3月2日の高松集中講座のテキストの準備に、一日近く費やしました。
残りの時間で、参考文献として故玉城康四郎先生(1915-1999)のものを2冊紹介しておきます。
玉城先生のお書きになったものには、学問的に正確な文献的研究と同時に深い冥想体験の裏づけが感じられ、多くの示唆を得てきました。
決して理解しやすい、読みやすい文章ではありませんが、そこには確かなことが語られていると感じさせられます。
その雰囲気のよく感じられる文章を引用しておきます。
入息出念定とは何か。それは、呼吸を調えることに専念することではあるが、単にそれだけにとどまらない。肺に出入りする生理的な呼吸が調えられていくにつれて、精神も身体も呼吸に従うようになって、呼吸自体が生命的となり、さらに深まり統一されて、精神も身体も全人格体が一体となり、全人格そのものが息づいていく。そしてついには、呼吸も自己も忘却のうちに融けていくのである。生理的な呼吸から生気的な呼吸へ、生気的な呼吸から全人格的な呼吸へ、そして呼吸も自己も人格体も、すべてが冥想そのものとなっていくのである。/ゴータマは、これこそ解脱の道であると決定したのである。(『仏教の思想1 原始仏教』法蔵館、p.30)
ゴータマはついに解脱に達したのである。解脱に達したということは、ゴータマからブッダに転換したということである。ゴータマに転換したということは、ダンマが人格体に顕わになり、浸透し、通徹したということである。(p.33)
……ここにいうダンマは、もっとも根源的なものであり、ダンマとしかいいようのないものである。経典はこれについて何らの説明もつけていない。つけようがないからである。つまり、自己自身に顕わになって初めて、なるほどとうなずかれうるものだからである。強いて説明をつけるとすれば、まったく形のないいのちの中のいのち、純乎として純なる純粋生命というほかはないだろう。なぜそういうかというならば、それが自己に顕わになるとき、自己そのものが形なき世界へと、そして純乎として純なる境位へと、果てしなく開かれていくからである。(p.32)
無限の過去から、生きとし生けるもの、ありとあらゆるものと交わりつつ輪廻転生して、いま、ここに現われている存在の統括体にこそ、形なき純粋生命が顕わになるとき、初めて人間自体の根本的転換、すなわち目覚めが実現する (p.43)
残りの時間で、参考文献として故玉城康四郎先生(1915-1999)のものを2冊紹介しておきます。
玉城先生のお書きになったものには、学問的に正確な文献的研究と同時に深い冥想体験の裏づけが感じられ、多くの示唆を得てきました。
決して理解しやすい、読みやすい文章ではありませんが、そこには確かなことが語られていると感じさせられます。
その雰囲気のよく感じられる文章を引用しておきます。
入息出念定とは何か。それは、呼吸を調えることに専念することではあるが、単にそれだけにとどまらない。肺に出入りする生理的な呼吸が調えられていくにつれて、精神も身体も呼吸に従うようになって、呼吸自体が生命的となり、さらに深まり統一されて、精神も身体も全人格体が一体となり、全人格そのものが息づいていく。そしてついには、呼吸も自己も忘却のうちに融けていくのである。生理的な呼吸から生気的な呼吸へ、生気的な呼吸から全人格的な呼吸へ、そして呼吸も自己も人格体も、すべてが冥想そのものとなっていくのである。/ゴータマは、これこそ解脱の道であると決定したのである。(『仏教の思想1 原始仏教』法蔵館、p.30)
ゴータマはついに解脱に達したのである。解脱に達したということは、ゴータマからブッダに転換したということである。ゴータマに転換したということは、ダンマが人格体に顕わになり、浸透し、通徹したということである。(p.33)
……ここにいうダンマは、もっとも根源的なものであり、ダンマとしかいいようのないものである。経典はこれについて何らの説明もつけていない。つけようがないからである。つまり、自己自身に顕わになって初めて、なるほどとうなずかれうるものだからである。強いて説明をつけるとすれば、まったく形のないいのちの中のいのち、純乎として純なる純粋生命というほかはないだろう。なぜそういうかというならば、それが自己に顕わになるとき、自己そのものが形なき世界へと、そして純乎として純なる境位へと、果てしなく開かれていくからである。(p.32)
無限の過去から、生きとし生けるもの、ありとあらゆるものと交わりつつ輪廻転生して、いま、ここに現われている存在の統括体にこそ、形なき純粋生命が顕わになるとき、初めて人間自体の根本的転換、すなわち目覚めが実現する (p.43)
仏教の思想〈1〉原始仏教 (1985年) | |
クリエーター情報なし | |
法蔵館 |
新しい仏教の探求―ダンマに生きる | |
クリエーター情報なし | |
大蔵出版 |