今年度思うところ(順序として、宇宙史スケールのポジティブなことを話してから世界史スケールのネガティブなことを話すといいのではないか)があって、最初から気づきのワークを行ないました。
先週、授業への第一回目の感想を書いて提出してもらったところ、例えば次のようなものがありました。
メディア社会学科1年女子
今までに受けてきた授業の中で一番印象に残っているのは、「137億年の歴史の中の80~100年を意味深く生きよう!」です。確かに宇宙誕生の歴史を見たら80~100年は短いかもしれないけど、その期間はその人にとっては大事な時間であるというのを改めて感じました。もうその内の約20年は過ぎてしまったけど、これからの60~80年をどういう風にしたら意義深く過ごせるか、考えながら生きていきたいです。
本を読んで理解を深めていきたいです。
そして、まだまだ小さい視野を広げて人生観を変えていきたいです。
友人、知人の大学教師たちに聞くと、「今の大学生は、けっこう教師の喜ぶようなことをうまく書いてきますよ」という話ですから、ぬか喜びしすぎないように心がけていますが、あまり若者を信じないのもよくないと思ますし、こういう感じの感想もたくさんありますから、とりあえず素直に受け取って、喜んでおくことにしています。
社会学科1年女子
今回、いろいろな人の質問、感想聞けてよかったと思いました。自分でも「何故自分は生きているんだろう?」「人生で自分は何をしたいんだろう?」という疑問持って生きています。本心はどうだかわからないけど、周りにそんなこと言うと「中2病」とバカにされたり、「そんなこと考えたって仕様がない」など言われてしまい腑に落ちないことが多々あります。しかし、今回この時期を受けて自分と同じ疑問抱いている人は沢山いるんだと思いで安心しました。もう皆は高校生に思春期を終えてそれなりの答えを出したと思っていました。大学生にもなってその答えを見出せず、思春期状態で自分だけ止まっているのだと思っていたので、この授業を受けて答えを見いだせたらいいな、と思います。もちろんそれぞれの価値観が違うので、もしかしたら自分の納得できるものではないかもしれません。でもこの授業で受けたことをヒントに自分なりの答えを出してみたいと思います。
現代の若者たちは、人生の根本的な問い、つまりビッグ・クエスチョンへの答え、ないし答えのヒント与えられないまま、生理的年齢だけ大人になっていき、大人になったふりをしたり大人になったつもりになったりするだけで、実は精神的な大人になれないままなのではないか(大人たちもその傾向がありますが)、と私は考えていて、大人は少なくとも答えのヒントだけは提供する義務があると考えています。
私の授業は、私の出した答えをそれぞれの学生たちが答えを生み出すためのヒントとして提供することを目指しています。
次の感想は、そういう私の意図をよく理解して、受講してくれているようです。
自分がこの授業を受ける前に、名前から想像していた内容とは全く正反対で、社会と宗教各々の関係といったミクロなことを学ぶのではなく、コスモロジーなどといったマクロなことを扱ってることに正直驚かされた。現代の日本人は無宗教の人も多いために、宗教について学ぶのはどこか時代遅れな気がしていたが、この授業のような、人生観や世界観についての授業であれば、何かとメディアなどの扇情主義的な情報などに冒されやすい現代の日本人にとっても大きな意味を持つと思う。
ただ、教授の言う事を受動的に聴いているだけではメディアを通して授業を受けているのと変わらないので、あえて批判的な態度でこれからの授業受けていきたいと思う。
さらにうれしいのは、学生たちに能動的な学びの姿勢が生まれつつあることです。授業の進行を待っていないで、先にどんどんテキストを読んでいる、読み終わった、という学生が相当数います。
社会政策学科1年男子
私の宗教観は、この授業を通して変化しつつあると思います。以前の私は、宗教というものに対して、嫌悪感を持っていて、快く思っていませんでした。しかし、この講義受けていくなかで、少しずつそういった感情が薄れてきた気がします。つい先日、先生の著書である『コスモロジーの心理学』を読了したのですが、それも目からウロコの思いでした。考え方次第でここまで違った捉え方ができるのかと、自分の視野がまた広がった気がします。そして、まだ手をつけてはいませんが、後期の教科書である『仏教とアドラー心理学』も既に購入したので、近いうちに読んでおきたいと思います。十七憲法が日本人の宗教観にどう影響してくるのか、非常に楽しみです。前期もまだ始まったばかりなので、これからの講義もきっと私の世界にパラダイムシフトをもたらしてくれると思うので、期待しておきます。
こうした感想と一緒に、実に多様な質問も書いてきますので、授業時、授業後になるべく答えるようにしています。
今後、そうした質問とそれへの答えもご紹介したいと思っています。