人生は有限である

2010年04月30日 | 心の教育

 今の〔私が教えてきた〕大学生たちには、授業中、平気で私語をする者がかなりの数います。

 なぜ私語をしてはいけないのか、これまでにちゃんと納得のできるかたちで教えられてきていないのでしょう。

 そこで、最初の1、2回のオリエンテーションのとき、次のようなことを黒板に書いて、自分で考えてみるようにいいます。

 「人生は有限である。」

 「∴私の持ち時間も有限である。」

 「∴本当には無駄にしていい時間などない!!」

 これは、岡野の主観的考えか、それとも誰にでも当てはまる事実を指摘している言葉だろうか?

 授業を受けている90分も、自分の有限な人生の持ち時間なのだから、よく考えたら無駄にしていいわけはない、と思うけど、どう思う?

 授業を受けるのなら受ける。受けるのなら、私語をしないで集中して聞く。

 受けたくなくて、私語をしたいのなら、外にいってしっかり私語をする。

 教室にいて私語をする必然性はまったくないし、時間の無駄だ。

 もちろん、他の人の邪魔になって迷惑で、それはちゃんと授業を聞きたい人の権利を侵害することになるんだし。

 ともかく、遊ぶにしても学ぶにしても、時間を有効に使ってほしい。

 今、学ぶのか遊ぶのか、ちゃんと自分で責任をもって選択しなさい。

 ……と、お説教をします。

 後で出してもらった感想文によれば、しっかりと心に沁みた学生も少なくないようです。

 教えればちゃんと学んでくれる学生が少なくないのは、うれしいことです。

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参考図書3:この一冊で「宗教」がわかる

2010年04月30日 | 心の教育

 H大学の「現代社会と宗教」のオリエンテーションで、「この授業では宗教の概論、○○教はどういうことを教えていて……といった話はしません。それは、文庫本の1冊も読めばわかるようなことを90分×14、5回もかけて話すのは時間がもったいないからです。この授業では、ここでしか聞けない話をするつもりですから、そういう概論的なことを知りたい人は、次のような本を読んでください」と話します。

 そして、宗教の概論的な入門書で手軽なものをいくつか紹介します。

 その1冊が、以下の『この1冊で「宗教」がわかる』です。

 手軽な文庫本で軽いタイトルですが、内容はしっかりしていて、世界の各宗教のおおまかなことを知るには便利で、いちおうざっとしたことを知っておきたい人というにはお奨めできる本です。



この一冊で「宗教」がわかる!―世界三大宗教から日本の新宗教まで、あらゆる疑問に答える本 (知的生きかた文庫)
大島 宏之
三笠書房

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学び舎の道のハナミズキ

2010年04月28日 | 心の教育






 昨日は、H大学の講義の後、藤沢のミーティングルームで「維摩経」の学びでした。

 ミーティングルームは、藤沢駅北口を出て、「遊行通り」という通りを歩いて5分です。

 筆者は、人が多すぎず少なすぎない、明るくのんびりとした道がとても気に入っていて、講座の行き帰り歩いていると、いつも小さな幸福感が湧いてくるのです。

 今、ハナミズキが爽やかな真っ白な花を咲かせています。

 何かを学ぶとき、もちろん何を学ぶかがいちばん大切ですが、どんなところで、どんな道を通って通うかも、学びの楽しさにかなり影響するものです。

 せっかくの季節、この気持ちのいい道を通って、たくさんの方が学びに集われるといいな、と思っています。

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参考図書2:西谷啓治『ニヒリズム』

2010年04月26日 | 心の教育

 「いのちの意味の授業1:コスモロジー」では、最初のほうで、近代人は突き詰めて考えるとどうしてもニヒリズムに陥ってしまう、という話をします1) 2)

 学生時代、近代におけるニヒリズムの必然性とその克服の道について、京都学派宗教哲学の代表的な存在の一人、西谷啓治先生から、大きな示唆を与えられました。

 西谷先生の思索によって、ニヒリズムから目をそらすことなく、徹底することによって克服するという道筋は、ニーチェをはるかに超えて根源に達している、と筆者は思っています。

 学生時代以後の筆者の仕事は、ささやかながら西谷先生から受け継いだ問題意識をさらに深めたいという思いで続けてきたものという面があります。

 若い世代にとっては、文体が格調高く、またそういう意味では古くて、読みこなすのがむずかしいかもしれませんが、それだけの労力を注ぐ価値のある本です。

 単行本なら古書で、著作集版なら新しい本が入手可能です。


ニヒリズム (1966年)
西谷 啓治
国際日本研究所

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西谷啓治著作集 第8巻
西谷 啓治
創文社

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参考図書1:K・ウィルバー『万物の歴史』

2010年04月25日 | 生きる意味

 人間はコスモロジー――現代思想の用語でいえば「大きな物語」――なしには安心して生き死にすることが困難な生き物です。

 しかし、現代ではあまりにも多様な学問の分野があり、様々な思想があって、統一的なコスモロジーを描くこともまた非常に困難になっています。

 そうしたなかで、自然科学、人文科学、社会科学の驚くほど広範な知識を総合して、現代人が共有できる大きな物語を描きだすことを試みたのが、ケン・ウィルバーの『進化の構造』(松永太郎訳、春秋社、全2巻、品切れ中)です。

 筆者は、盲信的なウィルバー主義者ではありませんし、若干の批判はありますが、『意識のスペクトル』(吉福伸逸物他訳、春秋社、全2巻)以来ずっと、ウィルバーの仕事から大きな恩恵を受けてきましたし、『進化の構造』で語られていることの基本線については合意しています。

 したがって、授業で学生のみなさんに伝えることの思想的バックグラウンドのかなりの部分でもあります。

 もう1つのテキストである拙著『コスモス・セラピー――生きる自信の心理学』(サングラハ教育・心理研究所)には、『進化の構造』の入門編という面もあるくらいです。

 授業が進むにつれて、あるいはすでにブログ授業で学んでいて、この方向性でさらに深く探究したいと思ったみなさんには、ぜひ読んでほしいのですが、あまりにも分厚いことと、はなはだ残念なことに現在品切れ中であることの2つの理由で、ダイジェスト版であり、より読みやすい会話体で書かれた『万物の歴史』(大野純一訳、春秋社)から取りかかることをお薦めします。

 きっと目の前が開けるような、進化の歴史に対する展望が見えてくるでしょう。


万物の歴史
ケン ウィルバー
春秋社

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テキスト紹介:コスモロジーの創造

2010年04月24日 | 歴史教育

 今月13日から大学の授業が始まりました。

 使用するテキストや参考文献の紹介を少しずつするつもり、と学生に約束しましたので、まずテキストから紹介します。

 授業のキー・コンセプトである「コスモロジー」とは、ギリシャ語のコスモスとロゴスの合成語で、「宇宙の秩序を語る言葉の体系」といった意味です。

 言葉(ロゴス)を使う動物である人間は、言葉によって自分の生きている世界・宇宙がどうなっているのかを秩序だてて知ることなしには、心の秩序や行動の秩序を保つことができません。

 人間はコスモロジーなしには生きられない生物なのです。

 そして、ですから、人間は安心できるコスモロジーなしには安心して生きることはできませんし、安心して死ぬこともできません。

 前近代、人間は神話的・宗教的コスモロジーによって安心を得ていました。

 しかし、近代の理性・科学(主義)的なコスモロジーによって、神話的宗教は否定されることになりました。

 ところが、近代の科学主義的なコスモロジーは、「すべてはモノにすぎない」と見えてくるようなコスモロジーであり、必然的にニヒリズムを招くことになります。

 ニヒリズムに陥っては、もちろん安心して生きることも死ぬこともできません。

 しかし幸いにして、近代科学を含んで超える「現代科学」のコスモロジーは、宗教のエッセンスと調和するものであり、ニヒリズムを超えるものだと思われます。

 現代科学と宗教のエッセンスの統合から描き出される新しいコスモロジーは、理性・科学と反することなく、しかも人間が安心して生き死にできるベースになるものだ、と筆者は考えています。

 そうした趣旨をいろいろな角度から論じたのが、下記のテキストです。

 授業、ブログ授業で話しきれていないこともたくさんありますから、ぜひ、並行して読んでください。

 きっと、自分と世界の未来に希望が見えてくると思います。


コスモロジーの創造―禅・唯識・トランス・パーソナル
岡野 守也
法蔵館

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問題があることはいいこと?

2010年04月18日 | メンタル・ヘルス

 ナポレオン・ヒルの成功哲学の紹介の第3回です。


 なるほど問題が起こっている? それはよかった。

 なぜって? 問題に繰り返し勝利することこそ、成功へのはしご段だからだ。

 勝利する度に、あなたは知恵、偉大さ、経験にかんして成長していく。

 問題にぶつかり、取り組み、PMA(積極的心の姿勢)をもってそれに打ち勝つ度に、あなたはより良い、より大きな、より成功できる人間になれる。

            (Success through a Positive Mental Attitude より)


 問題が起こり、それを乗り越えることこそ、成功への階段だというのは、まさにそのとおりです。

 問題もなく、したがってそれを乗り越えることもなくして、成功したという人はたぶん一人もいないでしょう。

 問題そのものにPMAで立ち向かった人こそ、人生の成功者(ただの金持ちではありません)になれるのです。

 問題にぶつかってしまったら、一呼吸して、「問題が起こった。でも、これはいいことなんだ! 私には乗り越えられる! 私なら乗り越えられる! コスモスから能力と潜在能力をたっぷりともらっているんだから!」と自分に言い聞かせるといいですね。



 *残念ながら全訳ではありませんが、下記のような要約版の翻訳があります。


心構えが奇跡を生む
ナポレオン ヒル,W.クレメント ストーン
きこ書房

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スピリチュアリティ (精神性・霊性) と成功

2010年04月16日 | 心の教育




 先日、ナポレオン・ヒルの成功哲学の言葉を紹介しました。

 かなりの数の読者が読んでくださったようなので、改めて単なるエゴイスティックな金儲けのテクニックではないことをはっきり示す言葉を紹介したいと思います。


 「働く喜び」という値段をつけられないほどの贈り物を受け取りなさい。

 「人々を愛し奉仕する」という人生における最大の価値に心を注ぎなさい。

 〔そうすれば〕ヘンリー・J・カイザーのように、あなたも偉大で惜しみない成功の取り分を招き入れることができる。

 積極的な心の姿勢を育てれば、あなたにはできる!

        ナポレオン・ヒル『Success through a Positive Mental Attitude』より


 「互恵性」という言葉があります。〔物心両面で〕他者を豊かにすることで自分自身も豊かになる、豊かになったものでさらに他者を豊かにするという好循環を表わす言葉だと思っていいでしょう。

 ナポレオン・ヒルのいう「成功」はそういう互恵的な豊かさを得ることを言っているのです。

 それは大乗仏教的に言い換えれば「自利利他円満」ということです。

 「小欲知足」や「清貧」も悪くはありませんが、現代に必要なのはたくさんの互恵的な豊かさを実現する人、スピリチュアルな成功者という人材なのではないか、と筆者は考えています。

 そういう意味もあって、サングラハ教育・心理研究所では、今、『維摩経』を学んでいます
 維摩居士は、まさにとても豊かな商人でありながら、ブッダの直弟子たちも及ばないほどの覚りを得た大乗の菩薩の代表のような人です。

 すでに第1章を終え次回は第2章からですが、終わった分はCD、DVDで学ぶことができますから、途中からでも、大丈夫です。スピリチュアルな成功に関心のある方、参加されませんか。

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新学期が始まります

2010年04月13日 | 心の教育



 長かった春休み――忙しくてあまり休めませんでしたが――も終わり、今日から大学の講義が始まります。

 昨年度の学生たちは、「この授業を履修してよかったと思いますか」という無記名のアンケートに「はい」と答え

 「わかりやすい授業でした。」
 「ためになる。」
 「すごい分野を知ってよかった。」
 「視野が広くなった。」
 「思考力がついた。考え方がかわった。」
 「現代社会の問題点や原因・解決策などを学べた。また唯識を通じて成長することができた。」
 「自分の思っていたのとちがう宗教を知れた。」
 「いままで考えようとも思わなかった宇宙について考えるようになった。」
 「内容が興味深かった。この授業を受けていなかったら考えなかったようなことを聞けた。」
 「全てのものには『つながり』があることがよくわかった。」
 「自分が生きていく上でとても大切なことを教えてもらいました。」
 「生きる事について、学べた。」
 「人生観が大きく変わりました。」
 「感動的な話をたくさんきけました。」
 「素晴らしかった。」

といったコメントをしてくれました。授業の目標はほぼ達成できたと思っていいんでしょうね。

 面白かったのは「精神年齢が15才→19才に」という答えでした。成長を実感してくれたんですね。

 中には「先生が素敵」と書いてくれた学生もいます。これもうれしい一言です。

 もちろん「人人唯識」、少数とはいえ、「いいえ」と答え、「言ってることが訳わからない。考えが気持ち悪い。教科書全部高すぎっ!」「単位がなかったら絶対に受けてなかった。」といったコメントを書いた学生もいたのは、ちょっと残念でしたが。

 ゴータマ・ブッダでさえ、「誰からも愛される人はひとりもいない。誰からも愛されない人もひとりもいない。」とおっしゃったくらいですから、やむをえないことではありますが、教師としては一人残らずいいものを伝えてあげたいと思います。 

 今年はどんな若者たちと会えるでしょう。楽しみです。

 今年もまた――できるだけみんなに――コスモスからコスモスへのメッセージを送ろうと思いながら、まもなく家を出ます。
 
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今日のことば23: ピンチをチャンスに変える心がまえ

2010年04月06日 | メンタル・ヘルス

 最近身の回りに失業して再就職がなかなかできなくて苦闘している人が何人もいるので、すこしでも勇気づけになればと思って、久しぶりに「今日のことば」を書くことにしました。

 ナポレオン・ヒルという成功哲学の創始者として有名な人がいます。

 彼の成功哲学は、日本では単なる金もうけの方法論と思われているふしがありますが、けっしてそうではなく、アメリカのプロテスタント・キリスト教の精神性(spirituality) をしっかり受け継いだ、非常にすぐれた実践的人生哲学だ、と私は評価しています。

 なかでも、『Success through a Positive Mental Attitude』は、いろいろな苦境に立たされた時、ずいぶん励まされた本です(邦訳は『心構えが奇跡を生む』きこ書房、として出版されていますが、残念ながら部分訳ですし、スピリチュアリティがひどく薄められてしまっています。できれば英語でお読みになることをお勧めします)。

 二つほど、私の訳でご紹介します。


「きみはトライすることであらゆるものを得ることができるが、失うものは何もない。
ポジティヴな心の姿勢(PMA)でトライしつづければ、成功は達成されるし維持されるのだ。」


「あらゆる苦境(の裏)にはそれと同じかそれ以上の幸運の種があり、PMAでやる気を出した人はそれによって(こそ)達成者になるのだ。」


 アメリカの資産家には、「ひとのため、社会のためになることができること、その結果、正当な報酬を得ることができること」という本当の成功とは何かを知っており、実践した人がたくさんいた(今でもいる?)ようです。

 彼らには、「自分には神からどんな苦境をも乗り切る能力が与えられている」という信仰があったのだと思われます。1) 2)

 そこが、日本によく見られる成功=金もうけという発想との根本的な違いがあると思います。

 しかし、私たちには事実コスモスが137億年かけて与えてくれた潜在能力があるのですから、それを信じてポジティヴな心の姿勢で取り組めば、たいていの苦境は乗り越えられるにきまっています。

 ピンチにある(と感じている)方、ぜひ、ピンチをチャンスに変える心がまえを身につけてください。

 健闘を祈っています。
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サングラハ第110号が出ました

2010年04月05日 | Weblog
お待たせしました。

サングラハ第110号が出ました。

今回も充実した原稿満載です。

これからの日本が向かうべき心と社会の方向性を提案しています。

安心で安全な心と社会を創るにはどうしたらいいかを真剣に考えておられる方には、きっと他では得られないヒントになると思います。

どうぞお読みください。

見本誌を希望の方は、メール (okano@smgrh.gr.jp) またはファックス(0466-86-1824) でお申し込みください。無料です。


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