最近、まだ読んでなかった佐治晴夫先生の『からだは星からできている』(春秋社、2007年)を読みました。
これまでも佐治先生の著作からはコスモス・セラピーのヒントや素材をたくさんいただいてきましたが、この本も先生の科学者としての豊富な知識と感性豊かなロマンチストの面とが融合された、とても楽しく読めて深い示唆を与えられるものでした。
「からだは星からできている」とは、ロマンティシズムと科学の融合をとてもよく表現したなんと素敵なタイトルでしょう。そして、そのタイトルの素敵さを裏切らない内容です。
中途半端な紹介で読者の読む楽しみを奪ってしまうのは野暮なので、「コスモス・セラピーで学んだことを知識的にも感性的にも深めたい方にはオススメです」というご推薦だけにとどめておきたいと思います。
ただ、今回もコスモス・セラピーのアプローチに現代科学的な確かな根拠があることを一流の科学者に改めて保証していただいたという感じがあるのは、以下の三つの点です。
「この章(注:第二章「宇宙研究からわかった三つのこと」)では、宇宙の研究からわかったこと、三つについてお話しします。
まず、第一番目は、壮大な物質循環としての星と生命、言い換えれば、すべての物質が循環していて、「すべては、ひとつのものから始まった」ということ。その“たまゆら”のひとときとして、たまたま、生まれたのが人間であり、今、あるような「かたち」として存在している、ということが、証明可能な科学的事実としてわかったということです。(36頁)
次は、宇宙研究からわかった、第二番目のことについてのお話です。
第一番目が、「すべては、ひとつのものから始まった」ということでした。そうであれば、すべては、ひとつのものから、枝別れして生じてきたということですから、「すべては互いに関わりあっている」ということが言えるでしょう。これが、宇宙研究からわかった第二番目のことです。(54頁)
それでは、宇宙研究からわかった第三番目のこととは、なんでしょうか。
それは、「ものごとはすべて、相反するものがバランスをとりながら存在している」、つまり「対極のバランス」から成り立っているということです。言い替えれば、「助け合う関係と向き合う関係のバランスから成り立っている」ということです。引力と反発力の関係、と言ってもいいでしょう。世の中は、相反する性質の均衡の上に成立しているということですね。(62-3頁)」
現代科学が「証明可能な科学的事実」として――つまり宗教的教義としてではなく――「すべてはひとつ」ということと、「すべては互いに関わりあっている」ことを、明らかにしているというのは、改めて大変なことだと思います。
三番目については、筆者の学びがまだ十分ではなかったので、これまであまりご紹介してきませんでしたが、今回の本で深く「なるほど」とうなずきました。
特に感銘を受けたのは、以下のところでした。
「いくつかの電子が集まって分子ができるのも、星が丸くなるのも、すべて、相反する性質の均衡によってもたらされています。雷が鳴るのにも理由があります。宇宙からは、いろいろな粒子が飛んできて、それらが、地球の周りにある空気に衝突して、空気の中の窒素分子や酸素分子をイオン化します。
つまり、プラス電気を帯びた粒子とマイナス電気を帯びた粒子に分けてしまいます。この傾向が強くなると、同種類の電気同士の間に強い反発力が働いて、地球さえも壊しかねない状況になってしまいます。そこで、電気を中和するために起こる放電現象が雷です。」(64頁)
雷のような私たちにとっては怖くて嫌なものに思える現象にも、ちゃんと地球にとっての存在理由があるのですね。
中途半端な紹介をしないと言いながら、つい感銘を受けたエピソードを一つ紹介してしまいました。
これ以上読者のみなさんの楽しみを奪うのはやめておくことにします。ぜひお読みになってみてください。
それから、今後のコスモス・セラピーの講座に参加されるみなさん、講座の中あるいは後で、読後感想をシェアできると楽しいですね。
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