ふわり・舞う・毎日

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海鳥の楽園その1

2008年07月23日 | フォ撮りある記
代休も合わせて、思わぬ4連休を獲得した私たち。
となれば普段の休みでは行けない場所へ行きたい。
普段行けない場所、離島。
ということで、さっそく、天売・焼尻の二島を目指すことになった。

18日金曜日、初日。
前夜札幌を発ったときには土砂降りの雨。
二島へ向かうフェリーが発着する羽幌に着いた時にも、やっぱり土砂降りのまま。
どうなるのだろうと少し不安になりつつも、夜が開けたら雨は止んでいた。

午前中のフェリーに乗り込み、まずは二島のうち、北海道本島からより離れたところに位置する天売島まで渡る。
出迎えてくれたのはたくさんのカモメたち。
オオセグロカモメが多い中、よくよく見ればウミネコも混じっている。
港まで迎えに来てくれた民宿の人に荷物を預け、自転車を借りてカメラだけを手にいざ出発。
島を一周する道路の距離はおよそ10km。
人が住むエリアを抜けると、そこはパンフレットに載っていたとおりの鳥たちの楽園だった。



切り立った崖の上を歩いていた、ウミネコ(?)のヒナ。
近くにいたのがウミネコだったからそのヒナだと推定しているが、もしかしたらオオセグロカモメかも?

この島では、珍しくもないくらいに出会えるウミネコだが、生息分布としては日本・台湾の沿岸部と、中国大陸沿岸、サハリン、千島列島となっているため、世界で見ると珍しいということになる。
特に繁殖地は天然記念物に指定されていることもある。

以前の天売島は、オロロン鳥の繁殖地として有名だった。
けれども、巣を作らず岩場に直接卵を産む生態(そして敵に食べられてしまう)、年に1個しか卵を産まない、捕食のために海を潜水して漁の網にかかってしまう、などして急激に数が減っていった。
世界で見れば繁殖地はあるのだが、日本国内では絶滅危惧種だ。
それでもオロロン鳥に会いたいな、という秘かな期待はあったのだけれど、そう簡単には行かず。
今年も5月と6月には飛来が確認されているようだが、その後は観察されていないという。

それでも他にも珍しい鳥に出会うことができた。
北海道本土からは、海上に浮かんでいる姿を遠目に見ることしかなかった、ウミウが、目の前の船着場でたそがれている。
天売島では朝晩、集団で島の上を飛び交っていた。



そして最近観光の目玉にもなりつつあるという、ウトウ。
夕方には各民宿からお客を乗せて繁殖地まで案内をしてくれる、ガイド付きバスツアー(¥1000)があった。
もちろん参加してみることに。
土の上にボコボコと空いた穴の奥底には、ヒナが潜んでいるという。
昼間訪れた時には本当に、これでよく土砂崩れしないなと思えるほどに穴だらけだった繁殖地だったが、夜の帳が下りると同時に、海上で魚を採っていた親鳥たちが一斉に巣に戻ってくる。
時間になると、空から弾丸のように次々と降るように飛んでくる。
耳元をかすめていく羽の音は鋭い。
時速60km近いスピードだという。
陸に戻ってくるのは、繁殖期の間だけ。
鼻のコブは繁殖適齢期の証拠。
5月、6月には、穴の奥2~3mの深さに潜むヒナたちに餌をやるため、親鳥たちはたくさんの小魚をくわえて帰ってくる。
そしてその魚を巣に放り込むと、あとは一晩中巣の近くをウロウロと歩き回って見張りをするという。
7月にもなるとボチボチ巣立ちが始まり、自分のヒナが時期を迎えたと判断した親鳥はもう巣に戻らなくなる。
ヒナ鳥は切り立った崖の上の巣穴から、人も通る道を辿って海に向かう。
その過程でカモメやカラスにやられてしまうことが多い。



天売島の人たちがウトウを大切に見守ってきたおかげで、ウトウたちは人間を怖がらない。
運んできたエサを狙うカモメには警戒をしても、人間がいても逃げたりしない。
これからは観光としては最盛期を迎える時期だが、どうか観光客も島の人たちの言うことを聞いて、ウトウたちが安心して繁殖できるこの島の環境を守って欲しいと願っている。


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