ひさしぶりの、ストックポート日報、「ストックポートの観光案内」で再開です。
2週間以上も前の話で恐縮ですが...
ストックポート、タウンセンターの景観保存エリア、オールド・タウン Old Town の中心、マーケット・スクエア Market Square にある知る人ぞ知る観光スポット、ストックポート・ダンジョン Stockport Dungeonです。
通りかかったら公開されていたのでもちろん入ってみました。
(最初の写真は用事があって戻った、その翌々日に撮りました)
「ダンジョン」というのはおどろおどろしい暗黒の中世のひびきのある「地下牢」のことです。
このダンジョンは軽犯罪者を裁く地方裁判(Court Leet)に出廷する被告人を閉じ込めておいた「留置場」のような場所です。
ストックポート・ダンジョンの正式名は Stockport Court Leet And Dungeon 。
地上階は判事 leet のいる(簡易?)裁判所 Cout Leet として、地下は留置所 dungeon として15世紀から18世紀まで使われていたそうです。
上階の店の部分は18世紀から19世紀にたてられたそうです。
1790年にCourt Leet 制が廃止されて以来、裁判所スペースは長く穀物倉庫として使われてきたそうです。それ以後、オフィスやら貸し店舗やらテナントはたびたびかわって、最近20年ほどは史跡として市が管理していたようなのです。
中に入って(入場無料)...
階段の下が...
ジャーン!地下牢です。
お芝居の小道具めいた重りの付いた足かせとか、IKEAででも売られていそうな可愛らしいランタンとか演出がクサくないでしょうか。
まあ、それをいうのなら ジベット Gibbet (絞首刑にされた罪人の死体をさらす鉄のカゴ)にガイコツ、死肉をついばむカラス...の子供を怖がらせるためとしか思えないおどろおどろしい展示物!と天井にはコウモリ...
Leet (判事)もガイコツ。
英国の史跡遺産の観光スポットではおなじみの、さらし台 Pillories が当然のように置いてありました。
「刑罰史」の資料としてではなく観光客を喜ばせるための小道具であることは明らかです。
子供たちをさらし刑にして大喜びで写真を撮る親がやっぱりいました!
白いコウモリ!
マジメな史跡スポットであるはずのストックポート・ダンジョンなのに!... ハロウィーンのパーティ会場にでも使われてそのまま飾りつけを残しておいた、とかでしょうか。
観光客のウケをねらった通俗路線を徹底するか、史跡としての価値をマジメに押し出すか市の観光担当部署は方針を決めかねているのではないかと思います。
マジメな刑罰史や、好奇心をかきたてるストックポートで起きた有名な犯罪史(18世紀のヒ素入りパイ殺人とか)についての資料を展示したコーナーもありました。
実は、ストックポート日報 発刊直後に、外観の写真をのせただけの短い記事にして取り上げたことがあります。
ストックポートに移り住んでわずか数年後、20年近く前に赤ちゃんだった娘を連れて通りかかった時にもぐうぜん一般公開されていたので入ったことがあるのです。人通りの少ない平日でした。
直前に塗りなおしたらしい、つるんとした白い漆喰壁が新しく、清潔な印象が記憶に残っています。(写真は撮りませんでした)。
古い建物の地下室にはつきもののアーチとアーチの間のくぼみ部分は、その当時 漆喰壁でふさがれていたため見られませんでした。
当時、市の観光促進担当らしい職員に「入ってみないか」と声をかけられ、階段ではなく、床に開いたハッチ(木の押し上げ扉)を開けて梯子段で地下牢に降りた記憶があります。もう一人だけいた年配女性の見学者にバギーに乗せた赤ちゃんを見ていてもらいました。
地下牢は今回見たのと同じ場所だったかはずですが、塗りたての白壁でほの暗い電灯もついていたので清潔な印象でした。
裁判所機能を放棄したあと、穀物を保管したというアーチとアーチのあいだの 部分にまた...
頭蓋骨と血に濡れた手!
案内のボランティアの女性の説明によると、考古学上の研究が現在も進行中だとか。
後世に付け加えられた壁を取り除いたら16世紀、17世紀に建造された部分も発掘されたそうです。
建築物に関する資料展示はまだ先になるようでした。
「史跡の町」として街おこしをするつもりらしいストックポートにとって、学術/史跡資料として貴重なこのダンジョン、使えます!(ハロウィーン風展示は真剣に何とかした方が良いと思うのですが、案外ほほ笑ましくもあります)
コート・リートの建物わきの...(この写真も公開日の翌々日に撮りました)
地下牢公開用の新しく取り付けられたらしい小さな扉を開けて...
ボランティアの案内役の男性が通りがかりの人に地下牢を見せてあげていました。
道から見える位置にもやっぱりガイコツ!!
コート・リートが穀物倉庫 mealhouse として使われていたころについたその名も Mealhouse Brow というこの細道はマーケット・スクエアと下のリトル・アンダーバンクを結ぶ急な坂道です。
この窓は店舗として使われていた20世紀初頭に加えられたショーウィンドウのようです。
写り込んでいるのは斜め向かいのガラス張りのマーケット・ホール Market Hall です。
実は用事があって時間つぶしに入ってみたため、展示資料をゆっくり見る時間はとれませんでした。
もう一度、できれは誰かといっしょに行きたいです。さらし台に脚を突っ込んだ写真を撮ってもらわねば!
現在、1か月に1回か2回公開されているようです。興味のある方は Stockport Dungeon で検索すれば観光ウェッブサイトが開くはずです。
英国は 歴史と 遊ぶのですね
pillory とか gibbetとか 知らない単語でした
ありがとう 御座います
子供たちが写っている写真のものはstocks というのかもしれません。
ストックスはふつう足首だけ固定されるさらし台のことを言います。手が自由に使えるものですから、差し入れのタバコを吸ったりものを食べたりしてもいいみたいですし、投げつけられたリンゴやタマネギを投げ返したりもできるみたいです。そんなシーンをドラマで見たことがあります。
手と足固定型ですが座っているのでピロリ―ではないのかも。
調べて追って書き足します。