迦南句碑は戸馳島と多良木町の2カ所よりないと思っていたのですが、ある人から坂本町鮎帰西福寺と八代春光寺にも存在すると聞いたので早速拝観に行きました。
西福寺境内の迦南句碑
月に訪ふ寺に宿かる心ぐみ 迦 南
彫付けてある文字はちょっと見には判読できません。建立年代は昭和29年頃ですが、彫りが浅く摩滅も進んでいるようで簡単には読み取ることができませんが、右肩部の「月に訪ふ・・」の初5が読めたので以下は句集によりました。
句にある寺はこの西福寺と思われます。住持のお話では先代住持が坂本俳句会の中心メンバーであったらしく迦南が坂本へ来たときはこの寺に泊まっていたそうです。
この頃迦南は多良木町に住んでいたので「坂本阿蘇句会」へ指導に来る時は肥薩線坂本駅で降りて句会場の坂本会館まで歩いたものと思われます。当時の坂本村は十条製紙の景気のよい時代で、従業員数も多く活気あふるる村でした。また荒瀬ダムが竣工し藤本発電所が発電開始したのもこの頃です。
ここまで作句背景が判ってみると鑑賞は易しいですよね。坂本の俳人たちと迦南との温かい人間的なつながりがこの句の縦糸で、横糸は西福寺宿泊です。句会が終われば鮎帰の西福寺まで月を観ながら歩くのも楽しみであるというのです。
春光寺の句碑は別にアップします。