11月21日から(ずいぶん前ですね)英国南西部の美しい古都、ウィンチェスター Winchester に旅行しました。
4泊5日、日本人の友人との旧交を温めるための「お泊り交歓会」でしたので、夫は同行しませんでした。
ウィンチェスターは、私にとって特別に思い入れのある町です。1991年から1992年にかけて、3年間の留学生活の最初の1年をウィンチェスターにある「アートスクール」で過ごしました。(大学の学士過程;英国の大学は通常3年制です)
ウィンチェスターに住んでいたその友人とは、その時以来の長い付き合いです。
事情があって転学し、2年生から編入したポリテクニック(現在では廃号された、産業工科大学と和訳されている学士過程)のあるマンチェスターにうつったあとも、休暇中に何度かウィンチェスターに戻りその人の家に滞在させてもらいました。
...友人の事情で泊めてもらうのが難しくなったり、そうそうパンデミックも挟まりましたし...しばらく足が遠のいていたウィンチェスターです。友人の身のまわりも落ち着いて、泊めてもらうことができた今回は実に2014年以来、9年ぶりの訪問です。
街並みは本当に30年前と変わっていません。さすがは古い街並みをていねいに保存してきた英国屈指の史蹟観光地だけあります!
街並みも町にとっては観光資源、「飯のタネ」だけありますね。
国内屈指の「観光地」としての歴史は11世紀ごろまでさかのぼれます!!
ウィンチェスター大聖堂 Winchester Cathedral が1079年に建立されて以来、カンタベリー大聖堂とならぶ英国南部のありがた~い巡礼目的地として多くの人を惹きつけてきたそうですから。
後述しますが大聖堂の他、めぼしい中世建築がいくつかと、とてもとてもたくさんの17世紀から20世紀初頭にかけての雑多な様式の民家や店舗がぎっしり並ぶ、古い街並み好きにはこたえられない魅力的な場所なのです!
それにくらべて、そのあと2年の学生生活をすごした北西部の工業都市マンチェスターの、特に中心部のここ30年間の街並みの変わりようと言ったら...目を見張るようです。
みっともないコンクリート造りの中途半端にモダンな建築物とラクガキだらけの空き家がならぶ、不況のどん底だった1990年代のマンチェスターを初めて見た時はひどく気落ちしたものでした。ウィンチェスターとの見た目の落差が大きすぎて。
それでも活気のある大都市での学生生活はとても楽しいものでした!...英国現代史に残る大事件、IRAによる「マンチェスター爆撃」で町の中心地が破壊されたこともあり、復興を機に今ではスッキリ、モダンな都市計画が完了しています。
以来、マンチェスター(シティ・オブ・マンチェスター)と、グレーター・マンチェスターの「バロウ」のひとつであるストックポートに定住して30年以上たちます。
いつも、いつまでも美しいウィンチェスターは、私のちょっとした故郷のような場所なのです。
…と言っても、ウィンチェスターも、店やカフェ、レストランなど商業施設の入れ替わりの激しさは他の街と変わりません。オンラインショッピングにおされて、小売店が苦戦しているのは世界中すべての先進国に共通していることですよね。
それでもウィンチェスターでは観光地ならではの、個人経営のこぎれいなギフトショップが健闘しているようでした。
30年以上前、留学時代を過ごしたウィンチェスターには新学期が始まる秋に来て、夏前には転居したものですから、日が暮れるのが早い、暗くて寒い冬の印象ばかりが強く残っています。
現在は高額な拝観料をとるウィンチェスター大聖堂には、当時は無料で入れました。地元の信者や中世の巡礼者が気楽に立ち寄って神様との対話ができる静かな信仰の場所だったわけですね。
騒々しくも、ものがなしい鐘の音にも心がザワザワする旅情を感じたものでした。
見るものがすべて珍しく楽しく、一度もホームシックにかからずにすごせました。
歴史のある古い町で英国滞在の最初の1年近くを過ごせたことは、私の、結果的に永住することになった英国に対する思い入れに大きな影響を与えたことは間違いありません。
次回から、大聖堂など見どころをちょこっとご紹介します。(建築の話をダラダラ続けないよう、気をつけます)
思い入れの 有る 街は
良いですね