blog Donbiki-Style

筆者:どんびき(地域によりカエルの意)

思わず本音が

2010-02-26 23:43:04 | 日記
全世界の注目を集めたと言っていい女子フィギュアのシングル。
キム・ヨナ選手(韓国)が圧倒的な点数を叩き出して優勝し、日本期待の浅田真央選手は銀メダルながら本人は泣くばかりであった。

五輪の舞台で、彼女しか飛べないトリプルアクセルをすべて成功させながら大差で敗れた浅田選手には同情の声も多い。
ノーミスのキム選手と比較して、シロウト目にも明らかなミスが2箇所あったことから、この時点で金メダルはないと思ったものの、20点近い差が付くような演技であったとも思えなかった。

特に競技を実際にやっている方々からすると、難度の高い技についてそれほど評価の対象にならない現状の採点方式には大いに不満があるようだ。
男子の銀メダリストであるプルシェンコ選手(ロシア)があえてヒール役を買って出てまで疑問を投げかけたことは皆さんもよくご存知だろう。
そのあたりのことは、いみじくも今日の実況の刈谷アナ(NHK)が「キム選手サイドは今の採点方式を最大限利用して・・・」と思わず口にしてしまったことからも明らかだ。
あとで「生かした」と表現を修正したが、キム選手サイドのほうが「傾向と対策」をよく分かっていた。

ただ、日本人として忘れてはならないことは、4年前のトリノで荒川静香選手が同じように「勝つための構成」を練りに練った結果金メダルを取ったという事実である。
さほど技術的に飛び抜けたものを持っていなかった彼女の金メダルに日本中が狂喜したことを考えると、かなり異常な点数の出方はしたとは思うが、今回「勝つことに徹して」優勝したキム選手サイドを批判するのは少し行き過ぎとも思える。
いくら隣国のライバルとは言っても、半分は嫌韓感情まじりとも思えるバッシングはよくない。
大舞台でノーミスということ自体はそれだけですごいことだろう。
キム選手自身は、韓国人民の過剰とも思える期待を背負っていたわけで、ロボットとも評されるクールな選手が演技終了後に見せた涙は意外にも思えた。
あれが作為的なものなら、相当な役者だろう。

男子の優勝者であるライサチェック選手(アメリカ)はヒザに古傷を抱えていたというし、キム・ヨナ選手は慢性的に腰に不安があってフリーを乗り切るスタミナが唯一の不安とされてきた。
そんな状況で「フリーの持ち時間ををしっかり滑り切る」戦略がしっかりできていたのだろう。
いくら緻密な戦略があっても本人がそれを実践できなければ終わりだが、両者ともとりあえずは完璧にこなしたから金メダルがあったのだと思う。
三回転半にこだわって成功させた浅田選手はもちろん素晴らしいが、心身の負担がそこに行き過ぎて中盤のミスになったのかもしれない。

今大会はメダルの数こそ4つとなったが、金メダルとなるとあと3日ではかなり厳しい状況になってきた。
みんなが狙ってくる中で頂点に立つには、ここ一番の「爆発力」とある意味での「したたかさ」も必要なのかもしれない。
クリーンに戦うことは日本人らしくてよいのだが、最高の結果が出て国が最高に盛り上がるのもまた事実なのだ。
今の政権も、仕分けでスポーツ関連予算の削減などと言っていないで、むしろ、ただでさえ失墜ぎみの日本という国家のイメージの向上という大きな視点で考え、もっと選手強化にお金を使う方向に行くべきだ。
そういう点は、韓国や中国、あるいはロシアあたりと比較して決定的に劣っていると思うのである。

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