八月は一回目がお盆にあたり休会としたので本日が一回目になりました。熊本の残暑はお盆を過ぎてもおさまる気配がなく、連日37度を超える猛暑つづき、いささかうんざり且つ辟易です。しかし会員の皆様は元気一杯、一人の欠席者もなく全員出席でした。
古文書解読の面白さが暑さを乗り切る一要素になっているようです。膝栗毛は活字本もありますが、直に古文書版を読む方が何倍も面白いのです。
今日からいよいよ後編に入ります。箱根の山を下りて大井川を渡るところまでが後編です。
序文から読み始めましたが面白い漢字というか表記に出会いました。
「鳥觜・潮来」
これは何と読むのでしょう。「チョウシ・イタコ」と読みますが潮来は分かりますが鳥觜とは何でしょうか。これは銚子の当て字なのです。
千葉県最東端の銚子市の地形は鳥の觜のようにとんがっているので、そこからの当て字なんでしょう。でもひょっとすると「鳥觜」が本義で銚子が当て字なのかもしれません。銚子市史などには記載があるかもしれません。
江戸から遠く離れたこんな地名が、なぜ出て来るかと言えば、一九が半年ばかりの間この地方の観光めぐりをしているからです。初編が大当たりして、書肆は大儲けをしたので、一九へ報奨金をだしたのでしょう。そのお金で遊び回っているのです。
しかし書肆の栄邑堂にしてみれば、遊ぶのはよいとしても、早く戻ってきて後編を書いてもらいたいのです。「鼻の下を長くして、鳥觜・潮来に居続けて尻を腐らしている」などと罵っています。売れっ子作家と出版社の関係は現代でも同じでしょう。
ともかくもその年(享和二年1802)の暮れになって一九は江戸へ戻ってきます。それからは正月の休養もなく缶詰状態に押し込められて書きまくったようです。それは
「ここに於て不得止事、終に前後二巻を編輯す。急迫なれば排設の中齟齬あることは見赦したまへ」と栄邑堂が書いているところからも推察できます。
中川さんの購入書籍
¥3.500したそうです。
書の下にそれを書いた人の名前があるのがユニークです。
上にありますがこれは良寛和尚の書です。なかなか貴重な書籍ですね。