ふわり・舞う・毎日

気持ちに余裕がないと、心の泉が枯れちゃうもんね。

「偲ぶ」川

2010年08月31日 | もの書き仕事
29日、日曜日。
ニュースで、訃報を聞いた。
私がもっとも尊敬する作家さんの一人、小説家の三浦哲郎氏が逝去されたとのことだった。

昭和8年生まれ、79歳。
青森県出身で、短編小説「忍ぶ川」で芥川賞受賞。
……
略歴ならソラで言えてしまうくらい、大好きな作家さんだった。

私が三浦氏の作品と出会ったのは、中学生の国語の教科書。
「盆土産」と題された短編だ。

東京に出稼ぎに行っていた父親が、お盆の帰省土産に「えんびフライ」を持って帰ってくる。

「えんびフライってなにせ」

と聞く子供に、父親はひとこと、

「うめもんせ」

と答える。
そのえんびフライは、かじると「しゃおっ」という音がする……。

教科書以降、どの短編集でも見かけていないにも関わらず、この描写は私の記憶に鮮明に残っている。
派手なドラマはほとんど起こらない。
日常に起こる小さなドラマの積み重ねと、独特で決め細やかな情景描写に、知らず知らずのうちに作品の中に引き込まれてしまう。
文中に登場する青森県南部の「南部弁」も、まるで耳で聞いているかのように響いてくる。

高校の選択授業で、「作家研究」があったときには、迷わず三浦氏をテーマに選んだ。
長辺から短編まで、課題と称して読み漁りレポートを書くのは、とても楽しい作業だった。

その中で読んだ作者の家族の姿を描いた長辺小説「白夜を旅する人々」は、今でも飽きず何度も読み返している。
暗く、ドロドロとした形にも描けそうな題材を、あくまで静かに、抑えた筆致で描くことでかえって静かな哀しみがじわじわと広がっていく、そんな小説。

大学生の頃、授業で自分の好きな芝居の一節を演じる、という課題があった。
その時私は、戯曲ではなくこの小説を持って行き、ある場面をやった。
それは自殺する次女「れん」が、それを実行に移す前の日に、まだ幼い弟の「羊吉」に自分の決意を語る場面だった。

背中におぶった羊吉は、寝息を立てて眠っている。
どうせ聞かせてもわからないのなら、寝ていてくれたほうがいい。
そんな思いで、れんは言葉をつむいでいく。
……そんな場面。

最初私は、悲壮感をいっぱいに漂わせて読み始めた。
が、間もなく先生に、
「もう決意してしまった場面なのだから、いっそ明るく、あっけらかんとやってみなさい」
と言われた。
読んでみてなるほど、そのほうがずっとれんの気持ちに近いな、と思った。

小説の舞台に憧れて、青森県の太平洋側から岩手県二戸の金田一温泉までを旅したこともある。
目に映る景色はそのまま小説の中の世界そのものに思えて、一人でワクワクしていた。

近年は新しい作品を目にすることも少なかったが、もう今後、二度と新作が出ることはないと思うととても寂しい。
すごくすごく寂しい。

きっと今ごろ天国で、先に行った兄弟姉妹たちやご両親と、再会されていますよね。
そう、信じて。

三浦哲郎氏のご冥福を、心からお祈り申し上げます。

「最後の最後のお願いです」

2007年07月28日 | もの書き仕事
明日は参院選挙の投票日。
今年は4月にも地方選があったばかり。
今は日曜日が休みだから投票日当日に問題なく行けるのだが、過去には期日前投票を利用したこともある。
ところで、誰に一票を投じるかはいつも悩むところなのだが、日々の生活にいっぱいいっぱいな私は、どこかに演説を聞きにいく時間がない。
屋内仕事だから、勤務中に通りがかかりに聞くということもない。
自分たちの国のことなんだから時間を作ってでも聞きに行け、と言われたら返す言葉はないが、私のような人も少なくないだろう。
そんなわざわざ聞きに行かない人種にとって大切な情報源は、ニュース番組と選挙公報だ。
けれどこの選挙公報が来るのがまたいつも遅い。
新聞を取っていないせいなのだろうが、今回は選挙の2日前の金曜日。
期日前投票に行こうとしていたら、間に合わない可能性が大きいタイミング。
もうこんな時代なんだし、選挙公報を選管の公式ページの中にでも作って、ネットに載せてくれればいいのに、と毎回思う。
法律の問題なんだろうけど。
ネット世代を投票に行かせようと思うなら、「投票に行きましょう」広告を出すばっかりじゃなくて、もっと突っ込んだ活用をすればいいのに。
選挙公報を地域ごとにPDF化して、選管の広告からリンクを貼って、その先で自分の居住地域を選べばそのPDFを見られるようにするだけでも、少しは救える層が出てくるのではないか。
広告やCMを見て少し興味を持っても、その先に資料がなければそこで終わってしまう。
各政党の名前を全て検索して政党のホームページを検索しなければ比較できないのであれば、途中で力尽きてしまいかねない。
せっかくだからパソコンからだけじゃなくケータイからも見られるようにしたらどうだろう、とかね。
まぁ、選管の人が同じように思っていたとしても、法律が変わらない限り無理なのよね。
そんなことを考えながら家にいると、
「最後の最後のお願いです」
外からはお約束のセリフを叫ぶウグイス嬢の声。

そうそう、最後の最後のお願いと言えば。
「第二回 世界で一番泣きたい小説グランプリ」出品中の『あの空の向こうに』への最終投票期間が、残り少なくなってきました。
正確な期日は公表されていないので、いつが締め切りかは不明。
でも来月末に結果発表と考えると、あと半月くらいで投票は終わりなのではないかと。
そんなわけで、「知ってはいたけどまだ読んでいない」「読み途中で投票していない」という皆様。
どうか読んでいただいて、良い、と思ったらぜひぜひぜひ投票にご参加下さい!
「最後の最後のお願いです」。
(実はこれが今日の日記の本命だったりして?)

投票参加はコチラからどうぞ♪
このグランプリ応募については過去の日記に書いています。

左開きの新書たち

2007年07月25日 | もの書き仕事
シェアブログ1172に投稿
ようやく日中の温度が30℃を超えて、夏らしい感じのある札幌。
水不足は相変わらずで、お義父さんの畑も頼みの井戸が枯れて、水争いが起きているとか。

夏らしくなって欲しいと思いながらも、本当に暑くなればクーラーの効いた建物が恋しくなったりして、フラっといつもの本屋さんに立ち寄る。
最近どこの本屋さんでも気になるのが、平積みにされている新刊本の中に、左開きの本が増えてきたことだ。
ケータイ電話の機能が向上し、パケット通信代も定額制が当たり前になってきて、インターネットをケータイから見る人口が増えていることは知っている。
私自身は狭い画面、打ちにくい文字、表示の遅さなどからケータイでのインターネットは本当の暇つぶしにしかやらないが、10~20代を中心にパソコンを使わずにインターネット、というのは確実に広がっている。
そんな中で、「ケータイ小説」もかなり地位を確立してきたらしく、ケータイ小説限定の文学賞、さらには人気ケータイ小説の出版化なども珍しくなくなった。
そして、ケータイ表示と同じ横書きの、左開きの本が本屋さんに並ぶ。

初めて自分のホームページを作った2001年。
そこに小説を載せる際、横書きになってしまうことに抵抗を感じた自分がいた。
もちろん縦書きで作ってしまうこともできるのだが、ブラウザもディスプレイも見る人の目も横書きが当たり前になっていたパソコンで、結局は横書きとして載せる方を選んだ。
定額制ブロードバンドでは無かった当時、他の人の小説を読むにも、まずは各ページを開いて履歴に残し、接続を切ってから改めて読むようにしていたが、いつもどこか落ち着かなかった。
やがて「オンライン小説」「ネットノベル」という言葉が現われて、小説は必ずしも紙媒体ではなくなった。
それでもオンライン小説とは媒体が紙から電子化になっただけで、その先には今までのような各ジャンルが存在していた。
では、ケータイ小説とは何なのか。
オンライン小説を「パソコンでの表示を想定して作られた小説」とするなら、ケータイ小説はそのまま「ケータイでの表示を想定して作られた小説」ということになるのか。
確かに、ケータイ本サイトには、ミステリー・ホラー・写真集・絵本・ノンフィクションなどなど通常の本と同じようなジャンルがある。
それならいわゆる文芸系の小説はどうか。
オンライン小説には文学・文芸系の小説がちゃんと存在している。
対してケータイ小説は、今まで読んだ中では、恋愛・文学・青春などに分類された小説は圧倒的にライトノベル的なものが多い気がする。
改行や章の区切り、表示の見易さなどから、ケータイにはラノベの方が向いているということかも知れない。
ラノベ、それは1つのジャンルだとは思うが、自分自身の書きたい部類ではない。
かといって文芸系の小説をケータイに載せることにも、何となく違和感を感じる。
けれどこれだけ広がりを見せている媒体である以上、無視し続けてもいられないのかな。
オンライン小説を見始めたころには感じていた抵抗感を今はすっかり忘れてしまったように、そのうちケータイという表示媒体にも慣れていけるのか。

いずれ、文芸系の小説も有料無料問わずにダウンロードされて読むのが一般的になるのだろうか。
今はまだオンラインやケータイで評判の高かった作品が紙媒体になる、という流れがある。
無料で見せて売れるかどうかを探り、あるいは文学賞を立ち上げて作品を募集&公開し、見込みあれば紙媒体での販売。
この流れが続く限り、本屋さんにはますます左開きの本が増えていくのだろう。
好む、好まないとに関わらず。
あまりあからさまに毛嫌いすると、古い人間、と言われるようになるんでしょうな。

告白

2007年04月20日 | もの書き仕事
「世界で一番泣きたい小説グランプリ」。
この名前を覚えておいでの方もいらっしゃるでしょう。
昨年、第一回グランプリの時に、私の作品が次点入賞したあの賞です。
実は。
今年も出しておりました。そして最終選考に残りました!!
何故今まで公表しなかったかというと。
実は、昨年と同じ作品、の改稿版。
だいぶ大幅に書き加えをし、細かいところも直しました。
けど一応「同じ作品」なので、一次で落ちるようなら意味がないので、残れたら公表しようと決めていました。
自分が本当に描きたかったところを、余すところなく書き切った、
「あの空の向こうに」久米はるか 第二回出品作品。
グランプリは読者からの投票で決まります。
今年はメール投票ではなく、ホームページの梗概欄からの投票になっています。
長さも増したので、ぜひお時間のあるときにでも読んで欲しいです。
そしてそして、もしも「良い」と思って下さったらぜひ投票をお願いします!
今年は1~5個の星を評価として付けられます。
ぜひぜひぜひぜひ、ご参加いただければ嬉しいです。

「世界で一番泣きたい小説」第二回ページは コチラ から。
「あの空の向こうに」梗概&投票ページは コチラ から。
「あの空の向こうに」本文は コチラ から。

今年こそグランプリを目指して……!

恥を晒しに

2007年04月01日 | もの書き仕事
半月も日記その他全てのことを放置していた私。
半年以上前から書き始めていた文学賞応募の作品の、昨日が締め切りだったわけでございます。
3月31日消印有効。
……が、間に合わず。こんなの初めて。
サイテーです。
かなり力を入れて頑張って書き上げた、多分今までで最長編の小説。
でもタイムアウト。最悪の事態です。放心状態。
この脱落感の持って行き場がなく、ネットで恥を晒してみる自分。
反省の意味を込めて。
悔しいから他の文学賞に、と思ったのだけれど(そんな気持ちで応募されたら、受け取った方もいい迷惑だし、いい結果は期待できないんだけどさ)、長編の規定に合わせて書いてしまったものだから、合うものがなく。
毎年秋から春先までの間に応募するためにワタワタするわけですが、それは実際のところ10月~3月くらいの間が、一番募集が多いからなんですな。
あと半年かけて、じっくり煮詰めて、規定と方向性の合っている賞を狙って出品したいと思います。
と、いう心境になれるまでに2時間かかった。

落ち込んでる場合じゃない。
今回の応募のためにすっ飛ばしてきたたくさんのやるべきことが、山積になって控えているのだ。
気持ちを入れ替えて、順番に取り組んで行かなくちゃ。
……なんだけど、まだちょっとショックから立ち直れていない。
寝れば直るか。私はそんなヤツだ。

その前に、夕飯どうしよう(ダンナ様、寝てしまいました)。
そしてこの、印刷失敗原稿で埋め尽くされた部屋をどこから片付けよう(明日はゴミの日じゃないし)。

……寝よう。
目が覚めたら、誰か「時間切れはエイプリルフール」って言ってくれないかな?

次点入選!

2006年09月15日 | もの書き仕事
このブログでも長い間公表してきた「世界で一番泣きたい小説グランプリ」の結果がついに発表されました!
前日までに電話もメールも来ていないから、グランプリを逃したことは明白だったのだけど、それでも結果は気になるもの。
帰宅してから、さっそくチェック。
と、なんと!
残念ながらグランプリにはなれなかったものの、次点入選で名前があるではありませんか。
http://www.worldnovel.com/
通常の文学賞などと違って、次点にはなんの表彰もないのだけれど、それでも嬉しくないわけがない。
確かに知り合いに「読んで読んで!」と宣伝はしたが、いくらなんでも600人もの協力的な知人はいない。
ということは、全く知らない誰かが読んで、投票をしてくれたということ。
それだけでも充分、応募したかいがあったというもの。
第二回の締め切りが来るくらいまではこのページは残っていてくれそうだし、その間はまだまだ読んでもらえるチャンスがあるみたいだし(本文へのリンクが残っている)。

これをステップに、また精進します。
投票してくださった方、本当にありがとうございました<m(__)m>

さ、頑張って書こうっと♪

やっぱり三つ子の魂

2006年08月29日 | もの書き仕事
お盆明けから新学期が始まっている北海道。
通学する子供たちを目にしつつ、秋の風を感じているにも関わらず、私の中ではまだ「夏休み」。
別に仕事が休みになるわけでもなんでもないのだけど。
幼稚園から高校まで「夏休みは8月いっぱい」が当たり前だったから、いまだにその感覚が抜けていないのだ。
そして夏休みの宿題。
典型的な、最後の日に焦って泣くタイプ。
小学校のころには夏休み最初の日に、
「宿題は早めに終わらせて、31日にはガラガラのプールで伸び伸びと泳ごうね」
と母に言われて張り切るのだが、結局31日にプールへ行けた試しはない。

世間の夏休みが終わるまでには、これを仕上げよう。
私の夏(休み)の宿題。
と、今年の夏も目標を決めたはずだったが。
今週末には月が替わる、夏休みは終わり。
でも宿題は終わっていない。終わる目途も立たない。
こんなことしてたらなにも出来上がらないのに、と自分で自分が憎らしい。
焦りと後悔と、カレンダーとのにらめっこ。
何度同じことを繰り返せば気が済むんだろうね。
これもやっぱり、「三つ子の魂」の一種なのかなぁ。
(そんな風に片付けてはいけない)。

そうそう、締め切りと言えば「世界で一番泣きたい小説グランプリ」の投票締め切りが、だいぶ近付いてきました!
そのうち読もう、と思ってまだ読んでらっしゃらない方、
一次は投票したけど二次はしていない方、
この日記で初めて存在を知った方。
まだ間に合います。ぜひご参加下さい。
拙作は『あの空の向こうに』です。
投票参加ページはコチラから。
(ケイタイからはコチラ
ぜひ、よろしくお願いします!!

最終予選通過!!

2006年06月14日 | もの書き仕事
「世界で一番泣きたい小説グランプリ」の、最終予選通過作品がついに発表されていた。
気付いてドキドキしながらクリックすると……ありました、「あの空の向こうに」、わたしの作品!
262分の24に残れて、さらに中間発表でも11位以内に残っていたので、もしかしたら、という淡い期待はしていたものの、外れたらショックなのでなるべくダメ元という気持ちでいたのだけど。

読んでくださった皆様、さらに投票をして下さった皆様、この場を借りてお礼を申し上げます、ありがとうございました。
で。
まだ終わってないのです。むしろこれからなのです。
すでに一次で投票して下さった方は、どうぞもう一度、投票をお願いします。
まだ参加されていない方は、読んでいただけると嬉しいです。
そして「良いんじゃないかい」と思っていただけたら、これから、に期待を込めて投票してくださると嬉しいです。

最終結果の発表は9月15日(と公式ページには書かれている)。
結果や、いかに。
ダメ元と言い聞かせつつ、期待せずにはいられないのよね。

24分の11

2006年04月26日 | もの書き仕事
「世界で一番泣きたい小説グランプリ」の投票結果中間発表が公開!
おお、順位はわからないものの、24分の11位内には入っているらしい。
しかも寄せられた感想の一部、というところにも私の作品宛ての感想が。
嬉しいじゃないですか。
普段、サイトで作品を公開していても、なかなか感想などはもらえない。
だけど今回は公募の公開サイトということもあって、知らない人にも目にしてもらえているだけに、感想が聞けてそれだけでも嬉しい。

でもね、欲が出ちゃうんですよ、やっぱ。
せっかくここまで来たし、24分の7(で二次審査に行ける)に残りたい、いやいやあわよくば……以下略。

引き続き、ぜひご覧下さい。
そしてもしも「良いじゃんか」と思ってもらえたら、ぜひぜひ投票にご参加を。
次の発表は、5月の末?すなわち、一次の結果が出るということです。
作品「あの空の向こうに」URL→http://www.worldnovel.com/works/18/18-01.html
中間発表の内容→http://www.worldnovel.com/kekka.html
投票はコチラから→http://www.worldnovel.com/

修正されました!

2006年03月21日 | もの書き仕事
先週の木曜の夜に発見して、そのままやきもきした週末が過ぎ、
本日ようやく修正されました!!!
まだ、空けたはずの段落が一行空けになってなかったり、
逆に空いてないはずの行が空いてたりと、中途半端な状態ですが
また修正メールを送るのにも疲れてしまったので、まずは
あの大きな抜けが直されただけでよしとしてます(苦笑)

改めて。

読んでみてください。
投票にぜひ参加して下さい。
あらすじを見る限り、他の作品に比べてとても地味な作品に思えますが
それはそれでわたしの「色」ということで、
お気に召しましたらぜひ清き一票を(笑)
もちろん、せっかくなので他の方の作品もご覧下さいな。
一次投票は5月いっぱいまでの様子なので、ひとつひとつ
じっくりと読んでいきたいと思ってます。

http://www.worldnovel.com/←PC用。作品も閲覧可
http://www.worldnovel.com/m/←携帯用。投票のみ可。