先週の三連休前から大雪が続き、人と顔を合わせれば雪かきの話から始まるこのごろの札幌。
雪山を見上げるたびに、年末の事業仕分けに疑問を持たずにいられない。
件の作業により道路整備関係の費用が削減となり、除排雪や融雪剤の散布などが減らされていることは報道でも知られての通り。
私が疑問に思うのは事業仕分けそのものよりも、その途中経過だ。
仕分け人は(雪国出身者がいたとしても)今現在雪国に住む人ではない。
その人たちに、雪に関する費用が削られたらどうなるかを想像してみろ、というのは無理な話。
例えば雪の積もった道路では、マンホールが車を走りにくくする原因になるとか、除雪された雪山がどれほど事故を誘発するかとか、そんなことは住んだことのある人間でなければイメージしにくいことだろう。
北海道の多くの人に「台風が直撃したらどうなるか」「大きい地震が来たらどうなるか」をイメージしろと言ってもピンと来ないのと一緒だ(道内にも大きな地震の起きる場所はありますが)。
事業仕分けは(一応)一方的に仕分けられているわけではない。
仕分けられる側にも説明の機会はあった。
そこで、雪対策にも関わる道路整備の費用を削減されると何が起きるか、を、どれだけきちんと具体的な数字をもって説明できたのだろうか。
そこが私の一番の疑問になっている。
大雪が降った後の幹線道路は、除雪がされても排雪がされなければうず高く積まれた雪によって車線が減り、あちこちで大渋滞を巻き起こす。
(裏道は? などと聞かないように。裏道などダート並みの凸凹路面に除雪の雪山で、対向車とのすれ違いも譲り合い、一歩間違えればハマって抜け出せなくなる)
路線バスの運行はメチャメチャになり、ノロノロとすすむ車列から出る排気はCO2を排出する。
融雪剤散布の回数が減れば一般道を走る車の平均速度は落ち、高速道路の閉鎖回数は増え、ますます渋滞する。
郵便、宅急便、生活用品や灯油などの定期宅配は遅延し、配達する側は長時間労働を強いられる。
歩行者信号に届きそうなほどに積まれた雪山は視界をさえぎり、横道から出てきた車との出会い頭の事故や、歩行者との事故も増える。
事故が増えれば警察、救急の出動回数が増え、医療費も増える。
除排雪は冬場に極端に仕事の減る土木業者の、貴重な収入源でもある。
これらは今現在、実際に起きていることであり、事前にある程度具体的な数字をもって予測できたはずのこと。
ただ「生活が不便になる」というだけでは済まないこれらの経済的・人的損失を加味しても、なお予算削減の方が理に適った、費用対効果の高い内容だったという判断なのか。
これまでも毎年、財政が厳しいという理由で除排雪の回数を減らしたりロードヒーティングを停止したりと費用削減はされてきた。
それでも大雪が降った後、これほどに高い雪の壁が残され続けていることはなかった。
今シーズンが終わったあと、果たしてどんな結果が待ち受けているだろう。
仕分けられる側は結果をしっかり検証し、必要なところには(小手先だけの小細工ではなく、堂々と)予算を確保できるよう努力をして欲しいと願う。
本文とは関係ないけど、知床で流氷が接岸したってね。
網走でも沖合に目視できるところまで来てるらしい。
行きたいなぁ……。