3歳で捨てられた私は友人をつくることもなく
一人でいることの方がはるかに楽だった
誰かが私に近づくと、私は相手を傷つけてしまわないように
自分から人を遠ざけてきた
特に愛されることが怖かった
ところが泰三さんとの出会いで私の根底は見事に変わった
出会って彼のファーストコンタクトの言葉はこうだった
「友子さん、あなたは神とは繋がってきたけど、人とは繋がって来なくて、随分と孤独でしたね。
天国の門は一人ではくぐれないのですよ。パートナーと一緒でなければ・・・」
???この意味、まったく分からなかった
彼はまったくの無防備で、感情的で、そのままでストレートでいて
そしてそのまた逆でもあった
私達は言葉にしなくても、相手の気持ちが理解できた
それはまるで一つとして機能しているかのようだった
同じ境遇で育ち、我慢を強いられたネグレストは人を簡単には受け入れないし
信用しない
そして無防備になんかなれない
いつ捨てられても、傷つかないように・・・
というか、どうやって距離を縮めたらいいか分からないのだ
でも彼と出会って、彼は私に人と繋がることを教えてくれた
それは私が最も避けたい、そして最も怖いことであり
痛みを伴うことでもあった
彼は亡くなり、まんまと、私は彼の罠にかかり
人と繋がることがどれだけ大事なのかを教えられた
泰三さんは、私に大きな贈り物を遺してくれた
それは亡くなった後も泰三さんを慕い続け
私を家族のように受け入れてくれ、心配しお世話をしてくれている
八王子の山口先生夫妻とその仲間達だ
彼らがいなかったら、私はまたすぐに心を閉ざし
孤独のヒーラーになっていただろう
そしてもう一つ
東京に来て、私はその泰三さんとよく似た純粋な魂を見つけた
私はすぐに彼と友人になった
私が人に懐くなんて考えられなかった
泰三さんのお陰で友人と呼ぶ人ができたのだ
彼は性別は男性なのだが、闘うことが嫌いで
よくこれで生き残ってきたものだと感心するくらいのお人よしだ
彼は懐疑的で、怖がりで、石橋を叩いても渡らないタイプではあるが
情にもろく、人懐こい一面もある
ストレートに感情を出すので、きつい言葉を平気でいう
頭脳明晰、天才、ストイックでまじめ、コツコツ型
そしてなぜか彼のことをみんなが面倒をみたがるのだ
彼を批判する人も沢山いた
彼は自分でもアスペルガーだと認めている
空間的な感情をとらえることができないため
誤解も多く、相手の気持ちが理解できないこともある
彼と仕事をするので困ったことはコミュニケーションでトラブルが生じる
動物に例えるならウサギのような小動物で草食男子
ただ、彼の素を知ったらきっと誰もが彼の純粋さに
惹かれるだろう
「抵抗し難い魅力」泰三さんが言った言葉が当てはまる
人がそのままでいるということがどれほど魅力的なのかを
彼は私に教えてくれた
その彼が、今年、仕事上で関わっていた信頼している人に裏切られ
外された
彼が悲しんでいると思うと、私は声をかけることができなかった
そのことに触れないようにしていたが
「僕は気にしていないよ。僕が外されることはどうでもいい。
ただ、僕は彼が大好きだったから、彼と関わることができなくなってしまうことの方が寂しい」
彼は自分が疑われ、まるで犯人扱いされたのにも関わらず、彼らを恨んでいないのだった
普通だったら、自分が搾取する犯人扱いされたら、攻撃したくなるだろうし、二度と会いたくないと心を閉ざすだろう
それなのに、彼は彼らがしたことを、許しているのだった
彼の姿は、なんとも切なくて愛おしかった
その彼が今日、私に目をキラキラさせて話をしたのだった
「今日、彼から電話があって、誤解が解けて、本当の犯人が分かったみたいなんだ
僕は彼が大好きだから、なんだか嬉しくって・・・
もう二度と連絡ができないのかと思ったら悲しかったから・・・」
私はそれを聞いて泣きそうになってしまった
彼の純粋さに心を打たれていたのだ
なんて純粋なんだ・・・
私は泰三さんが亡くなった後、人と深く付き合うことをしている
少しずつ、色々な人の素晴らしさが入ってきては
私はまた声をあげて泣くのだった
泰三さん・・・あなたは私を人間にしてくれた
だからこれからも、根気よく、私は私でいながら
色々な人の愛を受けて生きていこうと思う
友人か・・・いい響きだな~