パリ Paris の話題の続きです。
一番上の写真は、私のパリ訪問のハイライトとなるべきだったルーブル美術館 ....
残念ながら見学は途中で切り上げることになったのですが....訪問したのは2年前に続き、2度目です。
それはともかく、今日の話題は、ヨーロッパ有数の観光都市、パリのテロ警戒について。
ルーブルのこの行列は、入り口のガラスのピラミッド内での手荷物検査のためなのです。
それ以前の、どこに入るにも厳重な手荷物検査がありました。
手荷物検査をすませ、地下におりて入場券を買うための順番待ちが全くないのが拍子抜けです。
約30分の長い列は、これだけの入場者に対してたったの2台しか手荷物検査機が設置されていないためです。
かなり大げさな、空港にあるのと同じ、カバンの中が透視されるハイテク機材が使われていました。
でもそういえばポケットの中を改めさせろ、とか身体検査とかされませんでした。何かぬけている....というか.....
ヨーロッパ中テロの危険でいっぱい!なイメージを持たれる日本の方が多いと聞きました。
決して、普段の生活で危険を感じることはないのですが、国際観光地の有名な観光スポットがターゲットになりやすいのは確かですね。
ルーブルの館内は大変な混雑なのに見張りの係員が全く目につかないところが不思議でした。(実際はいたのか?)
テロ対策の持ち物検査が入り口であったからだと思うのですが、値のつけようもない名画に何か不届きなことをする人がいるかもしれない、という警戒はしないのでしょうか。
もちろん、モナリザは別です。
このにこやかなおじさんのほか、左手に女性一人が一歩後ろに引いて大勢の「拝観者」の動向をうかがっていました。
いかめしい警備員の制服を着ているわけでもなく、のどかな印象でした。
イギリスでもフランスでもたいていの美術館では撮影のし放題。
シテ島にある13世紀に国王の個人礼拝堂として建てられたサント・シャペルのセキュリティの物々しさは特筆ものでした。
持ち物透視検査と金属探知ゲートをくぐる物々しさ!
それほど人がいなかったにもかかわらず、外で15分ほど並びました。
ただし!!検査官がすべて男性でしたので、金属探知ゲートで引っかかった男性入場者は厳密な身体検査をされましたが女性は「マダム、ポケットの中のものを出して!」といわれるだけ。
ポケットから日焼け止めクリームと携帯電話を引っ張りだして見せたら笑顔で通してくれました。
男性の検査官が女性の体にさわるわけにいかないからなのですが、こんなので検査になるのか...?
手荷物の透視検査の前に(たぶん)ポケットの中のものを出してトレイに入れるように一人ひとりに声をかけていたようなのですがいかんせん、検査官の誰一人としてフランス語以外、話せません。
私たちと入った一団のほとんどはフランス語を解しないアメリカ人観光客でしたので、混乱は相当なものでした。
ほぼ全員携帯電話をポケットに入れたままゲートをくぐり派手な警戒ブザーを響かせていました。
サント・シャペルは裁判所の敷地内にある目立たない小さな建物です。
見学後、外に出るには銃を抱えた兵士が警戒に立ち並ぶ、裁判所の大きな門を通らなければなりません。
入場者の数をカウントするため??バーのまわる「バリアー」を通っていくように誘導されるのですが......
人波から離れて歩いてきた私たちも誘導されるまでもなく、バーの回るバリアーをとおって出てから気が付きました。
両側があいていてバリアーを通らなくてもよさそうです。
大胆にも、もう一度戻って写真を撮ってみましたがおこられませんでした。
「あと10分で立ち番の勤務が終わるんだからバカな観光客のことなんかほっておこう」と思われたのかもしれません。
警戒が本当に厳しいのか緩いのかよくわかりませんね。
最初に日に行った、アンバリッドの軍事博物館でももちろん本職の兵士による持ち物検査があり、検査をする兵士のほかに銃を抱えた兵士が背後にたちいかめしさは十分、そのわりにはポケットの検査はなく、カバンの中身を出すようにも言われず..... 危険物を持ち込もうと思えば簡単に持ち込めたはずですよ
ちなみに、サント・シャペルの内部の写真も撮りました。
言葉では表現できないほどのステンドグラスの荘厳な美しさは写真にも残せません。記念に2枚の写真を撮っただけです。
エッフェル塔の下でも銃を持った兵士が通行止めをしていました。
フランス語での、花壇の周りをまわって通るようにとの指示(だったと思います。少なくとも身振りでわかりました)を理解できなかった外国人の小さな男の子が通り抜けようとしたら兵士に手をつかまれ、親の元に連れ戻されていました。
どうやら、この青いリュックサックが不審物扱いで警戒の元凶だったようなのです。
爆発物処理班でも出動したのでしょうか。
動向を見ていたかったのですが、夫と夫の妹はあまり興味なさそうに歩きすぎるので諦めました。
この後どうなったかは不明です。
もちろん、事件性の全くないただの忘れ物か、いたずらか....だったはずです。爆発物だったら世界的な大ニュースになっているはずです...
持ち主のいないリュックサック一つでこの騒動!
「テロと隣り合わせのヨーロッパの緊張した生活」!?
実際そんなことはないんですよ。
並ばされるわずらわしさ、検査を受けてみれば脱力するようないい加減さ.....実際緊張感はほとんどありません。
並んでいる間も、「本当に騒動を起こしたいテロリストは空港やルーブル美術館や国会などで爆発物を起爆させたりしないだろうな。するとしたら人出が多い割には警戒が少ない劇場、駅、スーパー、大学、礼拝のある日の教会なんかのほうが簡単で効果的だろうに....」などとテロリストの身になって思案してみました。
イギリス人にも私と同じことを考える人がたくさんいます。
それでも持ち物検査や身体検査は完全に無駄だと言い切る人は一人もいません。
「やはり、ヨーロッパはテロが身近なんだ」という印象を持たれた方も多いでしょう。
繰り返しますが、そんなことはありません。
ヨーロッパの著名な都市でも私たち普通の市民や観光客が実際テロに巻き込まれる確率は数百万分の一だそうです。
まあ、日本の都市で国際テロに巻き込まれる確率は、(知りませんが)数千万分の一????ぐらい??
「すごい違いじゃないか!?やっぱりテロの少ない日本にいた方が安全ってことだよね!」と思われますか。
私には、数百万分の一も数千万分の一(日本の確率は実際どうなのかは知りません)もどっちも、「まずありえない」と同じ意味だと思えるのですが。
そしていくら銃を抱えた兵士をずらっと並べてもハイテク探知機で荷物検査をしてもテロを完全に食い止めるのはかなり無理な気がします。
うっかり数百万分の一の確率でその場に居合わせれば被害を受けるのは避けられないでしょう。
....日本で津波や地震に合う確率の方がヨーロッパでテロに巻き込まれる確率よりずっと高いはずです。
「だから日本に行くのはやめといた方がよさそうだ」というイギリス人にあったことはまだありません。