と書いていますから、それでもかなり元気になった、あるいはまさに元気に生きていこうという気になったわけです。

 これもまた人生の質の向上です。

 うれしいのは、自由記述で「“愛すること”を学びました。自分のことを大切に思うようになりました。もっと早くこの授業に出会いたかったです。」と書いてくれた学生のいたことです。

 言うまでもなく、「自利利他円満」という大乗仏教の目指すところが若い世代にも伝わったということでしょう。

 これ以外にも、とてもうれしい感想を書いてくれた学生がポイント10の学生だけでなくたくさんいました。

 ちなみに、アンケートの最終・12番目の項目は、「授業を受けたことによって、仏教に対する以下3つのポイントの考え方が変わりましたか。①暗い → 明るい ②古い → 古くない ③特殊(信じられる人にだけ適用)→ 普遍的(誰にでも適用)」ですが、ほとんどの学生が左から右へと理解が根本的に変わります。

 次のように書いた学生もいます。「変わりました。仏教って人を選ぶと思っていましたが、人間の奥に響くものなんだって気づきました。仏教は人生のヒントをくれるもの。そう思うようになりました。」

 昨年度も、若い世代に、特定宗教としての仏教を布教するのではなく、仏教の普遍的なエッセンスを万人の人生の質を高めてくれるものとして紹介するという、授業の目的がかなりよく達成できたと感じています。

 まだ紹介したいことがたくさんあるのですが、長くなるのでここまでにします。

 今年度も、昨年度同様あるいは以上の成果が上がることを期待しているので、連休明け、また明日から大学へ行くのが楽しみです。

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岡野守也講演会(日本トランスパーソナル学会主催)

2012年05月06日 | 広報

 日本トランスパーソナル学会主催の講演会の依頼を受けました。今、日本人全体に、特にトランスパーソナルに関心のある方に向けて伝えたいことを、率直に語るつもりです。よろしければ、ぜひお出かけ下さい。


『トランスパーソナル心理学』の著書もある岡野 守也さんは、日本におけるトランスパーソナルの代表的な論客といっていいでしょう。昨年には『「日本再生」の指針』『コスモロジーの心理学』と立て続けに渾身の著作を上梓され、人間成長・意識の進化が問われる現代社会へのメッセージを発信され続けています。そんな岡野さんに、「今、伝えたいこと」を存分に語っていただきます。ご期待ください。(常任理事・笠置 浩史)

【講師】岡野 守也(本学会顧問)

【日時】2012年7月8日(日)13:30-16:30(13:00開場)

【会場】杉並区立 産業商工会館(杉並区阿佐谷南3-2-19)
 ○JR阿佐ヶ谷駅 徒歩5分
 ○東京メトロ丸ノ内線南阿佐ヶ谷駅 徒歩5分

【会費】会員3,000円、一般4,000円 *当日受付でお支払いください

【定員】160名(事前申込みで定員を満たした場合、募集を締め切ることがあります)


申し込みは日本トランスパーソナル学会へ

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2011年度授業の成果 1

2012年05月06日 | 心の教育

 非常に遅くなりましたが、連休でようやく少し時間が取れたので、昨年度の学生たちの授業を受けた感想をご紹介します。

 まずH大学社会学部ですが、前期はほぼ『コスモロジーの心理学』の内容、後期は『仏教とアドラー心理学』の仏教の部分と『「日本再生」の指針』の「十七条憲法」の部分(スウェーデンの部分は自分で読むよう指示)の授業を受けた学生たちは、以下のように受け止めてくれました。

 1年男子
 1年間の講義を通し、コスモロジーや唯識を学ぶことができたが、最後のテーマが「十七条憲法」であったのは大いに驚かされた。しかし、学びを進めていくうちに、この「十七条憲法」が、私たちの未来につながる大切なピースであることに気づかされた。日々、さまざまな政治家や識者たちが、これからの日本・政治について述べているが、「十七条憲法」ほど理想的なものは存在しないのではないだろうか。「十七条憲法」が現代における根本的に欠如しているものを示してくれたと私は考える。今のほぼ力のない政治家を急に変えるのはとても難しいことだが、私たちがあきらめず、国のこと大切に考え、「和」の意識を、国民に浸透させることができれば、いつかは、理想的な国づくりを本当に始めることができるはずだ。現在の日本は絶望的だと言っても過言ではないはずだ。しかし、私はこの1年を通し、現実と未来に希望を持つことができた。そして、なによりも、あきらめない心を持つことができた。自分たちの手で、日本をもっと良い国にしたいと私は考えている。それこそが、私たちの天命ではないだろうか。

 1年男子
 私は東日本大震災による原発事故などで今の日本に未来はないように感じていた。しかしこの学習を通して、その思いは自己中心的なもので、何とも自分が浅はかだったことかと気づかされた。さらに本来の政治家のあるべき姿、つまり全てのもの、人のために公務を実行するという必要性も知ることができ、今の政治の見えない問題点も少し分かることができた。すべてのもの・人はつながっているというコスモロジーは、今の日本において大変重要であり、それを基に私利・私欲ではない、全てのための議論が今後行われることを願うようになった。政治家に任せるだけではなく、自分もあらゆるものを愛する心を持ってこれからの日本再生に協力してきたいと思う。

 1年男子
 私は、この「現代社会と宗教」の授業を受けて、少しずつ、日本人としての誇りを持てるようになったかなという気がします。最近は「愛国心」とか「国際化」という言葉をよく耳にしますが、実は、そう言っている人たちも、「日本の文化」その根本的な教えである「仏教」を正しく理解していないのではないかと思います。「日本の文化はすばらしい」とか「日本に古き良き伝統がある」とか言葉で口にしていても、何がどうすばらしいのか、どんな教えなのか、初めてしっかりとした答え教えてもらいました。
 私は、今の日本が何か不安で宙ぶらりんな感じがするのは、わかったように上辺だけで「日本」を語っていて、根本的な「日本」「日本人」を誰もが理解していなかったから、ではないかなぁと思います。
 この授業を受けて、日本が大好きになりました。やっぱり「日本はすごかったんだ」と実感しました。だから、私は、今の日本もこれからの日本も好きなままでいたいです。この日本の大切な「教え」をもう一度しっかり理解することができれば、本当の意味で、日本はすばらしくなると思います。それにしても、「和をもって貴しとなす」という言葉は、胸に響きました。

 4年女子
 戦前の日本の他国へのふるまいを反省する内容の歴史を、小中高と学んできて、日本が近代的な指針を得たのは戦後の日本国憲法成立以降であり、それ以前の日本は本当に野蛮で無知であったと思い込んでいました。しかし、それは単なる思い込みであり、日本はこんなにも古くから人と人、人と自然との調和を目指す国家を理想とし、そのための規範を記した憲法を持っていた、という事を知り、私がこの国に生まれたことを誇らしく思えるようになりました。また憲法の内容についても、人の道や徳といったことまで説いていて、ただの、何をしてはいけない、何をしなければいけないといった規律に留まらないところに、聖徳太子というリーダーの国を想う愛のようなものが伝わってきて、すごく優しく、厳しく、国の希望にあふれた憲法であるなと感じました。
 この年になるまで、十七条憲法の心を知ることなく、他国を酷く侵略した歴史を持ち、政治は私利私欲にまみれ、必死に働くもどこか幸福からかけ離れた日本に生まれたことをやましいような気持ちでいたことを、とてももったいなかったと思います。
 この先、教育現場で、聖徳太子の十七条憲法やその核となる仏教について触れる授業がもっと増えてほしいと思います。

 1年男子
 十七条憲法について、また聖徳太子の理念を講義で知ることで、今までの私の考え方が大きく変わりました。まず、純粋に十七条憲法がこんなにも深い意味を持ったものだとは正直知りませんでした。高校までの学習ではさらっと触れた程度でしたが、先生に深い意味を教わったことで、十七条憲法が日本の根本的概念の礎をつくりあげているということ、また今日私たちが強く求めている平和と調和がすでに規定されていること、そして戦前の考え方の影響もあったために、いかにまちがった先入観に捉われていたのかを自覚しました。聖徳太子の理念や十七条憲法の根本的理解を国のトップを含め、国民全員が行えば、つながりコスモロジーの点からもよりよい社会が築けるのだと確信できたように思います。さらにただ漠然としたものではなく、スウェーデンという理想のモデルが存在しているため、私たちはすぐに考えを修正し、理想に近づけていくべきだと考えます。

                     *

 昨年度は、三月の大震災の後にスタートしたことが大きく影響していて、学生たちの学ぶ姿勢に全体の傾向としてはこれまでと違う真剣さがありました。そして、学び終えての感想にも、自分たちがこの国の未来を担うのだという自覚を表現したものがかなり多く見られました。

 そして、私の授業のすぐ後が小澤徳太郎先生の「環境論」で、両方を受講した学生たち=若き国民たちは「スウェーデン・モデル」と「十七条憲法」がなぜ結びつくのか、それがなぜ「日本再生の指針」になりうるのか、とてもよく理解してくれたようです。

 今日本が前に進む上でのいくつかの大きな障害である、「仏教は古い」「十七条憲法は天皇制ファシズムの文書」「スウェーデンは小さい国だから」といった誤解は、「話せばわかる」こと、コスモスの理=縁起の理法には「よく教うるをもて従う」(十七条憲法第二条)ことが改めて確証されたと感じています。

 他大学でもとてもいい反応があり(報告は次回)、若者たちの状況に――行動に移すかどうかが問題だとはいえ――希望を感じています。

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連休・記録的豪雨・原発停止

2012年05月05日 | 持続可能な社会

 今年は、例年のように遊ぶ計画だった方には、例年のような五月晴れはごくわずかで、さんざんの連休になりました。

 日本の西から東、東北、北まであちこちで記録的豪雨でした。

 何箇所もの仮設住宅で浸水被害があったとのこと、重なる被災はほんとうにお気の毒で、ただただ心からお見舞い申し上げますと言うほかありません。

 これは、言うまでもなく異常気象の一つの表われで、今年はたまたま運悪く、ということではないと思われます。

 天が、私たち日本人(そして人類)全体に、もうこれまでどおりの生活の仕方・社会システムではやっていけないことを、これでもかというほど厳しく警告しているのだ、と私は感じています。

 折も折、「こどもの日」の今夜から明日の深夜にかけて、泊原発が停止となり、日本のすべての原発がいちおう止まることになります。

 まちがいなく未来の世代へのおそるべき負の遺産となる原発が、こどもの日に成り行きで止まる、というのはなんとも象徴的でもあり日本的でもあって、悲しくなります。

 大人たちの責任と意思で恒久的に止めたのではなく、成り行きでとりあえず止まるのですが、リーダーたちがとても再稼動という空気ではないと空気を読めれば、なし崩し的に止まったままになり、そうなれば、まちがいなくこどもたちの未来に遺される負の遺産のある程度の軽減にはなるはずです。

 日本的に「空気で動く」のでもいいから、このまま止まっていてほしい、と祈らずにはおられません(電力不足のデータは信じていません)。

 震災―津波―原発事故、そして度重なる記録的な天候の異変を、天からの警告と聞いて、日本人全体が根本的な方向転換をすることができることを、切実に願っています。

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