まえにもアップした白菜とキャベツ、キャベツは巻き始めたようですが、白菜はどうも気になります。もう暫く様子を見るしかないですね。
今日はジャガイモを植える準備をしました。毎年立春を過ぎた頃に植え付けています。
まえにもアップした白菜とキャベツ、キャベツは巻き始めたようですが、白菜はどうも気になります。もう暫く様子を見るしかないですね。
今日はジャガイモを植える準備をしました。毎年立春を過ぎた頃に植え付けています。
不夜菴太祇句集
秋
277 すゝしさのめでたかり鳧今朝の秋
278 初秋や障子さす夜とさゝぬよと
279 七夕や家中大かた妹と居す
280 月入て闇にもなさす銀河(天の川)
281 家つとの京知顔やすまひとり
282 裸身に夜半の鐘や辻相撲
283 勝迯の旅人あやしや辻角力
284 引組て猶分別やすまひとり
285 山霧や宮を守護なす法螺の音
286 さし鯖や袖とおぼしき振あハせ
287 明はなし寐た夜つもりぬ虫の声
288 城内に踏ぬ庭あり轡虫
289 見かけ行ふもとの宿や高灯籠
290 夕立の晴行かたや揚灯籠
291 声きけハ古き男や音頭取
292 彼後家のうしろにおとる狐かな
293 末摘のあちら向ひてもおとり哉
294 蕃椒畳の上へはかりけり
295 つる草や蔓の先なる秋の風
296 痩たるをかなしむ蘭の莟かな
あるかたより蘭を贈くるゝに名立事ありて
297 蘭の香や君かとめ寄楠に若も又
長月の末召波訪来りし時
298 何もなし夫婦訪来し宿の秋
299 行秋に都の塔や秋の空
岩倉にて雨にあひ金蔵寺大徳の情に一夜の舎り
免され嬉しと這上りて
300 笠ぬけハ鹿の聞度夜とそなる
南谷上人の書の額あり薬師の宝前に二種の草あ
り
301 南無薬師菊の事もきく桔梗
をくら山のふもとなる湧蓮寺の庵を卯雲子と共に尋
侍るにあらざりけれハ扉にかいつく
302 留守の戸の外や露をく物ハかり
303 此鱸口明せずと足ンぬへし
304 畠から西瓜くれたる庵かな
305 遺言の酒備へけり魂まつり
306 懸乞の不機嫌ミせそ魂祭
307 おもへとも一向宗やたま祭
308 魂棚やほた餅さめる秋の風
309 たま祭る料理帳有筆の跡
310 送り火や顔顔覗あふ川むかひ
311 いなつまや舟幽霊の呼ふ声
312 鬼灯や掴ミ出したる袖の土産
313 乞けれハ刈てこしけり草の花
314 二里といひ一里ともいふ花野哉
315 鮹追へハ蟹もはしるや芋畠
316 餓てたに痩んとすらむ女郎花
317 其葉さへ細きこゝろや女郎花
318 鶏頭やはかなきあきを天窓勝
319 鶏頭やすかと仏に奉る
320 蜘の囲棒しはりなるとむほ哉
321 静なる水や蜻蛉の尾に打も
322 萩原に棄て有けり風の神
323 萩吹燃る浅間の荒残り
324 椋鳥百羽命拾ひし羽音哉
経師何かし芭蕉画る扇に賛望れて
325 裂やすきはせをに裏を打人歟
326 秋さびしおほへたる句を皆申す
327 簗をうつ魚翁かうそやことし限
328 ものの葉に魚のまとふや下簗
京へのぼりし時
329 蕣に垣根さへなき住居かな
330 ミとり子に竹筒負せて生身魂
331 野分して樹々の葉も戸に流れけり
332 浅川の水も吹散る野分かな
333 渡し守舟流したる野分哉
334 片店はさして餅売る野分かな
335 芋茎さへ門賑しやひとの妻
336 おもはゆく鶉なく也蚊屋の外
337 畠踏む似せ侍や小鳥狩
338 身の秋やあつ燗好む胸赤し
いとわかき大女に秋来て柳絮の才も
一葉と散行蘭蕙の質も芳しき
名のミに帰り来ぬ道のくまぐま問よ
る中に交りて父の蘭虎によす
339 此夕べぬしなき櫛の露や照
花燭をおくりて霊前にさしよするハいさゝか其情を
慰するにあり
340 ミそなはせ花野もうつる月の中
341 あさかほに夜も寐ぬ嘘や番太郎
342 ミか月やかたち作りてかつ寂し
343 三日月の船行かたや西の海
344 みか月や膝へ影さす舟の中
345 雨に来て泊とりたる月見かな
346 狂ハしやこゝに月見て亦かしこ
347 来ると否端居や月のねだり者
348 明月や君かねてより寝ぬ病
349 明月や花屋寐てゐる門の松
350 うかれ来て蚊屋外しけり月の友
351 後の月庭に化物作りけり
352 灯の届かぬ庫裏やきりぎりす
353 雪ふれハ鹿のよる戸やきりぎりす
354 大根も葱もそこらや蕎麦の花
355 うら枯ていよいよ赤しからす瓜
356 萩活て置けり人のさはるまて
357 石榴食ふ女かしこうほときけり
358 喰すともさくろ興有形かな
359 菊の香やひとつ葉をかく手先にも
360 見通しに菊作りけりな問はれかほ
361 菊の香や山路の旅籠奇麗也
362 旅人や菊の酒くむ昼休ミ
363 残菊や昨日迯にし酒の秋
364 朝露や菊の節句ハ町中も
365 古畑の疇ありながら野菊かな
366 泊問ふ船の法度や秋の暮
367 有侘て酒の稽古や秋の暮
368 おとり人も減し芝居や秋の暮
369 ひとり居や足の湯湧す秋の暮
370 夕霧に蜂這入たる垣根哉
371 出女の垣間見らるゝきぬた哉
372 泊居てきぬた打也尼の友
373 菊の香や花屋か灯むせふ程
374 剃て住法師か母のきぬた哉
375 寐よといふ寝さめの夫や小夜砧
376 夜あらしに吹細りたるかゝし哉
377 やゝ老て初子育る夜寒かな
378 旅人や夜寒問合ふねふた声
379 舟曳のふねへ来ていふ夜寒哉
380 水瓶へ鼠の落し夜寒かな
381 朝寒や起てしハふく古こたつ
382 縁端の濡てワひしや秋の雨
383 茄子売る揚屋か門や秋の雨
384 夜に入は灯のもる壁や蔦かづら
385 引ケハ寄蔦や梢のこゝかしこ
386 町庭のこゝろに足るやうす紅葉
387 鉄槌に女や嬲るうちもみち
388 空遠く声あハせ行小鳥哉
389 露を見る我尸や草の中
390 青き葉の吹れ残るや綿畠
391 柿売の旅寐は寒し柿の側
392 関越て亦柿かふる袂かな
393 残る葉と染かハす柿や二ツ三ツ
394 かぶり欠く柿の渋さや十か十
395 恋にせし新酒吞けりかづら結
396 よく飲ハ゛価ハとらしことし酒
397 きりはたりてうさやようさや呉服祭
398 新米のもたるゝ腹や穀潰し
399 とうあろと先新米にうまし国
400 芦の穂に沖の早風の余哉
401 迷ひ出る道の藪根の照葉かな
402 薬堀蝮も提てもとりけり
403 身ひとつをよせる籬や種ふくへ
404 口を切る瓢や禅のかの刀
405 此あたり書出し人もへくへ哉
406 ひとつ家に年あるさたや水煙草
407 夜の香や煙草寐せ置庭の隅
408 事繁く臼踏む軒やかけたはこ
409 小山田の水落す日やしたりかほ
410 永き夜を半分酒に遣ひけり
411 あきの夜や自問自答の気の弱
412 長き夜や夢想さらりと忘れける
413 寐て起て長き夜にすむひとり哉
414 永き夜や思ひけし行老の夢
415 落る日や北に雨もつ暮の秋
416 長きよや余所に寝覚し酒の酔
417 壁つゞる傾城町やくれのあき
418 塵塚に 蕣さきぬくれの秋
419 行秋や抱けは身に沿ふ膝頭
420 孳せし馬の弱りや暮の秋
句会日時 2017-1-20 10時
句会場 パレア9F 鶴屋東館
出席人数 5人
指導者 山澄陽子先生(ホトトギス同人)
出句要領 6句投句 6句選 兼 題 初景色
世話人 近田綾子 096-352-6664 句会出席希望の方は左記へ。
次 会 2月17日(金)10時パレア9F 兼 題 余寒
山澄陽子選
平凡の日々を尊び去年今年 安月子
水尾の中にまた水尾曳くや別の鴨 礁 舎
乗初めの孫の運転護国社へ 綾 子
旅立ちに良き日を選ぶ初暦 安月子
地震後の友の年賀や幸祈る 茂 子
初詣並ぶ孫の背見上げけり 綾 子
名ある山名のなき山も初景色 礁 舎
松籟の遠く聞ゆる淑気かな 茂 子
先生の句
読初めといふも手近にある雑誌 陽 子
初刷りの新聞の嵩賑々し 陽 子
晩年や雑煮いつしか母の味 陽 子
老二人何はなくとも先づ福茶 陽 子
※ 武敬さん欠席で5人の句会となりました。5人ではちょっと寂しいです
ね。あと2、3人会員を増やしたいものです。
雑 永 連葉子選と句解
酔芙蓉句座にお初の人迎へ 菊池 洋子
芙蓉の中の「酔芙蓉」は、朝の咲き始めは白く、午後にはピンクになり、夕方からさらに赤く
なることで知られてゐます。 したがって始めての人を迎へての句会は、夕方から始まる句座
と思はれます。仕事を持つ人たちともなれば、休日はともかく、ウイークディに開催される句座
は自づから夜となります。 「お初の人」と言はれてゐるやうに、今の時代、新人は歓迎される
ばかりか、珍重されるのが一般的でせう。そんな空気が一句から感じとれて面白く、季語もま
た、その場にマッチしてゐて、羨ましい限りです。
牧広き獣医学部や馬肥ゆる 山岸 博子
広い牧場を持つてゐる獣医学部は、北海道大学のそれであることが、作者の住所からも判
ります。 そんな牧場で飼育されてゐる馬たちは、冬に備へての食欲を大いに発揮してゐる
のです。 いづれにしても馬たちは、人間の情況やら境遇などとは無関係に、四季を通して育
てられてゐるのです。蛇足ながら、東京本郷の東京大学農学部にも五六頭の病気の馬が飼
はれでゐる厩舎があることを、以前に事情があって知りました。
大根煮て夫の機嫌を伺へり 原田 祥子
掲句の大根煮は、「風呂吹」のことでせうか。 いづれにしても、種類が多い上に、調理法も
多彩で親しまれてゐるのが大根です。そこで作者は、季節の大根を煮て、仲のよい夫の機嫌
を伺ふといふのです。 ところで「機嫌」 に尊敬語の「御」をつけ、「ご機嫌伺ひ」などとして使
はれるケースが少なくありませんが、一句の場合は至って軽い意味合ひの機嫌伺ひに感じら
れます。 大根煮に相応しい夫婦の匂ひが漂ってゐます。
個室出で秋日にさらす身丈かな 林 三枝子
ケア・ハウスに入所されてゐる作者は、籠りがちな個室を出て、折からの秋の日ざしに身を
晒したといふのです。 とりわけ「秋日にさらす身丈かな」 の中七、下五の措辞によって、丸く
なりがちな背筋を伸ばしてゐる様子や秋日の濃さなど活写されてゐます。 三枝子さん流の
俳味が、さりげなく込められてゐると感じるのは、私だけではない筈です。
帰る子と夕月仰ぎ別れけり 向江八重子
実家を訪れたのち、帰らうとする子を門辺まで送り出したのでせう。そして、折しもの夕月を
互ひに見上げながら別れたといふのです。 具体像としての子は、娘さんであり、夕月を仰ぎ
ながら短い会話を交したことなどが伺へるのは、一句の表現力と言へるでせう。 表現にとり
わけ技巧を凝らす訳でもなく、淡々と詠はれてゐるところが注目されます。
小さかる針箱をもて冬用意 佐藤 和枝
「小さかる針箱」 の措辞によって、かつては大きな針箱を持ち、ミシンを踏むなどして冬用
意に専念してゐた時代の作者が想像出来ます。 しかしながら、針に糸を通すこともままなら
なくなってゐる今は、小さく、可愛いい針箱で足りる冬用意を、それでも欠かしてゐないといふ
わけです。 避けて通ることの出来ない高齢化ですが、俳句同様、工夫が必要であることを
言外に諭してゐるやうです。
爽やかに指に力のセラピスト 西村 泰三
入院、リハビリ中の作者は、理学療法士による機能回復訓練を受けてゐるのでせうか。 い
づれにしても、療法士の指の力を強く感じると同時に爽やかさを感じとつてゐるのです。そし
て、その辺りに患者と療法士との信頼関係が生れつつあることが伺へます。 病者ならでは
の句とも言へますが、健常者にも共通の視点が存在します。
初粟の籠に轟き照り合ひぬ 古野 治子
今年はじめて拾はれた栗の実が、籠中いっぱいに轟き、且つまた照り合ってゐるのです。
まさに粟の実の歓喜さへも聞えて来るやうですが、尋常ならざる点は、「籠に轟き」に留まら
ず、「照り合ひぬ」と詠まれてゐることです。 そして、そのことによって 「初栗」 の 「初」が
生きて来る仕組みになってゐるものと思はれます。
手のくぼに鶏頭の種採り溜むる 安部 紫流
韓藍 (からあい) の古名で 『万葉集』 にも詠まれてゐる鶏頭。そして鶏頭自体を詠んだ
句は、子規の有名な句をはじめ少なくないものの、種が詠まれた句は珍しいと言へます。 し
かも手の窪に、採り溜められてゆく種の一つ、一つ。どことなく貴重品めくのみならず、毛糸の
温かみのやうなものまで伝はつて来ます。 よく訓練された人の目が捉へられた、一句と言へ
ます。
下は会員中川さんの作詞で「甦れ嗚呼熊本城」という題名ですが、七五調の韻
を踏んでなかなか立派な詩です。これは今月出る新老人の会支部会報に載る
そうです。
1級建築士の中川さんにこんな才があるとは知りませんでした。この詩は三橋
美智也のヒット曲「古城」の音律で唄えるそうです。
今日は新年初めての読み合わせ会で7人全員集合でした。膝栗毛の変体カナ
はそろそろ卒業という感じで読む速度が上がり時間が余るので、別の文書を少
しづつ読むようにしています。
今日は入会希望の方が1人参加されました。今年はもう少し会員を増やしたい
ですね。見学に来られた女性の方入会されたらいいなあと思っています。
不夜菴太祇発句集
夏
162 物かたき老の化粧や衣更
163 いとをしい痩子の裾や更衣
164 綿脱ておます施主有旅の宿
165 かしこけに著て出て寒き袷哉
166 行女袷著なすや憎きまて
167 能答ふわか侍や青すたれ
168 盗れし牡丹に逢り明る年
169 猫の妻かの生節を取畢(をわんぬ)
170 相渡る川のめあてや夏木立
171 甘き香は何の花そも夏木立
172 高麗人の旅の厠や夏木立
173 孑孑やてる日に乾く根なし水
174 景清ハ地主祭にも七兵衛
呑獅参宮を送る
175 餘花もあらむ子に教へ行神路山
176 西風の若葉をしぼるしなへかな
177 ミしか餘や今朝関守のふくれ面
ある人のもとにて
178 めかしさよ夏書を忍ぶ後向
179 青梅のにほひ侘しくもなかりけり
180 抽でゝ六め勝けりな寺若衆
181 青梅や女のすなる飯の菜
182 傘焼し其日も来けり虎か雨
183 さミたれの漏て出て行庵かな
184 つれつれに水風呂たくや五月雨
185 帰来る夫の咽ぶ蚊やりかな
186 蚊屋に居て戸をさす腰を誉にけり
187 事よせて蟵へさし出す腕かな
188 蚊屋くゝる今更老の不調法
189 やさしやな田を植るにも母の側
190 早乙女や先へ下りたつ年の程
191 蚊屋くゝる女は髪に罪深し
192 蓴菜やしるよししける水所
閨 怨
193 飛蛍あれといわむもひとりかな
194 三布に寐て蚊屋越の蚊に喰れけむ
御退位きのふありてけふハ庭上の御規式の跡拝し
奉るとてミなつとひまふのほるを聞て
195 蚊屋釣て豊に安し住る民
196 蚊屋釣るや夜学を好む真ツ裸
197 蚊の有に跨るふりや稚かほ
198 蚊遣火もミゆ戸さゝぬ門並ひ
199 下手伸せて馬もあそぶや藤の森
200 妾か家ハ江の西にあり菰粽
201 武士の子の眠さも堪る照射かな
202 月かけて竹植し日のはし居かな
203 しらて猶余所に聞なす水鶏かな
204 妾人にくれし夜ほとときす
205 追もとす坊主か手にも葵かな
206 葵かけてもとるよそめや駕の内
207 碓の幕にかくるゝ祭かな
208 低く居て富貴をたもつ牡丹哉
209 こゝろほと牡丹の撓む日数かな
210 門へ来し花屋にミセるぼたん哉
211 切る人やうけとる人や燕子花
212 深山路を出抜てあかし麦の秋
213 麦秋や馬にでて行く馬鹿息子
214 笋を堀部安兵衛や手の功
215 筍のすへ筍や丈あまり
216 白罌粟や片山里の濠の中
217 牡丹一輪筒に傾く日数かな
218 麦打に三女夫並栄へかな
219 さつき咲く庭や岩根の黴なから
220 濡るともと幟立けり朝のさま
221 くらへ馬顔ミへぬ迄誉にけり
222 なくさめて粽解くなり母の前
223 物に飽くこころ恥かし茄子汁
224 列立て火影行鵜や夜の水
225 舟梁に細きぬれ身やあら鵜共
226 いて来たる硯の蠅ま一つかみ
227 ひとくゝる縄も有けり瓜作り
228 姫顔に生し立けむ瓜はたけ
229 盗人に出合ふ狐や瓜はたけ
230 二階から物いひたけや鉾の兒
231 あふきける団を腕に敷寐かな
232 書すてし歌もこし折うちハ哉
233 風呂布のつゝむに余る団かな
234 蟵こしに柄から参らすうちハかな
235 扇とる手へもてなしのうちハかな
236 貯ふともなくて数あるあふきかな
237 雷止んて太平簫ひく涼かな
238 蠅をうつ音も厳しや関の人
239 夜を寐ぬと看る歩ミや蝸牛
240 有侘て這ふて出けむかたつふり
241 怠ぬあゆミおそろしかたつふり
242 引入て夢見顔也かたつふり
243 折あしと角おさめけむ蝸牛
244 水の中へ銭遣りけらし心太
245 もとの水にあらぬしかけや心太
246 蚊屋釣てくるゝ友あり草の庵
よしハら鳥のよしとおもへハ
これも鳴音のあらきやうきやうし
247 気のゆるむあつさの顔や致仕の君
248 世の外に身をゆるめゐる暑かな
249 めてたさも女は髪の暑サかな
250 あつき日に水からくりの濁かな
251 朝寐してをのれ悔しき暑さ哉
252 病て死ぬ人を感ずる暑哉
253 色濃くも藻の干上るあつさかな
254 釣瓶から水吞ひとや道の端
255 虫ほしや片山里の松魚節
かこつことある人へ
256 来し跡のつくか浅まし蝸牛
257 草の戸の草に住蚊も有ときけ
258 水練の師は敷草のすゝミ哉
259 空をミてすゝみとる夜や宿直の間
261 川狩や夜目にもそれと長刀
262 あしらひて巻葉添けり瓶の蓮
263 蓮の香や深くも籠る葉の茂
寄蓮恋
264 蓮の香の深くつゝミそ君か家
百圃より東寺の蓮贈られて
265 先いけて返事書也蓮のもと
266 たつ蝉の声引放すはずみかな
267 沢瀉や花の数そふ魚の泡
268 かたひらのそこら縮て昼寐かな
269 昼顔や夜は水行溝のへり
270 夕㒵やそこら暮るに白き花
271 夕顔のまとひもしらぬ垣根かな
272 白雨や戸さしにもとる草の庵
273 ゆふたちや落馬もふせく旅の笠
274 白雨やこと鎮めたる使者の馬
275 橋落て人岸にあり夏の月
琴泉と東寺へ蓮見によりて酔中の吟
276 引寄て蓮の露吸ふ汀かな
※ 以上夏の句 117句終わります。版本は巷間に流布して広く読
まれたのですから、当時の人々は現代人が新聞を読むように読
んでいました。しかし現代人には読めなくなっています。古文書
の解読と俳句の鑑賞の二つながらを意識して掲載しました。
11月に購入苗を定植したキャベツが巻はじめました。葉のいきおいもよくこの分なら立派なキャベツか穫れそうです。その時はまたアップします。
年越えて茂るキャベツの日数かな 礁 舎
ことしの大根は種まきのころ害虫の異常発生により3回も蒔き直すという憂き目に遇いましたが、なんとか収穫を迎えるまでになりました。その中でよく出来たものを撮りました。
青首の洗へは゛白き大根かな 礁 舎
不夜菴太祇発句集
春
1 目を開て聞て居る也四方の春
2 鰒喰し我にもあらぬ雑煑哉
3 元日の居こゝろや世にふる畳
4 元朝や鼠顔出すものゝ愛(間?)
5 年玉や利ぬくすりの医三代
6 とし玉や杓子数添ふ草の庵
7 げにも春寝過しぬれど初日影
8 七草や余所の聞へもあまり下手
9 子を抱て御階を上がる御修法哉
10 初寅や慾つらあかき山おろし
11 春駒や男顔なるおゝなの子
12 春駒やよい子育し小屋の者
13 萬歳や舞おさめたるしたり顔
14 万歳やめしのふきたつ竃の前
15 羽つくや用意おかしき立ちまハり
16 はねつくや世こゝろしらぬ大またけ
17 北山やしざりしざりて残る雪
18 家遠き大竹ハらや残る雪
19 梅活て月とも侘んともし影
20 虚無僧のあやしく立り塀の梅
21 春もやゝ遠目に白し六めの花
22 な折そと折てくれけり園の梅
23 紅梅の散るやワらへの帋つゝミ
誓願寺
24 紅梅や大きな弥陀に光さす
25 東風吹とかたりもそ行主と従者
26 春風や薙刀持の目八分
27 糊おける絹に東風行門辺哉
28 投出すやおのれ引得し胴ふくり
29 情なふ蛤乾く余寒かな
30 色々に谷のこたへる雪解かな
31 星の子や髪に結なす春の草
32 丸盆に八幡みやけの弓矢かな
33 元船の水汲うらや蕗の薹
34 花活に二寸短しふきの薹
35 朱を研や蓬莱の野老人間に落
36 こころゆく極彩色や涅槃像
37 ねはん会に来てもめでたし嵯峨の釈迦
38 引寄て折手をぬける柳かな
39 善根に灸居てやる彼岸かな
40 起々に蒟蒻囉ふ彼岸かな
41 川下に畑うつ音やおぼろ月
42 海の鳴南やおぼろおぼろ月
43 月更て朧の底の野風哉
44 島原へ愛宕もどりやおぼろ月
45 欺て引キぬけ寺やおぼろ月
46 連翹や黄母衣の衆の屋敷町
47 実の為に枝たハめしや梨の花
48 皮ひてしが入江や芦の角
49 江をワたる漁村の犬や芦の角
50 野をやくや荒くれ武士の煙草の火
51 畑うつやいつくハあれと京の土
52 耕すやむかし右京の土の艶
53 山葵ありて俗ならしめす辛キ物
54 春雨のふるきなミたや梓神子
55 はる雨や芝居ミる日も旅姿
56 春雨や昼間経よむおもひもの
徳門より春雨の句聞ゆそれに対す
57 春雨やうち身痒かるすまひ取
58 声真似る小者おかしや猫の恋
59 草をはむ胸やすからし猫の恋
60 おもひ寐の耳に動くや猫の恋
61 諫めつゝ繋き居にけり猫の恋
62 遅き日を膝へ待とる番所かな
63 春の日や午時も川掃く人心
64 扨永き日の行方や老の坂
65 遅き日を見るや眼鏡を懸ながら
66 長閑さや早き月日を忘れたる
67 矢橋乗る娵よむすめよ春の風
68 春風にてらすや騎射の綾藺笠
69 燕来てなき人問ん此彼岸
70 ゆたゆたと畝へたて来る雉子かな
71 雉子追ふて呵られて出る畠哉
72 葉隠れの機嫌伺ふ桑子哉
73 髪結ふて花には行ず蚕時
74 華稀に老て木高きつゝじ哉
75 蚕飼ふ女やふるき身たしなミ
76 小一月つゝじ売来る女かな
77 御影供や向よる守敏塚
78 蘭の花やよし野下来る向ふ山
79 猪垣に余寒はけしや旅の空
80 川の香のほのかに東風の渡りけり
81 東風吹くや道行人の面にも
82 下萌や土の裂目の物の色
83 やふ入や琴かき鳴らす親の前
84 出替や朝飯すハる胸ふくれ
85 親に逢に行出代や老の坂
86 出替の畳へおとすなミたかな
春江華月夜
87 花守のあつかり船や岸の月
きさらきの比嵯峨の雅因かいとなめる家見にまかりける
にそこらいまた半ばなり木の工ミともきそひはけミける其
かたハらにむしろ設酒うち吞居たるに句を乞れて
88 大工先あそんでむで見せつ春日影
又弥生廿日餘行ぬ元の竹林にあらすもとの水にあらす
おかしう造りなして宛在樓あり
89 すみけりな椀洗ふ川もありす川
中風めきて手痿ける春
90 不自由なる手て候よ花のもと
91 付まとふ内義の沙汰や花さかり
92 鞦韆や隣ミこしぬ御身代
93 ふらこゝの会釈こほるゝや高ミより
94 寒食に火くれぬ加茂を行や我
95 介子椎お七かやうになられけむ
96 うくひすの声せて来けり苔の上
97 うくひすや聟に来にける子の一間
98 うくひすや葉の動く水の笹かくれ
99 江戸へやるうくひす鳴くや海の上
100 鶯の目には籠なき高音かな
101 人をとにこけ込亀や春の水
102 行舟岸根をうつや春の水
103 堀川や家の下行春の水
104 穂は枯て接木の台の芽立けり
105 接詫ぬ世になき一穂得てしより
106 奉る花に手ならぬわらひかな
107 紫の塵やつもりて問屋もの
108 つミ草や背に負ふ子も手まさぐり
109 摘草やよ所にも見ゆる母娘
110 来るとはや往来数ある燕かな
111 あなかまと鳥の巣ミせぬ菴主哉
112 落て啼く子に声かハす雀かな
113 あながちに木ふりハ言ず桃の花
114 大船の岩におそるゝ霞かな
115 ふりむけは灯とほす関や夕霞
116 つぎねふの山睦しきかすミかな
117 田螺ミへて風腥し水のうへ
118 山独活に木賃の飯の忘られぬ
119 崖路行寺の背や松の藤
120 朝風呂はけふの桜の機嫌哉
121 したたかなさくらかたけて夜道かな
122 塵はミなさくら也けり寺の暮
123 咲出すといなや都はさくら哉
124 京中の未見ぬ寺や遅桜
125 身をやつし御庭みる日や遅桜
126 あるしする乳母よ御針よ庭の花
127 児つれて花見にまかり帽子かな
128 ちる花の雪の草鞋や二王門
歯をたゝく事三十六我白楽天にならふ
129 歯を鳴し句成先立り花の陰
宗屋ハ杖引ことまめなる叟ミちのく西の海辺より近所ハ
さら也花に涼に我わたり灯籠の夜まてもらさす此春身ま
かりけるを猶幻に有心地す
130 死なれたを留守と思ふや花盛
131 蛙ゐて啼やうき藻の上と下
132 出代や厩は馬にいとまこひ
133 出代やきらふからいふいとまこひ
134 養父入の㒵けはけはし草の宿
135 やふ入の寐るやひとりの親の側
136 商人や干鱈かさねるはたりはたり
137 長閑さに無沙汰の神社回りけり
138 からくりの首尾のワるさよ鳳巾
139 落かゝる夕べの鐘やいかのぼり
140 屋根低き声の籠りや茶摘歌
141 世を宇治の門にも寐るや茶摘共
142 桃ありてますます白し雛の顔
143 華の色や頭の雪もたとえもの
144 御僧のその手嗅たや御見拭
百歳賀
145 口馴し百や孫子の手鞠うた
太宰府の神池に鳧雁群をなす
146 飛ビ六めにもどらぬ雁を拜ミけり
147 陽炎や景清入れし洞の口
148 墨染のうしろすがたや壬生念仏
149 炉ふさきや花の機嫌の俄事
150 春の夜や女を怖す作りこと
151 節になる古き訛や傀儡師
152 山吹や葉に花に葉に花に葉に
153 腹立て水吞蜂や手水鉢
154 人とふて蜂もとりけり花の上
155 声立て居代る蜂や花の蝶
156 見初ると日々に蝶ミる旅路かな
157 苗代や灯らて又も通る路
158 御供してあるかせ申潮干かな
159 女見る春も名残やワたし守
160 春ふかし伊勢を戻りし一在所
161 夜歩く春の余波や芝居者
162 行春や旅へ出て居る友の数
春の部終わり
※ 以後夏・秋・冬とつづけます。そしてこれまでに出されている句解なども併載
する予定です。乞うご期待。
三日に孫たちが一家で来た。毎年正月には来てくれるのだが、ことしは
珍客を連れて来た。鎌ちゃんという名の雄猫で生後11ケ月だそうだが
子猫には見えない。初めはおどおどして落ち着かぬふうであったが、
コタツに入ったり出たりしているうちに馴れてきたようで写真も撮らせて
くれた。
鎌ちゃんはいまや家族にとってアイドルで、鎌ちゃんを仲立ちにして家
族は結ばれているように見える。鎌ちやんどうも有難う。