古文書を読もう!「水前寺古文書の会」は熊本新老人の会のサークルとして開設、『東海道中膝栗毛』など版本を読んでいます。

これから古文書に挑戦したい方のための読み合わせ会です。また独学希望の方にはメール会員制度もあります。初心者向け教室です。

白菜とキャベツ

2017-01-30 17:31:55 | 植物

まえにもアップした白菜とキャベツ、キャベツは巻き始めたようですが、白菜はどうも気になります。もう暫く様子を見るしかないですね。

今日はジャガイモを植える準備をしました。毎年立春を過ぎた頃に植え付けています。


太祇句集 翻刻4 秋

2017-01-24 11:01:05 | 炭太祇

  不夜菴太祇句集

    秋

277  すゝしさのめでたかり鳧今朝の秋

278  初秋や障子さす夜とさゝぬよと

279  七夕や家中大かた妹と居す

280  月入て闇にもなさす銀河(天の川)

281  家つとの京知顔やすまひとり

282  裸身に夜半の鐘や辻相撲

283  勝迯の旅人あやしや辻角力

                    原画 早稲田大学古典籍

 

284  引組て猶分別やすまひとり

285  山霧や宮を守護なす法螺の音

286  さし鯖や袖とおぼしき振あハせ

287  明はなし寐た夜つもりぬ虫の声

288  城内に踏ぬ庭あり轡虫

289  見かけ行ふもとの宿や高灯籠

290  夕立の晴行かたや揚灯籠

291  声きけハ古き男や音頭取

292  彼後家のうしろにおとる狐かな

293  末摘のあちら向ひてもおとり哉

294  蕃椒畳の上へはかりけり 

295  つる草や蔓の先なる秋の風

296  痩たるをかなしむ蘭の莟かな

     あるかたより蘭を贈くるゝに名立事ありて

297  蘭の香や君かとめ寄楠に若も又

     長月の末召波訪来りし時

                   原画 早稲田大学古典籍

 

298   何もなし夫婦訪来し宿の秋

299  行秋に都の塔や秋の空

     岩倉にて雨にあひ金蔵寺大徳の情に一夜の舎り 

     免され嬉しと這上りて

300  笠ぬけハ鹿の聞度夜とそなる

     南谷上人の書の額あり薬師の宝前に二種の草あ

     り

301  南無薬師菊の事もきく桔梗

     をくら山のふもとなる湧蓮寺の庵を卯雲子と共に尋

     侍るにあらざりけれハ扉にかいつく

302  留守の戸の外や露をく物ハかり

303  此鱸口明せずと足ンぬへし

304  畠から西瓜くれたる庵かな

305  遺言の酒備へけり魂まつり

306  懸乞の不機嫌ミせそ魂祭

307  おもへとも一向宗やたま祭

308  魂棚やほた餅さめる秋の風

309  たま祭る料理帳有筆の跡 

                   原画 早稲田大学古典籍

 

310  送り火や顔顔覗あふ川むかひ

311  いなつまや舟幽霊の呼ふ声

312  鬼灯や掴ミ出したる袖の土産

313  乞けれハ刈てこしけり草の花

314  二里といひ一里ともいふ花野哉

315  鮹追へハ蟹もはしるや芋畠 

316  餓てたに痩んとすらむ女郎花

317  其葉さへ細きこゝろや女郎花

318  鶏頭やはかなきあきを天窓勝

319  鶏頭やすかと仏に奉る

320  蜘の囲棒しはりなるとむほ哉

321  静なる水や蜻蛉の尾に打も

322  萩原に棄て有けり風の神

323  萩吹燃る浅間の荒残り

324  椋鳥百羽命拾ひし羽音哉 

     経師何かし芭蕉画る扇に賛望れて

                   原画 早稲田大学古典籍

 

325  裂やすきはせをに裏を打人歟

326  秋さびしおほへたる句を皆申す

327  簗をうつ魚翁かうそやことし限

328  ものの葉に魚のまとふや下簗

     京へのぼりし時

329  蕣に垣根さへなき住居かな

330  ミとり子に竹筒負せて生身魂

331  野分して樹々の葉も戸に流れけり

332  浅川の水も吹散る野分かな

333  渡し守舟流したる野分哉

334  片店はさして餅売る野分かな

335  芋茎さへ門賑しやひとの妻

336  おもはゆく鶉なく也蚊屋の外

337  畠踏む似せ侍や小鳥狩

338  身の秋やあつ燗好む胸赤し

     いとわかき大女に秋来て柳絮の才も

     一葉と散行蘭蕙の質も芳しき

                   原画 早稲田大学古典籍

     名のミに帰り来ぬ道のくまぐま問よ

     る中に交りて父の蘭虎によす                    

339  此夕べぬしなき櫛の露や照

     花燭をおくりて霊前にさしよするハいさゝか其情を

     慰するにあり

340  ミそなはせ花野もうつる月の中

341  あさかほに夜も寐ぬ嘘や番太郎

342  ミか月やかたち作りてかつ寂し

343  三日月の船行かたや西の海

344  みか月や膝へ影さす舟の中

345  雨に来て泊とりたる月見かな

346  狂ハしやこゝに月見て亦かしこ

347  来ると否端居や月のねだり者

348  明月や君かねてより寝ぬ病

349  明月や花屋寐てゐる門の松

350  うかれ来て蚊屋外しけり月の友

351  後の月庭に化物作りけり

352  灯の届かぬ庫裏やきりぎりす

                   原画 早稲田大学古典籍

 

353  雪ふれハ鹿のよる戸やきりぎりす

354  大根も葱もそこらや蕎麦の花

355  うら枯ていよいよ赤しからす瓜

356  萩活て置けり人のさはるまて

357  石榴食ふ女かしこうほときけり

358  喰すともさくろ興有形かな

359  菊の香やひとつ葉をかく手先にも

360  見通しに菊作りけりな問はれかほ

361  菊の香や山路の旅籠奇麗也

362  旅人や菊の酒くむ昼休ミ

363  残菊や昨日迯にし酒の秋

364  朝露や菊の節句ハ町中も

365  古畑の疇ありながら野菊かな

366  泊問ふ船の法度や秋の暮

367  有侘て酒の稽古や秋の暮

368  おとり人も減し芝居や秋の暮

                   原画 早稲田大学古典籍

 

369  ひとり居や足の湯湧す秋の暮

370  夕霧に蜂這入たる垣根哉

371  出女の垣間見らるゝきぬた哉

372  泊居てきぬた打也尼の友

373  菊の香や花屋か灯むせふ程

374  剃て住法師か母のきぬた哉

375  寐よといふ寝さめの夫や小夜砧

376  夜あらしに吹細りたるかゝし哉

377  やゝ老て初子育る夜寒かな

378  旅人や夜寒問合ふねふた声

379  舟曳のふねへ来ていふ夜寒哉

380  水瓶へ鼠の落し夜寒かな

381  朝寒や起てしハふく古こたつ

382  縁端の濡てワひしや秋の雨

383  茄子売る揚屋か門や秋の雨

384  夜に入は灯のもる壁や蔦かづら

                   原画 早稲田大学古典籍

 

385  引ケハ寄蔦や梢のこゝかしこ

386  町庭のこゝろに足るやうす紅葉

387  鉄槌に女や嬲るうちもみち

388  空遠く声あハせ行小鳥哉

389  露を見る我尸や草の中

390  青き葉の吹れ残るや綿畠

391  柿売の旅寐は寒し柿の側

392  関越て亦柿かふる袂かな

393  残る葉と染かハす柿や二ツ三ツ

394  かぶり欠く柿の渋さや十か十

395  恋にせし新酒吞けりかづら結

396  よく飲ハ゛価ハとらしことし酒

397  きりはたりてうさやようさや呉服祭

398  新米のもたるゝ腹や穀潰し

399  とうあろと先新米にうまし国

400  芦の穂に沖の早風の余哉

                   原画 早稲田大学古典籍

 

401  迷ひ出る道の藪根の照葉かな

402  薬堀蝮も提てもとりけり

403  身ひとつをよせる籬や種ふくへ

404   口を切る瓢や禅のかの刀

405  此あたり書出し人もへくへ哉

406  ひとつ家に年あるさたや水煙草

407  夜の香や煙草寐せ置庭の隅

408  事繁く臼踏む軒やかけたはこ

409  小山田の水落す日やしたりかほ

410  永き夜を半分酒に遣ひけり

411  あきの夜や自問自答の気の弱

412  長き夜や夢想さらりと忘れける

413  寐て起て長き夜にすむひとり哉

414  永き夜や思ひけし行老の夢

415  落る日や北に雨もつ暮の秋

416  長きよや余所に寝覚し酒の酔

                   原画 早稲田大学古典籍

 

417  壁つゞる傾城町やくれのあき

418  塵塚に 蕣さきぬくれの秋

419  行秋や抱けは身に沿ふ膝頭

420  孳せし馬の弱りや暮の秋

                        原画 早稲田大学古典籍

 

 

    

 

 

 


熊本新老人の会 鶴亀句会 初句会

2017-01-20 14:54:32 | 鶴亀句会

句会日時   2017-1-20  10時

句会場        パレア9F 鶴屋東館

出席人数   5人

指導者    山澄陽子先生(ホトトギス同人)

出句要領  6句投句 6句選  兼 題 初景色

世話人    近田綾子 096-352-6664 句会出席希望の方は左記へ。

次 会    2月17日(金)10時パレア9F 兼 題 余寒

山澄陽子選

平凡の日々を尊び去年今年      安月子

水尾の中にまた水尾曳くや別の鴨   礁 舎

乗初めの孫の運転護国社へ      綾 子

旅立ちに良き日を選ぶ初暦       安月子

地震後の友の年賀や幸祈る       茂 子

初詣並ぶ孫の背見上げけり        綾 子

名ある山名のなき山も初景色       礁 舎

松籟の遠く聞ゆる淑気かな        茂 子

 

先生の句

読初めといふも手近にある雑誌    陽 子

初刷りの新聞の嵩賑々し        陽 子

晩年や雑煮いつしか母の味       陽 子

老二人何はなくとも先づ福茶       陽 子

※  武敬さん欠席で5人の句会となりました。5人ではちょっと寂しいです 

   ね。あと2、3人会員を増やしたいものです。

 


俳誌「松」水仙號  主宰茂木連葉子

2017-01-15 20:26:53 | 

雑 永 連葉子選と句解

 

酔芙蓉句座にお初の人迎へ    菊池 洋子

 芙蓉の中の「酔芙蓉」は、朝の咲き始めは白く、午後にはピンクになり、夕方からさらに赤く

なることで知られてゐます。 したがって始めての人を迎へての句会は、夕方から始まる句座

と思はれます。仕事を持つ人たちともなれば、休日はともかく、ウイークディに開催される句座

は自づから夜となります。 「お初の人」と言はれてゐるやうに、今の時代、新人は歓迎される

ばかりか、珍重されるのが一般的でせう。そんな空気が一句から感じとれて面白く、季語もま

た、その場にマッチしてゐて、羨ましい限りです。

 

牧広き獣医学部や馬肥ゆる    山岸 博子

 広い牧場を持つてゐる獣医学部は、北海道大学のそれであることが、作者の住所からも判

ります。 そんな牧場で飼育されてゐる馬たちは、冬に備へての食欲を大いに発揮してゐる

のです。 いづれにしても馬たちは、人間の情況やら境遇などとは無関係に、四季を通して育

てられてゐるのです。蛇足ながら、東京本郷の東京大学農学部にも五六頭の病気の馬が飼

はれでゐる厩舎があることを、以前に事情があって知りました。

 

大根煮て夫の機嫌を伺へり    原田 祥子

 掲句の大根煮は、「風呂吹」のことでせうか。 いづれにしても、種類が多い上に、調理法も

多彩で親しまれてゐるのが大根です。そこで作者は、季節の大根を煮て、仲のよい夫の機嫌

を伺ふといふのです。 ところで「機嫌」 に尊敬語の「御」をつけ、「ご機嫌伺ひ」などとして使

れるケースが少なくありませんが、一句の場合は至って軽い意味合ひの機嫌伺ひに感じら

ます。 大根煮に相応しい夫婦の匂ひが漂ってゐます。

 

個室出で秋日にさらす身丈かな    林 三枝子

 ケア・ハウスに入所されてゐる作者は、籠りがちな個室を出て、折からの秋の日ざしに身を

晒したといふのです。 とりわけ「秋日にさらす身丈かな」 の中七、下五の措辞によって、丸く

なりがちな背筋を伸ばしてゐる様子や秋日の濃さなど活写されてゐます。 三枝子さん流の

俳味が、さりげなく込められてゐると感じるのは、私だけではない筈です。

 

帰る子と夕月仰ぎ別れけり    向江八重子

 実家を訪れたのち、帰らうとする子を門辺まで送り出したのでせう。そして、折しもの夕月を

互ひに見上げながら別れたといふのです。 具体像としての子は、娘さんであり、夕月を仰ぎ

ながら短い会話を交したことなどが伺へるのは、一句の表現力と言へるでせう。 表現にとり

わけ技巧を凝らす訳でもなく、淡々と詠はれてゐるところが注目されます。

 

小さかる針箱をもて冬用意    佐藤 和枝

 「小さかる針箱」 の措辞によって、かつては大きな針箱を持ち、ミシンを踏むなどして冬用

意に専念してゐた時代の作者が想像出来ます。 しかしながら、針に糸を通すこともままなら

なくなってゐる今は、小さく、可愛いい針箱で足りる冬用意を、それでも欠かしてゐないといふ

わけです。 避けて通ることの出来ない高齢化ですが、俳句同様、工夫が必要であることを

言外に諭してゐるやうです。

 

爽やかに指に力のセラピスト    西村 泰三

 入院、リハビリ中の作者は、理学療法士による機能回復訓練を受けてゐるのでせうか。 い

づれにしても、療法士の指の力を強く感じると同時に爽やかさを感じとつてゐるのです。そし

て、その辺りに患者と療法士との信頼関係が生れつつあることが伺へます。 病者ならでは

の句とも言へますが、健常者にも共通の視点が存在します。

 

初粟の籠に轟き照り合ひぬ    古野 治子

 今年はじめて拾はれた栗の実が、籠中いっぱいに轟き、且つまた照り合ってゐるのです。 

まさに粟の実の歓喜さへも聞えて来るやうですが、尋常ならざる点は、「籠に轟き」に留まら

ず、「照り合ひぬ」と詠まれてゐることです。 そして、そのことによって 「初栗」 の 「初」が

生きて来る仕組みになってゐるものと思はれます。

 

手のくぼに鶏頭の種採り溜むる    安部 紫流

 韓藍 (からあい) の古名で 『万葉集』 にも詠まれてゐる鶏頭。そして鶏頭自体を詠んだ

句は、子規の有名な句をはじめ少なくないものの、種が詠まれた句は珍しいと言へます。 し

かも手の窪に、採り溜められてゆく種の一つ、一つ。どことなく貴重品めくのみならず、毛糸の

温かみのやうなものまで伝はつて来ます。 よく訓練された人の目が捉へられた、一句と言へ

ます。 

 

 


膝栗毛25 中川さんの詩

2017-01-12 21:42:02 | 膝栗毛後編

 下は会員中川さんの作詞で「甦れ嗚呼熊本城」という題名ですが、七五調の韻

を踏んでなかなか立派な詩です。これは今月出る新老人の会支部会報に載る

そうです。

 1級建築士の中川さんにこんな才があるとは知りませんでした。この詩は三橋

美智也のヒット曲「古城」の音律で唄えるそうです。

 

 今日は新年初めての読み合わせ会で7人全員集合でした。膝栗毛の変体カナ

そろそろ卒業という感じで読む速度が上がり時間が余るので、別の文書を少

しづつ読むようにしています。

 今日は入会希望の方が1人参加されました。今年はも少し会員を増やしたい

ですね。見学に来られた女性の方入会されたらいいあと思っています。


太祇句集 翻刻3 夏

2017-01-09 11:41:33 | 炭太祇

不夜菴太祇発句集

         夏

 

162  物かたき老の化粧や衣更

163  いとをしい痩子の裾や更衣

164  綿脱ておます施主有旅の宿

165  かしこけに著て出て寒き袷哉

166  行女袷著なすや憎きまて

167  能答ふわか侍や青すたれ

168  盗れし牡丹に逢り明る年

                    原画 早稲田大学古典籍

169  猫の妻かの生節を取畢(をわんぬ)

170  相渡る川のめあてや夏木立

171  甘き香は何の花そも夏木立

172  高麗人の旅の厠や夏木立

173  孑孑やてる日に乾く根なし水

174  景清ハ地主祭にも七兵衛

     呑獅参宮を送る

175  餘花もあらむ子に教へ行神路山

176  西風の若葉をしぼるしなへかな

177  ミしか餘や今朝関守のふくれ面

     ある人のもとにて

178  めかしさよ夏書を忍ぶ後向

179  青梅のにほひ侘しくもなかりけり

180  抽でゝ六め勝けりな寺若衆

181  青梅や女のすなる飯の菜

182  傘焼し其日も来けり虎か雨

                   原画 早稲田大学古典籍

 

183  さミたれの漏て出て行庵かな

184  つれつれに水風呂たくや五月雨  

185  帰来る夫の咽ぶ蚊やりかな

186  蚊屋に居て戸をさす腰を誉にけり

187  事よせて蟵へさし出す腕かな

188  蚊屋くゝる今更老の不調法

189  やさしやな田を植るにも母の側

190  早乙女や先へ下りたつ年の程

191  蚊屋くゝる女は髪に罪深し

192  蓴菜やしるよししける水所

     閨 怨

193  飛蛍あれといわむもひとりかな

194  三布に寐て蚊屋越の蚊に喰れけむ

     御退位きのふありてけふハ庭上の御規式の跡拝し 

     奉るとてミなつとひまふのほるを聞て

195  蚊屋釣て豊に安し住る民

                   原画 早稲田大学古典籍

 

196  蚊屋釣るや夜学を好む真ツ裸 

197  蚊の有に跨るふりや稚かほ

198  蚊遣火もミゆ戸さゝぬ門並ひ

199  下手伸せて馬もあそぶや藤の森

200  妾か家ハ江の西にあり菰粽

201  武士の子の眠さも堪る照射かな

202  月かけて竹植し日のはし居かな

203  しらて猶余所に聞なす水鶏かな 

204  妾人にくれし夜ほとときす

205  追もとす坊主か手にも葵かな

206  葵かけてもとるよそめや駕の内

207  碓の幕にかくるゝ祭かな

208  低く居て富貴をたもつ牡丹哉

209  こゝろほと牡丹の撓む日数かな

210  門へ来し花屋にミセるぼたん哉

211  切る人やうけとる人や燕子花

                   原画 早稲田大学古典籍

 

212  深山路を出抜てあかし麦の秋

213  麦秋やにでて行く馬鹿息子

214  笋を堀部安兵衛や手の功

215  筍のすへ筍や丈あまり

216  白罌粟や片山里の濠の中

217  牡丹一輪筒に傾く日数かな

218  麦打に三女夫並栄へかな

219  さつき咲く庭や岩根の黴なから

220  濡るともと幟立けり朝のさま 

221  くらへ馬顔ミへぬ迄誉にけり

222  なくさめて粽解くなり母の前

223  物に飽くこころ恥かし茄子汁

224  列立て火影行鵜や夜の水

225  舟梁に細きぬれ身やあら鵜共

226  いて来たる硯の蠅ま一つかみ

227  ひとくゝる縄も有けり瓜作り

                  原画 早稲田大学古典籍

 

228  姫顔に生し立けむ瓜はたけ

229  盗人に出合ふ狐や瓜はたけ

230  二階から物いひたけや鉾の兒 

231   あふきける団を腕に敷寐かな

232  書すてし歌もこし折うちハ哉

233  風呂布のつゝむに余る団かな

234  蟵こしに柄から参らすうちハかな

235  扇とる手へもてなしのうちハかな

236  貯ふともなくて数あるあふきかな

237  雷止んて太平簫ひく涼かな 

238  蠅をうつ音も厳しや関の人

239  夜を寐ぬと看る歩ミや蝸牛

240  有侘て這ふて出けむかたつふり

241  怠ぬあゆミおそろしかたつふり

242  引入て夢見顔也かたつふり                   

243  折あしと角おさめけむ蝸牛  

                    原画 早稲田大学古典籍

 

244  水の中へ銭遣りけらし心太

245  もとの水にあらぬしかけや心太

246  蚊屋釣てくるゝ友あり草の庵

     偶 成

     よしハら鳥のよしとおもへハ

          これも鳴音のあらきやうきやうし

247  気のゆるむあつさの顔や致仕の君

248  世の外に身をゆるめゐる暑かな

249  めてたさも女は髪の暑サかな

250  あつき日に水からくりの濁かな

251  朝寐してをのれ悔しき暑さ哉

252  病て死ぬ人を感ずる暑哉

253  色濃くも藻の干上るあつさかな

254  釣瓶から水吞ひとや道の端

255  虫ほしや片山里の松魚節

     かこつことある人へ

256  来し跡のつくか浅まし蝸牛

                   原画 早稲田大学古典籍

 

257  草の戸の草に住蚊も有ときけ

258  水練の師は敷草のすゝミ哉

259  空をミてすゝみとる夜や宿直の間

260  前鬼にも吞せて行や薷散

261   川狩や夜目にもそれと長刀

262  あしらひて巻葉添けり瓶の蓮

263  蓮の香や深くも籠る葉の茂

     寄蓮恋

264  蓮の香の深くつゝミそ君か家

     百圃より東寺の蓮贈られて

265  先いけて返事書也蓮のもと

266  たつ蝉の声引放すはずみかな

267  沢瀉や花の数そふ魚の泡

268  かたひらのそこら縮て昼寐かな

269  昼顔や夜は水行溝のへり

270  夕㒵やそこら暮るに白き花

                   原画 早稲田大学古典籍

 

271  夕顔のまとひもしらぬ垣根かな

272  白雨や戸さしにもとる草の庵

273  ゆふたちや落馬もふせく旅の笠

274  白雨やこと鎮めたる使者の馬

275  橋落て人岸にあり夏の月

     琴泉と東寺へ蓮見によりて酔中の吟

276  引寄て蓮の露吸ふ汀かな

                    原画 早稲田大学古典籍

 

※ 以上夏の句 117句終わります。版本は巷間に流布して広く読

  まれたのですから、当時の人々は現代人が新聞を読むように読 

  んでいました。しかし現代人には読めなくなっています。古文書

  の解読と俳句の鑑賞の二つながらを意識して掲載しました。

     

 

 


大根

2017-01-05 15:04:25 | 日記

ことしの大根は種まきのころ害虫の異常発生により3回も蒔き直すという憂き目に遇いましたが、なんとか収穫を迎えるまでになりました。その中でよく出来たものを撮りました。

青首の洗へは゛白き大根かな  礁 舎


太祇句集 翻刻2 春

2017-01-04 19:52:41 | 炭太祇

     不夜菴太祇発句集

         春

1  目を開て聞て居る也四方の春

2  鰒喰し我にもあらぬ雑煑哉

3  元日の居こゝろや世にふる畳

4  元朝や鼠顔出すものゝ愛(間?)

5  年玉や利ぬくすりの医三代

6  とし玉や杓子数添ふ草の庵

                       原画 早稲田大学古典籍

 

7  げにも春寝過しぬれど初日影

8  七草や余所の聞へもあまり下手

9  子を抱て御階を上がる御修法哉

10 初寅や慾つらあかき山おろし

11 春駒や男顔なるおゝなの子

12 春駒やよい子育し小屋の者

13 萬歳や舞おさめたるしたり顔

14 万歳やめしのふきたつ竃の前

15 羽つくや用意おかしき立ちまハり

16 はねつくや世こゝろしらぬ大またけ

17 北山やしざりしざりて残る雪

18 家遠き大竹ハらや残る雪

19 梅活て月とも侘んともし影

20 虚無僧のあやしく立り塀の梅

21 春もやゝ遠目に白し六めの花

22 な折そと折てくれけり園の梅

                      原画 早稲田大学古典籍

 

23 紅梅の散るやワらへの帋つゝミ 

   誓願寺 

24 紅梅や大きな弥陀に光さす 

25 東風吹とかたりもそ行主と従者 

26 春風や薙刀持の目八分 

27 糊おける絹に東風行門辺哉 

28 投出すやおのれ引得し胴ふくり

29 情なふ蛤乾く余寒かな 

30 色々に谷のこたへる雪解かな 

31 星の子や髪に結なす春の草 

32 丸盆に八幡みやけの弓矢かな 

33 元船の水汲うらや蕗の薹 

34 花活に二寸短しふきの薹 

35 朱を研や蓬莱の野老人間に落 

36 こころゆく極彩色や涅槃像 

37 ねはん会に来てもめでたし嵯峨の釈迦 

                      原画 早稲田大学古典籍

 

38 引寄て折手をぬける柳かな 

39 善根に灸居てやる彼岸かな 

40 起々に蒟蒻囉ふ彼岸かな 

41 川下に畑うつ音やおぼろ月 

42 海の鳴南やおぼろおぼろ月 

43 月更て朧の底の野風哉 

44 島原へ愛宕もどりやおぼろ月 

45 欺て引キぬけ寺やおぼろ月 

46 連翹や黄母衣の衆の屋敷町 

47 実の為に枝たハめしや梨の花 

48 皮ひてしが入江や芦の角 

49 江をワたる漁村の犬や芦の角 

50 野をやくや荒くれ武士の煙草の火 

51 畑うつやいつくハあれと京の土 

52 耕すやむかし右京の土の艶 

53 山葵ありて俗ならしめす辛キ物 

                      原画 早稲田大学古典籍

 

54 春雨のふるきなミたや梓神子 

55 はる雨や芝居ミる日も旅姿 

56 春雨や昼間経よむおもひもの 

   徳門より春雨の句聞ゆそれに対す 

57 春雨やうち身痒かるすまひ取 

58 声真似る小者おかしや猫の恋 

59 草をはむ胸やすからし猫の恋 

60 おもひ寐の耳に動くや猫の恋 

61 諫めつゝ繋き居にけり猫の恋 

62 遅き日を膝へ待とる番所かな 

63 春の日や午時も川掃く人心 

64 扨永き日の行方や老の坂 

65 遅き日を見るや眼鏡を懸ながら 

66 長閑さや早き月日を忘れたる 

67 矢橋乗る娵よむすめよ春の風 

68 春風にてらすや騎射の綾藺笠 

                      原画 早稲田大学古典籍

 

69 燕来てなき人問ん此彼岸 

70 ゆたゆたと畝へたて来る雉子かな 

71 雉子追ふて呵られて出る畠哉

72 葉隠れの機嫌伺ふ桑子哉 

73 髪結ふて花には行ず蚕時 

74 華稀に老て木高きつゝじ哉 

75 蚕飼ふ女やふるき身たしなミ 

76 小一月つゝじ売来る女かな 

77 御影供や向よる守敏塚 

78 蘭の花やよし野下来る向ふ山 

79 猪垣に余寒はけしや旅の空 

80 川の香のほのかに東風の渡りけり 

81 東風吹くや道行人の面にも 

82 下萌や土の裂目の物の色 

83 やふ入や琴かき鳴らす親の前 

84 出替や朝飯すハる胸ふくれ 

                      原画 早稲田大学古典籍

 

85 親に逢に行出代や老の坂 

86 出替の畳へおとすなミたかな 

    春江華月夜 

87 花守のあつかり船や岸の月 

    きさらきの比嵯峨の雅因かいとなめる家見にまかりける 

    にそこらいまた半ばなり木の工ミともきそひはけミける其 

    かたハらにむしろ設酒うち吞居たるに句を乞れて 

88 大工先あそんでむで見せつ春日影 

    又弥生廿日餘行ぬ元の竹林にあらすもとの水にあらす 

    おかしう造りなして宛在樓あり 

89 すみけりな椀洗ふ川もありす川  

    中風めきて手痿ける春 

90 不自由なる手て候よ花のもと 

91 付まとふ内義の沙汰や花さかり 

92 鞦韆や隣ミこしぬ御身代 

93 ふらこゝの会釈こほるゝや高ミより 

94 寒食に火くれぬ加茂を行や我 

95 介子椎お七かやうになられけむ 

                      原画 早稲田大学古典籍

 

96 うくひすの声せて来けり苔の上 

97 うくひすや聟に来にける子の一間 

98 うくひすや葉の動く水の笹かくれ 

99 江戸へやるうくひす鳴くや海の上 

100 鶯の目には籠なき高音かな 

101 人をとにこけ込亀や春の水 

102 行舟岸根をうつや春の水 

103 堀川や家の下行春の水 

104 穂は枯て接木の台の芽立けり 

105 接詫ぬ世になき一穂得てしより 

106 奉る花に手ならぬわらひかな 

107 紫の塵やつもりて問屋もの 

108 つミ草や背に負ふ子も手まさぐり 

109 摘草やよ所にも見ゆる母娘 

110 来るとはや往来数ある燕かな 

111 あなかまと鳥の巣ミせぬ菴主哉 

                      原画 早稲田大学古典籍

 

112 落て啼く子に声かハす雀かな

113 あながちに木ふりハ言ず桃の花

114 大船の岩におそるゝ霞かな

115 ふりむけは灯とほす関や夕霞

116 つぎねふの山睦しきかすミかな

117 田螺ミへて風腥し水のうへ

118 山独活に木賃の飯の忘られぬ

119 崖路行寺の背や松の藤

120 朝風呂はけふの桜の機嫌哉

121 したたかなさくらかたけて夜道かな

122 塵はミなさくら也けり寺の暮

123 咲出すといなや都はさくら哉

124 京中の未見ぬ寺や遅桜

125 身をやつし御庭みる日や遅桜

126 あるしする乳母よ御針よ庭の花

127 児つれて花見にまかり帽子かな

                     原画 早稲田大学古典籍  

 

128 ちる花の雪の草鞋や二王門

    歯をたゝく事三十六我白楽天にならふ

129 歯を鳴し句成先立り花の陰

    宗屋ハ杖引ことまめなる叟ミちのく西の海辺より近所ハ  

    さら也花に涼に我わたり灯籠の夜まてもらさす此春身ま

    かりけるを猶幻に有心地す

130 死なれたを留守と思ふや花盛

131 蛙ゐて啼やうき藻の上と下

132 出代や厩は馬にいとまこひ

133 出代やきらふからいふいとまこひ

134 養父入の㒵けはけはし草の宿

135 やふ入の寐るやひとりの親の側

136 商人や干鱈かさねるはたりはたり

137 長閑さに無沙汰の神社回りけり

138 からくりの首尾のワるさよ鳳巾

139 落かゝる夕べの鐘やいかのぼり

140 屋根低き声の籠りや茶摘歌

                      原画 早稲田大学古典籍

 

141 世を宇治の門にも寐るや茶摘共

142 桃ありてますます白し雛の顔

143 華の色や頭の雪もたとえもの

144 御僧のその手嗅たや御見拭

    百歳賀

145  口馴し百や孫子の手鞠うた

    太宰府の神池に鳧雁群をなす

146 飛ビ六めにもどらぬ雁を拜ミけり

147 陽炎や景清入れし洞の口

148 墨染のうしろすがたや壬生念仏

149 炉ふさきや花の機嫌の俄事

150 春の夜や女を怖す作りこと

151 節になる古き訛や傀儡師

152 山吹や葉に花に葉に花に葉に

153 腹立て水吞蜂や手水鉢

154 人とふて蜂もとりけり花の上

                      原画 早稲田大学古典籍

 

155 声立て居代る蜂や花の蝶

156 見初ると日々に蝶ミる旅路かな

157 苗代や灯らて又も通る路

158 御供してあるかせ申潮干かな

159 女見る春も名残やワたし守

160 春ふかし伊勢を戻りし一在所

161 夜歩く春の余波や芝居者

162 行春や旅へ出て居る友の数

                      原画 早稲田大学古典籍

 

 春の部終わり

 

※ 以後夏・秋・冬とつづけます。そしてこれまでに出されている句解なども併載

  する予定です。乞うご期待。

   

 

 

 

 

 

 


猫 鎌ちゃん

2017-01-03 20:49:46 | 日記

三日に孫たちが一家で来た。毎年正月には来てくれるのだが、ことしは

珍客を連れて来た。鎌ちゃんという名の雄猫で生後11ケ月だそうだが

子猫には見えない。初めはおどおどして落ち着かぬふうであったが、

コタツに入ったり出たりしているうちに馴れてきたようで写真も撮らせて

くれた。

鎌ちゃんはいまや家族にとってアイドルで、鎌ちゃんを仲立ちにして家

結ばれているように見える。鎌ちやんどうも有難う。